第六話
ーートーマス視点ーー
「……っ!げほっ、ごほっ……はぁ、はぁ」
目が覚めた瞬間目の前に血が広がった。魔獣の攻撃を受けた後の記憶がない。きっと気絶していたのだろう。
「……トーマス!」
「ああ、ファル、みんなも、悪いな。気絶してたみたいでよ」
「……っ!」
「……みんなしてどうしたんだ?」
いつもと違う反応に戸惑いを隠しきれずそう尋ねた。
「……なんでもないわ。ほんとに、よかった」
「おわ!?ほんとにどうしたんだよ?」
みんなして泣きながら抱きついて来た。いつもならしっかりしてくれと笑い飛ばしてくれるユリアンさえも泣いていた。それほど危険な状態だったんだろう。
「わるいな。こんな情けないリーダーでよ。ファルト様が助けてくれたのか?」
「……えぇ、まあ」
ファルが渋い顔でそう言ってくる。
「そうだったのか。ファルト様ありがとうございます」
少し離れた場所に立って本を読むファルト様に声をかけた。
「身体機能に異常はありませんか?」
「多分、大丈夫だと思います」
最初に言う事がそれかよと思ったが、そんなことを言える相手ではないので胸の内にしまっておく。
「そうですか。本日は周辺で野宿をします。移動を開始しましょう」
「はい」
「トーマス、立てるか?」
ライアンが心配そうに聞いてくる。
「平気だよ。ありがとな」
「そうですか……」
ライアンは目を逸らしながらそう言ってきた。ライアンもだが明らかに全員の様子がおかしかった。
「……そういえば、ファルト様って思ったよりいい人だな」
「……は?」
場の雰囲気をよくしようと言った言葉がよくなかったようで訳がわからないという顔をされてしまった。
「いい人ではないだろ」
「そもそも人なのか?」
「……」
「……やめなさい、ユリアン。とりあえず、トーマスも、そういう認識は良くないわ」
みんなの表情が鋭くなった。まるで魔獣を相手にしているかのようだった。俺が気絶している間に一体何があったのだろう。
「おい、一体何が……」
「ここで野宿をします」
質問しようとした時ファルト様が急に立ち止まってそう告げた。
「……っ!はい!」
あとで色々聞くことにしよう。




