はじめての闘い その54
噛み殺してから、
再び"摂"氏は、"蜘蛛宇宙人"の太腿の"防御層"を叩きました
――攻撃!!
――というより
――ドアをノックするかの様に、軽く
――二度。
「相手に<苦痛>があるかどうかは、他人には知りえないのでしょう。
<共感>や<理解>は出来ても、それは推測の域を出ないのでしょう。
ヒトは、目の前に現れた"K"とそれを取り巻く環境から、状況を推測する
――ただ、それだけなのでしょう。
しかし、
"K"はいつまで経っても、"K"でしかない――
それは
――文学的代数。
その<文学的代数>的対象は、<実>を表し得ない。
あらわれるモノは、
<ヒトが"K"を見て判断した結果が"苦痛らしい"かどうか>
です。
そして、その判断に<絶対性>も<正誤>もない――
って事で良いですか?
――結論は」
土と芝のカオスの上に横たわる"蜘蛛宇宙人"は、
笑いました
――声なく。
それは、今までに無い<笑顔>でした
――そこに在るモノは、それを二つに分割した<横顔>でした。
肩を揺すって笑う中、
"摂"氏が、
<<はじめての闘いが終了だ>>
と判断して、立ち上がろう
――とすると、
"蜘蛛宇宙人"が瞬時に、上体を起こしました。
正面
――その顔
――<笑い>を表わす二つの頬を
――強張らせています
――目で笑っていないのです。
そして――
「お前は、オレが最初に出した質問を忘れている様だな……。
質問は、
<苦痛を感じる時、身体で苦痛を表現すべきか?>
だよ
――あまりにも話が逸脱しすぎて、主題を忘れてしまった様だな
――というより、お前がその質問に対して提示した<最初の主張>そのものがもう、論点から逸脱の傾向にあったけどな
――気付かなかっただろ?」
そして坐ったまま、"摂"氏を
前から
蹴りました!!
"摂"氏は、後ろへ吹き飛ばされました
――というより
――足から力が抜けて、
<でんぐり返し>で転がっていきました。
最後にもう一度回転して、足を地に着けます
――構えます
――体操選手が、演技の終了を告げるかの様に
――カッコ良く。
[両手をY字に挙げて直立していないので、ポーズは違いますが……]
"摂"氏は、<痛み>が無い事を確認します。
"蜘蛛宇宙人"は、そこから少し離れて、立っています
――その顔にある"K"は、<軽蔑>に見えます
――闇の中でも
――終わりかけた月明かりの下でも、
はっきり、見えるのです
――そして、"蜘蛛宇宙人"は声に出して、相手に伝えるのです。
「そろそろ、終わると思った?
――甘い……
――まだまだ、終わんねぇよ!!
問題は、人間が苦痛を感じた時、それを"K"として表すかどうかであり、
<他からどう観察されるか?>
ではない。
ラオコーン?
――良い素材を使っても、論点から外れて行ったら終わりだな」
そして、"蜘蛛宇宙人"は笑います
――にっこり。




