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温度  作者: 折鋸倫太郎
はじめての闘い
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はじめての闘い その43

 そして接近――

 "蜘蛛宇宙人"が、

 "摂"氏の、<観覧車>の様な動きを見せる拳

 その縦の動きから結果を予想

 ――しながら、パフ・スリーブを盛り上げて

 ――気合を入れて


 <<――じっとしていれば、ちょうど肩辺りに直撃するだろう

   ――だから、落下し続け、放射線を描き続ける相手の<上からパンチ>を下から弾こう……>>


 とする意識が、全身に表現されているのが見えます

 ――構えは半身で、ですがね…。


 そこにあるものは、緊張というより

 <漲る緊迫感と喜び>

 という印象です

 ――緊張で身体が固まっているのは"摂"氏の方。


 [※身体は固くなっていますが、石化している訳ではありません]


 そして遂に、二人がぶつかるその瞬間!!



 ――が来る前の瞬間!!



 "摂"氏は踵に急ブレーキをかけて勢いを殺し

 ――同時に、腕の回転を止めます。


 その手は、"摂"氏の頭上で止まりました。


 "蜘蛛宇宙人"は、戸惑います

 ――挙動不審ではありませんがね

 ――瞬時、力が抜け、構えを解きました


 ――と、その瞬間!!



 "摂"氏の攻撃!!



 頭上に、まっすぐ突き上げた手を相手に向かって斜めに落としていく

 ――のではなく

 「すとん」

 ――と急降下

 ――腋を締めて


 ――<前蹴り>をしたのです


 ――フェイント、というやつですね

 ――知りませんけど。



 "摂"氏は、相手の腹に、自分の足の裏が当たった感覚を得た、とのこと


 ――そして、以下の様に思ったそうです。


 「そうなのでしょう

  ――あなた("蜘蛛宇宙人")の仰る様に、これまで分割されて考えられてきたジャンルを複合的に捉え、活用することで成立している芸術が既に現代の世の中にあり、それが世間の大勢から支持されている事を考えると、絵画や彫刻など、古典的な、<言葉を用いない芸術形式>についてだけ考えるのは、もう古いのでしょう

  ――あなたが先程から繰り返している、<その他大勢>という対象に当て嵌る者にとっては、特にそうなのでしょうね。

  しかし、あなたとわたしがやっている事は

  ――その様な複合的産物についての

  ――そして、それを用いて進められる

  考察ではなく、

  <言葉に特化した分野>を俎にした議論ではないのでしょうか?

  ――それとも、あなたはこれから絵を書くのですか?

  ――絵と言葉を合成させて、ここで<ひとつのモノ>とするのですか?

  ――わたしはしません……。

  あなたの言う<古い事>と同じ程度に古い事を、あなたとわたしはやっていて

  ――そして、やり続けるのです。

  少なくとも、わたしの理解では、中心的話題となるモノは

  <言葉>

  です

  ――いくら<言葉を用いない芸術形式>について話をしていても…

  ――そして、対象は<言葉でしか表現出来ない事>で在り続けるのです

  ――いつまで経っても……

  ――どれだけ逸脱しても………

  ――痛みは、それそのモノとして在り、感じるモノですが、それを外的世界に表現(または共有、指示)する為には<言葉>が必要なのではないでしょうか?

  ――痛みは、<言葉>という媒介を経なければ二次元以上の高次元では存在しえないのではないでしょうか?

  ――それを吟味する為の導入として、まず<言葉を使用しない芸術について>の話題を最初に持ってくることで、それを対象化しながら、これから展開することとなるだろう<主に言葉を使用して表現する芸術の特質>を見出そうとする、そのアプローチが間違っていたとは思いません

  ――新しかろうが、古かろうが」


 "蜘蛛宇宙人"は

 ――反応に一瞬遅れながらも

 すぐに腰を引きましたが、"摂"氏の蹴りを避けきれなかった様です。

 蹴りを受け、

 ――後方に吹っ飛びました

 ――中腰になり、

 転ぶことだけは避けました。


 ――ダメージは……


 「3」


 としておきましょう。

 "蜘蛛宇宙人"のライフポイントの上限がわかりませんから、それが大きいのか小さいのか、判断は付きませんが……。


 [しかし、古いゲームはどのゲームでも

  ボスは常に

  <そういうモノだった>

  と記憶していますが――

  いまは技術が進んでいるのでしょうから、

  最初から、

  どれだけ攻撃すればボスが倒せるのか、

  どこが弱点なのか、

  プレイヤーに教えてくれる親切な作りをしているのでしょう――

  ほら、どこの世界でも、イージーモードを作らないと腹を立てるヒトがいるものですから]



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