はじめての闘い その37
痛みはすぐに
――少しだけ…
収まりましたが、痺れが強く残ってます。
しかし、違和感のある患部を掻くことも
――触れることも
できません
――"防御層"があるのですから
――皮膚とその"防御層"の間には、ストロー一本さえ、入る隙間など無いのです
――指など、もっての他。
"蜘蛛宇宙人"はまだ、腕を動かしません
――腕はまっすぐ、伸びたまま……
――腕と胴は、"Γ"の形
[向きはどちらでも]
しかし、"蜘蛛宇宙人"は、腋を締め始めました
――まるで、それまで開いていた扇を閉じているかの様でした。
そのヒトの拳が
――それまで宙に捕えられていたが、突然解放された振り子の重りの様に
落下をはじめた瞬間、"摂"氏は
「びくり」
と肩を浮かせました
――が、すぐに沈みました。
意図の有無が、ひどく曖昧です。
そして"蜘蛛宇宙人"は――直立不動の姿勢になります。
手を
ぱー
にしました。
既に<スマーク>は止んでいて
――無表情。
問題の本質を掴み、口で指摘したのですが、相手からの返答をまだ受けていない"摂"氏は、腕に違和感を感じたまま、何故か、
構えました
――太い<丸太>か<鉄骨>を、その両腕で抱きかかえるポーズで。
戦闘態勢――と呼べるかどうか、疑問です。
熟練した技能を保持した<格闘家>が何気なくする様に、立ち姿がキマって
いませんから……
――拳の位置に段差
――前後
――を、つけていないのです
――まるで、バスケットボールに於いて
――① 一方の掌の上にボールを置き、他方で落ちない様に添えて、ネットへ投げ込む形でシュートするバスケットボーラーの<典型的ポーズ>
それの出来ないヒトが
――② ボールの側面(球体ですから、厳密に云えば<側面>などというモノは存在しない筈なのですが……)を両手で挟んで、そのまま、胸からキャノン砲の様に、一気にボールを押し出す
[①は、放射線を描いてゴールに「すとん」と落ち込む
②は、バックボードにまっすぐ当てて(つまり、障害物への衝突を利用して)、ボールを網の中に入れようとする
その<②>の様な恰好悪い]
そんな素人じみた<ぎこちなさ>が、"摂"氏の構えにありました。
それは、
<ご愛嬌>
――なのでしょうか?
"蜘蛛宇宙人"は、次の攻撃を仕掛けてきません。
視線だけが、二人の間で行き交います。
だから、
「リアリズムの観点から、その問題を議論すべきですか?」と、切り出す"摂"氏。
<<リアリズムと云っても、いつの時代の、何処の<それ>だ?>>
と自責しながら。
「そんな事は、わざわざ言わないでいいんだよ――唯、打って出ればいい」
そう宣言してから"蜘蛛宇宙人"は拳を作り、
急に振り上げ
――反応した"摂"氏は顔を守ろうと、両拳を、顔と平行の高さとなるまで上昇させます
――"摂"氏の拳の位置より高く上がっていく"蜘蛛宇宙人"の拳……
それが頭上で止まり、
手首が回って
――摂氏は、黒の中にある、ソネットの文字列を、下から目線で見ます。
そして、
打ち下されました!!




