はじめての闘い その22
身と服を新たにして、ジュネス・ドレ"と"摂"氏のふたりは、"ジュネス"邸を離れ、
町へ繰り出し
――気晴らしをしてから、
館に戻って、
ダイニング・ルームで勉強し、
――少し休んで
――繰り返し
――<日没>…
――間、娯楽はあっても音楽はなく
また勉強を続け
――最後に
「明日も早いから、そろそろ」
と、その日は少し早め
――と言っても、日付が変わる、少し前
――時計の法に縛られた人間が迎えなければならない、<週末の終了>を意識するきっかけ
に、学問を切り上げることと、相成りました。
その日、"ジュネス・ドレ"の両親は、帰宅しませんでした
――"摂"氏も特に、それについて何か、コメントを挟む事はありませんでした。
その日もずっと、暑い日でした。
夜になって、温度そのものは下がっても
――"摂"氏の体細胞すべては<石炭>の様で
――それも<フレア>に、瞬発的に燃え上がる様ではなく
――石の中心に火の根が燻って
――オレンジの明かりが黒の中、呼吸して見える様な
そんな<暑さ>のままでした。
それは、<興奮>とは、異なりました。
夜気など本当にあるのか信じられない程の、
――1) その<居心地の悪さ>と
――2) ダイニング・ルーム天井から吊るされた、<アノテル パクティキュリェー>に在るに相応しい、高級感のある、金色の錨型ライトから落とされる、<明るすぎる明かり>、
その二つの中、
――恥ずかしくもないのに火照りが消えない"摂"氏がターブルに広げていた道具を片づけ始めると、
「……風呂でも、勝手に入っていいから」
と、椅子の背に片方の腋を掛けて、スティロ(ペン)を、人差し指を軸にして回転させる"ジュネス・ドレ"
――しつこく勧めるところを見ると、余程"摂"氏に、風呂へ入ってもらいたい様です
――"摂"氏は、体臭がキツイタイプではないのですがね……。
上の様に勧めるヒトのポー(皮膚)は、午前より、
よりブリュヌに思われます。
<<自分もそう成ったのだろうか…?>>
"ジュネス・ドレ"は、足を組んでいます
――組んだ方が、上下に揺れています。
「では、気が向いたら」と"摂"氏が返し、<離れ>へと踵を返し
――かけると、
「(風呂の)使い方、わかる?」
と尋ねられ、
「わかりませんが、予想は出来ます。では、おやすみなさい」
そして、二人は別れま――
「あ、泡風呂のボトルもあるけど――」
――せんでした。
「そうですか」と振り返る"摂"氏。
そして再び行きかけると――
「バスタブの傍に<ボトル>があるから――紫のボトルだから。それを最初にバスタブに少し垂らしてからゆをいれるんだ」
"ジュネス・ドレ"はそう、ジェスチャーを交えて、解説しました。
<<ゆ?
――ああ、湯>>
"摂"氏は理解してから、頷き、
「お休みなさい。また明日」
「明日は起こそうか?」
「お願いします」
「オレも、ちゃんと起きれるタイプじゃないから、もし起きれなかったら…」
「起こします。では」
こうして、"摂"氏は、"ジュネス"邸のダイニング・ルームから出ることが出来ました。
ふう、やっとこれから、表題の<はじめての闘い>が本格的に始まるのです
――しかし、これまで進めてきた<語り>の傾向から、簡単には始まらないことが予想されるでしょうけどね
――すべては踵を接しているのですが…。




