はじめての闘い その21 ―たいしたことない れふろんてきぃ―
「ネモ?(誰でもない?)」
と"摂"氏が訊き返して、ぼやけた意味を特定しようとしたら、
「クイスクイス(誰でもいい)」
"摂"氏には、意味がわかりません
――ラテン語がわからないのではなく、相手の意図が把握できないのです。
[「敵」=「誰でもない」=「誰でもいい」]
すると、
「テー コギウント ウィウェレ――イド エスト、ソダーリス ノストリ」
つまり、
[誰だろうと、そいつらは、お前が<生きる>ように強いる者達なんだ――即ち、我々の<仲間>なんだ]
「ノストルム?(わたし達の?)」
[「敵」=「誰でもない」=「誰でもいい」=「仲間」]
先ず、"摂"氏には、その「わたし達」という言葉には<誰がどの程度まで>含まれるのか、予想がつきませんでした
――"摂"氏自身を含めるのか
――"蜘蛛宇宙人"は発言者ですから含まれるのでしょうが…
――"ジュネス・ドレ"は?
――技術が不足していても競争心だけは一丁前にある馬の骨も?
続いて、疑問に思います。
<どうして「敵」が「仲間」なのか?>
<<矛盾している…>>
――しかし、後で分かることですが、この表現は矛盾していないのです
――もし、<後>というのがここにあれば、の話ですがね。
"摂"氏が黙っていると、"蜘蛛宇宙人"が勝手に続けました。
「ハウド デー エイース アモウェベリス スキーリケット」
[勿論、お前がそいつらから排除されることは無いだろう]
あまりにも話が抽象的なので、もう"摂"氏は口を挟みません
――勝手に話をさせておけば、そのうち状況が把握できるのでしょう
――その時!!
バス・ルームから、音がしました
――シャワースペースのガラス戸を強く閉める音
――そして、付帯した振動。
籠った
――ガーゼに包まれた様な
<音>と<揺れ>でしたが、二人は、はっきり聞き取ることができました。
すぐに
「ヌンク」
と、バスルームの気配を伺う様に、切り出す"蜘蛛宇宙人"。そして――
「ヌンク ノン エスト ミヒ テンプス サティス コロクオー テークム」
つまり、
[いまは説明してる暇がねぇ!]
さらに、
「イン アリウッド テンプス ディフェロ――コロクオー(後でまた話そう)」
「アリウッド――エリット?(次なんて機会があるのですか?)」
「ウティナム…」
そして、"蜘蛛宇宙人"は踵を返します
――すごい速さ
――まさに蜘蛛
角を曲がって
――"摂"氏は"ジュネス"邸ダイニング・ルームまで追って、
後姿を見失いました。
その時、"摂"氏も、為さなければならない目的を忘れていたことに気がつきました
――最も重要で、優先しなければならない目的
――即ち、着替え。
ダッシュでダイニング・ルームを出て
――玄関スペースから裏口のドアを出て、
"ジュネス"邸の<離れ>に辿りつきました。
鍵は、開いていました。
服を脱いで、荷物にあった<清潔>を着ようとした時
――ノックの音が。
「準備出来たか?」
――その声、"ジュネス・ドレ"。




