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温度  作者: 折鋸倫太郎
はじめての闘い
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はじめての闘い その18

 どうも話が、うまくみ合っていません

 ――そういう場合には、人間関係を壊すことを希望しない<普通>のヒトがいつも取るだろう手

 ――すなわち、<話題の転換>

 を行うのが、最適なのでしょう。


 「ふう」


 とため息をついてから、


 「オレも一丁いっちょ、浴びてくるわ」と、"ジュネス・ドレ"。


 立ち上がり

 ――前屈かがみになり

 ――コンピューターゲームを止めたのでしょう

 ――画面と電子音が


 「ぷつ」


 と、とつぜん切れて

 ――ブラックアウト

 ――しかし、TVには何も映らない訳ではない

 ――中に、鏡の様に反転した、小さくなった"摂"氏や

 ――ゲームのコントローラーを巻き取る、小さくなった"ジュネス・ドレ"が、

 黒く

 ――キャンバスの上に黒砂糖とありを乗せて作ったアートの様に、

 動いていて

 ――<蠢動しゅんどう>していて、

 

 <<"ジュネス・ドレ"は、<セーブ>しないタイプなのだろう>>

 

 ――それとも、車を運転するゲームに<セーブ>は必要ないのでしょうか?

 ――知りません。


 "ジュネス・ドレ"は上半身を起こして"摂"氏に面し、


 「あとで、<外>に出ようぜ」


 と、による、窓外そうがいへの示唆しさ。そして、


 「一日中、うちにいてもしゃーないし」


 そこで、


 「そうですね。では、<離れ>の方にいますから、終わったら呼んでください」


 ――"摂"氏の親指による示威しい


 [どちらも同じ方角を指しましたが、ジェスチャーが伝える意味は異なります] 


 "摂"氏は続けて、


 「着替えたいですから」


 ――服の、肩のラインを、つまみます。


 "ジュネス・ドレ"は、重心を置いていた軸足じくあしを変えました

 ――そして、何も言いません

 ――本心をライン(「層で覆って中身を隠すこと」)しているのかも、しれません。


 「それとも…こっち("ジュネス"邸母屋)にまた、来た方がいいですか?」


 という<アン アンヴィテ>(ゲスト)として吐くに相応しい「相手の意向を伺ってから行動します」を明確にしたライン(台詞)を"摂"氏がすべて言い終わらないうちに、


 「後で、そっちに呼びに行く」と、き(巋)然たる、"ジュネス・ドレ"。


 「では――」


 そして"ジュネス・ドレ"は、"摂"氏の立っている方から

 ――遠ざかって行きます。

 直接

 ――つまり、"摂"氏がやって来た様にではなく

 ――つまり、ダイニング・ルームとキッチンを迂回せずに

 バスルームに入るのです。


 [注1:以前、この"ジュネス・ドレ"の部屋は、"ジュネス"邸ダイニング・ルームと同じ様に<Lえる>字型をしているのだ(<L>を左に90度回転させた形)と語った記憶がありますが、バスルームへのドアは、Lの長棒の先にあります]


 [注2:左手親指と人差し指で"ジュネス・ドレ"の部屋の<L>を作ると、ダイニング・ルームへのドアが<親指の腹>、1Fバスルームへのドアが<人差し指の爪>に当たります]


 [注3:ちなみに、ダイニング・ルームの<L>と"ジュネス・ドレ"の部屋の<L>は同じ大きさではありません――前の方が、面積がより多く有ります]


 "ジュネス・ドレ"の後姿が消えようとしても、

 何故か、

 "摂"氏は動こうとはしません。


 そして、その部屋とバスルームをつなぐドアが閉まった途端、


 ――気配が!



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