はじめての闘い その13 ―いる ふぇ ら すーる おれいゅ―
"ジュネス"邸ダイニング・ルームに、"摂"氏の同級生、"ジュネス・ドレ"が立っていました。
無表情です
――友情を重んじる者なら、それに直面した時、
「怒ってる?」
と尋ね、
たとえ相手が実際に怒りを覚えていても、
「怒っていないよ」
――と嘘をつく
――そして、人差し指を宙に立たせて左右に振る
――そうすることで、相互間にある緊迫を緩和させようとし
――その後に展開すべき会話の糸口を撚り出す下準備
という定型行動が見られるのでしょう。
"ジュネス・ドレ"は何も言いません
――その視界は、キッチンで面する、"蜘蛛宇宙人"と"摂"氏を捉えていません。
すると、"蜘蛛宇宙人"が動き出しました。
キッチンを出
――"ジュネス・ドレ"の脇を抜けて
――ダイニング・ルームを出て
――玄関スペース
――もう"摂"氏の視界から消え…
――突出した肩
――その残像
――ドアの閉まる音。
それが終わってから、
"ジュネス・ドレ"は、"摂"氏をその目で、捉えました
――そして、和らぐ表情。
「起きてたなら、起こしてくれれば良かったのに」と、"ジュネス・ドレ"。
そして、ダイニング・ルームに入って来ました。
近づく相手に、
「昨日の晩は、遅くまで勉強していた様ですから…」と"摂"氏が返すと、
「昨日(既にその日)は、朝までやってたよ」
そして、時計を見ます。
時計は、キッチンの壁に、高く、据え付けられています
――長針が動きました
――その時になってはじめて、"摂"氏は時計がキッチンにあったことに気付きました。
「でも、ちゃんと寝てんだな」と"ジュネス・ドレ"。
"摂"氏が同級生に視線を戻すと、
"ジュネス・ドレ"はセレアルとレが入ったボルを見ています。
「先に飯、食っててくれて、良かった」
「そうですね――<お兄さん>が…」
その時、緊張が、鳥の様に、一直線に走りました。
そして、"ジュネス・ドレ"は、その後を言わせない、という雰囲気を滲ませたまま、キッチン・キャビネットを開けました。
そして、自分の分のパンを出し、オーブンに入れました。
居心地の悪い、沈黙。
"ジュネス・ドレ"は、窓外を見つめています。
"摂"氏の目の前で、セレアルは、
ぱりぱり
を失って、オートミールの様になっています。
"摂"氏が、
「あの方は…」と切り出すと、
「あんなヤツ、知らない」
"摂"氏が決然を前に、戸惑っていると、
「たぶん、<泥棒>じゃね?――厭だね、ホント。戸締りはしっかりしなきゃ」
その時、パンが焼けたことを告げる音がしました。
"ジュネス・ドレ"は取り出し
――皿に乗せて
――スツールを引いて
――軋ませてから、
"摂"氏の隣に座りました。
あとはずっと、食事の上で、会話をします
――学校のこと
――勉強のこと
――そして、"ジュネス・ドレ"が登場する前に在ったことが<無かったこと>になっています。




