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温度  作者: 折鋸倫太郎
もびりえ ふゅねれーる
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114/395

もびりえ ふゅねれーる その16

 ――"ジュネス"夫妻がいました。


 "ドレ":「おかえり」


 "ジュネス"夫人:「ただいま」


 "ジュネス"氏:「…………」



 ――"ドレ"は"階段を降り、

            "摂"氏が続きます


 ――四人が同じ場に会します



 ――"摂"氏が会釈をしました

              面する二人も会釈しました。


 "ジュネス"夫人:「こんばんは」


 "ドレ":「もうちょっと帰り、遅いと思ってたんだけど…」


 "ジュネス"夫人:「早く終わったから」


 "ジュネス"氏:「…………」


 ――そして

      "ジュネス"氏と"ドレ"は

                 視線と言葉を交わしません

 ――"ジュネス"夫妻も、そう。


 ――"ジュネス"氏は、<ダイニングルーム>

                     とは反対にある

 ――<仕事場>

        の方角に向かい

 ――歩き



 ――去りました



 ――それを、三人で、見送りました



 ――そして、"ジュネス"夫人は待つのです

                    会話の切り出し


 ――そして"ジュネス"夫人と"摂"氏が視線を交わし

 ――"ドレ"は、父親の

           消えた後姿

                その残像

                  それも消えて……

 ――ただの空間

        それを見つめるのです


 ――それも終わり、


 "ドレ":「じゃあオレ等、行くから…」


 ――と、歩きかけると、


 "ジュネス"夫人:「もう?」


 "摂"氏:「失礼します」


 "ジュネス"夫人:「それじゃ――」


 "ドレ":「あ!」


 "ジュネス"夫人:「どうしたの?」


 "ドレ"(親指で"摂"氏を示しながら):「あ、オレ、コイツ送っていきたいから、"運転手"さんに頼んでいい?」


 "ジュネス"夫人:「遠いの?」


 "ドレ":「遠くない――よな? 家」(と、"摂"氏に向かって)


 "摂"氏:「送っていただかなくて結構ですよ。ひとりで帰れますから」

 

 "ドレ":「確か家は、○○(地名)だったよな?」


 "摂"氏:「そうですが、ひとりで帰れますから」


 "ジュネス"夫人:「○○なら遠すぎる事はないわね」


 "ドレ":「じゃあ、"運転手"さんに頼んでくる」


 "ジュネス"夫人:「いま、ガレージにいて、こっちに寄る筈――」


 ――"ドレ"は"摂"氏に向き直り、


 "ドレ":「ウチのドライバーに送らせるから」


 "摂"氏:「いえ、結構です」


 "ドレ":「いや、送らせるから」


 "摂"氏:「いえ、結構です。バスで帰ります」


 "ジュネス"夫人:「………」


 "ドレ":「遠慮するなよ」


 "摂"氏:「遠慮ではなく、寄る場所があるので」




 ――その時!!




 ――"摂"氏の視界の外で何かが動くのが見え

 ――窓の向こう

 ――庭の向こう

 ――黒い鉄柵の向こう

 ――"運転手"氏

        以前、"摂"氏が学校帰りに見かけたヒト

        と同人物

        が、"ジュネス"邸前の歩道に見え

        館の方へ向かって歩いています


 ――角を折れ

 ――まっすぐ。


 "摂"氏:「本当にいいので……

      それでは」


 ――"ジュネス"夫人はお辞儀をします。


 刻一刻と、近づく"運転手"。



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