もびりえ ふゅねれーる その16
――"ジュネス"夫妻がいました。
"ドレ":「おかえり」
"ジュネス"夫人:「ただいま」
"ジュネス"氏:「…………」
――"ドレ"は"階段を降り、
"摂"氏が続きます
――四人が同じ場に会します
――"摂"氏が会釈をしました
面する二人も会釈しました。
"ジュネス"夫人:「こんばんは」
"ドレ":「もうちょっと帰り、遅いと思ってたんだけど…」
"ジュネス"夫人:「早く終わったから」
"ジュネス"氏:「…………」
――そして
"ジュネス"氏と"ドレ"は
視線と言葉を交わしません
――"ジュネス"夫妻も、そう。
――"ジュネス"氏は、<ダイニングルーム>
とは反対にある
――<仕事場>
の方角に向かい
――歩き
――去りました
――それを、三人で、見送りました
――そして、"ジュネス"夫人は待つのです
会話の切り出し
――そして"ジュネス"夫人と"摂"氏が視線を交わし
――"ドレ"は、父親の
消えた後姿
その残像
それも消えて……
――ただの空間
それを見つめるのです
――それも終わり、
"ドレ":「じゃあオレ等、行くから…」
――と、歩きかけると、
"ジュネス"夫人:「もう?」
"摂"氏:「失礼します」
"ジュネス"夫人:「それじゃ――」
"ドレ":「あ!」
"ジュネス"夫人:「どうしたの?」
"ドレ"(親指で"摂"氏を示しながら):「あ、オレ、コイツ送っていきたいから、"運転手"さんに頼んでいい?」
"ジュネス"夫人:「遠いの?」
"ドレ":「遠くない――よな? 家」(と、"摂"氏に向かって)
"摂"氏:「送っていただかなくて結構ですよ。ひとりで帰れますから」
"ドレ":「確か家は、○○(地名)だったよな?」
"摂"氏:「そうですが、ひとりで帰れますから」
"ジュネス"夫人:「○○なら遠すぎる事はないわね」
"ドレ":「じゃあ、"運転手"さんに頼んでくる」
"ジュネス"夫人:「いま、ガレージにいて、こっちに寄る筈――」
――"ドレ"は"摂"氏に向き直り、
"ドレ":「ウチのドライバーに送らせるから」
"摂"氏:「いえ、結構です」
"ドレ":「いや、送らせるから」
"摂"氏:「いえ、結構です。バスで帰ります」
"ジュネス"夫人:「………」
"ドレ":「遠慮するなよ」
"摂"氏:「遠慮ではなく、寄る場所があるので」
――その時!!
――"摂"氏の視界の外で何かが動くのが見え
――窓の向こう
――庭の向こう
――黒い鉄柵の向こう
――"運転手"氏
以前、"摂"氏が学校帰りに見かけたヒト
と同人物
が、"ジュネス"邸前の歩道に見え
館の方へ向かって歩いています
――角を折れ
――まっすぐ。
"摂"氏:「本当にいいので……
それでは」
――"ジュネス"夫人はお辞儀をします。
刻一刻と、近づく"運転手"。




