もびりえ ふゅねれーる その14
日付が記された面が露わになっていた<大学ノート>と共に、
"摂"氏は背を向けます。
「では行きましょうか」
そして、"蜘蛛宇宙人"の部屋から出ようとする
――のですが……
「先程」
そして
――再び、
二人は向き合うのです。
「先程あなたは、
"ルィェ"さんが、あの<段ボール>を残そうとした
って言ってましたよね?」
「それが?」
「――どうしてそんな事がわかるのですか?」
「<どうして?>――どういう意味?」
「"ルィェ"さんが、これ(ノート)等を残そうとしたかどうかなんて……」
「ふん」
――と、"ジュネス・ドレ"は笑います。
「残すつもりがないなら、全部焼いて
――全部壊してから
死んだだろ?
そうに決まってる」
そして視線を外し
――部屋を見回します。
部屋に<動き>も、<変化>もありません。
この時になって、"摂"氏は
<"蜘蛛宇宙人"の死が『どれ』であったか>
予想がつきました。
「そうですか」
――としか言いませんでしたが。
「もうこれは全部ゴミだ――」
と、"ドレ"が呟きます
――宙に向かって。
["ドレ"は、「ぜぇぇぇぇんぶ」と発音しましたが……]
「こんなの、全部、ゴミ以外の何モノでもない。
そこら辺の――
知ってるか?
大手古本屋の買い取りで、ラテン語とか、外国語の本
――特に研究書
は、この国の言葉で書かれた一番安い<文庫>
――それも、書き込みされて保存状態の悪いそれ
の<半額>にしかならないって事。
大手じゃなかったら、値段は付かないで、ただ引き取りだよ
――内容なんて、関係ないんだから。
漫画よりも安くて
――CDやビデオよりも安いんだよ
――素晴らしいよな。
<需要と供給の問題>だから、それに、何も問題は無いんだけどさ。
出版された<本>だって、そうなんだ…
――そんな、どこのどいつが書いたかわかんない様な<ノート>なんか論外だろ?
世の中、
売れなきゃ何したって意味無いし、
使われなきゃ単なる<ゴミ>」
そして、笑いました
――そして、棚を見やります。
「そこら辺の薬品だってそうだ
あ、薬品は売れるのかもな
――売ろうと思うなら。
どっちにしろ、オレは使えるヤツを知らないし
――使う能力のあるヤツは最初から持っているだろうし。
実際、オレは使わない
――オレの家族もそうだ。
誰も使わない
――つまり、ゴミだろ?
――全部<ゴミ>だ
――アイツの人生と同じ
――この世の中では、な」




