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温度  作者: 折鋸倫太郎
もびりえ ふゅねれーる
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112/395

もびりえ ふゅねれーる その14

 日付が記された面が露わになっていた<大学ノート>と共に、

 "摂"氏は背を向けます。


 「では行きましょうか」


 そして、"蜘蛛宇宙人"の部屋から出ようとする



 ――のですが……



 「先程」


 そして

 ――再び、

 二人は向き合うのです。


 「先程あなたは、


  "ルィェ"さんが、あの<段ボール>を残そうとした


  って言ってましたよね?」


 「それが?」


 「――どうしてそんな事がわかるのですか?」


 「<どうして?>――どういう意味?」


 「"ルィェ"さんが、これ(ノート)等を残そうとしたかどうかなんて……」


 「ふん」


 ――と、"ジュネス・ドレ"は笑います。


 「残すつもりがないなら、全部焼いて

  ――全部壊してから

  死んだだろ?

  そうに決まってる」


 そして視線を外し

 ――部屋を見回します。


 部屋に<動き>も、<変化>もありません。



 この時になって、"摂"氏は


 <"蜘蛛宇宙人"の死が『どれ』であったか>


 予想がつきました。



 「そうですか」


 ――としか言いませんでしたが。



 「もうこれは全部ゴミだ――」


 と、"ドレ"が呟きます

 ――宙に向かって。


 ["ドレ"は、「ぜぇぇぇぇんぶ」と発音しましたが……]


 「こんなの、全部、ゴミ以外の何モノでもない。

  そこら辺の――


  知ってるか?

  大手古本屋の買い取りで、ラテン語とか、外国語の本

  ――特に研究書

  は、この国の言葉で書かれた一番安い<文庫>

  ――それも、書き込みされて保存状態の悪いそれ

  の<半額>にしかならないって事。


  大手じゃなかったら、値段は付かないで、ただ引き取りだよ



  ――内容なんて、関係ないんだから。


 

  漫画よりも安くて

  ――CDやビデオよりも安いんだよ

  ――素晴らしいよな。


  <需要と供給の問題>だから、それに、何も問題は無いんだけどさ。


  出版された<本>だって、そうなんだ…

  ――そんな、どこのどいつが書いたかわかんない様な<ノート>なんか論外だろ?


  世の中、

  売れなきゃ何したって意味無いし、

  使われなきゃ単なる<ゴミ>」


  そして、笑いました

  ――そして、棚を見やります。


 「そこら辺の薬品だってそうだ

  あ、薬品は売れるのかもな

  ――売ろうと思うなら。

  どっちにしろ、オレは使えるヤツを知らないし

  ――使う能力のあるヤツは最初から持っているだろうし。


  実際、オレは使わない


  ――オレの家族もそうだ。

  誰も使わない

  ――つまり、ゴミだろ?


  ――全部<ゴミ>だ

  ――アイツの人生とおんな

  ――この世の中では、な」



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