もびりえ ふゅねれーる その12
「嘘だ!!
――お前は綺麗事を言ってる!!!」
そう"ジュネス・ドレ"が返すと、
「そうですよ
――わたしは綺麗事を言っているのです」
間がありました。
そして、二人は無表情
――しかし、その<無>には穴があったのでしょう……
――綻ぶのです。
"摂"氏が先に、綻ばせるのです
――唇を合わせて
――放屁によく似た
――下品な
音を立てて。
そして――
「気付きましたか?
――わたしが主張した事は、主張する前から反証されていた事」
"ジュネス・ドレ"は睨みつけました。
「<あなた>が、反証していたのですよ」
間。
"摂"氏が何も言わないせいなのか――
「どういう意味?」と、継ぐ"ドレ"。
「勿論、多くのヒトは優れたモノが欲しくはないのだろうと思いますよ
――わたしは、何人もそういったヒトに会いました
――そのヒト達は皆、必死でした。
でも、ヒトは色々ですからね
――あ、<色々>の具体は問わないで下さいね
――具体的にしたくないからこそ、<色々>という抽象的な言葉で誤魔化しているのですから
――それも
敢えて――」
「どういう意味だ!?」
立て続けに"ドレ"は
「――お前、さっきから意味わかんねぇよ!!
――わかった様な口利きやがって!!!」
――そう、怒鳴りました。
すると、"摂"氏は
「ふふふ……」
と忍び笑い
――フランス語の<アール>の様な音を混ぜて。
続けて、
「<多くのヒト>はそうであるとしても、<例外がある>という事なんですよね」
"ドレ"は、睨みつけている!!
泰然として受けた"摂"氏は
「その<例外>が無ければ、この世に<石器>がある訳がないのです
――<弓矢>が
――そして<火>が。
<人間が全て>わたしの主張する通りであるなら、いま、
<アート>
が何も無い筈なのです
――しかし、そうではありませんよね?」
そして
「つかつか」
と歩き
――立ち止まり、
<パソコン>に手をやって、
「タップ」
する様に、叩きました
――そして、笑いかけました。
"ドレ"の顔が
「ほんのり」
染まり
――攻撃を再開しようとすると、
「その例外こそ、あなたなのです。
わたしがこれまで出会った多くの<類型>たち
――生きていようが架空だろうが、<類型>的行動を取るヒト。
しかし、あなたは<それ>にそぐわないヒト
――つまり、<人間>なのだ
そう、思うのです。
あなたは、<人間>なのです」
そう、"摂"氏は断言するのです
――偉そうに。
[小説作法的には、"ジュネス・ドレ"は
<個性が無く>
<キャラクターが立っていない>
――のでしょうね
――知りませんけど]
"摂"氏は続けます。
「わかります?
あなたが、わたしの言った<多くのヒト>に該当するなら、抑々わたしはここへ
――この家へ
来なかったのでしょうし、それに
――あなたは既にそれら(そして段ボール箱を指します)を破棄していた筈です
――それに価値のあるモノが詰まっているならば。
[そして、この話は始まっていなかったでしょう……]
つまり、わたしが繰り返し示した<多くのヒト>という対象は、ここではあまり<多くない>事が、既に明らかになっていたのです。
<多く>というモノは、やはり、<全て>ではないのですよね」
<ここでは>
と発話した時、"摂"氏は人差し指で、地面の方へ、向けていました
――親指を
「ぴぃん」
と立てて。
[ああ!! ここで
――<フラグ>という言葉で、関連付けを行いたいのですが
――<フラグ>の<使い方>が
<概念>が未だ
いまいち
よく、わかりません……
しかし、その言葉が何か、この状況を直接示している様にしか思えないのです………]
最後に、"摂"氏は付け加えます。
「これから議論を<集合論>に移行させて
――"セッ"トしましょうか?」




