もびりえ ふゅねれーる その9
目を細めた"ドレ"が、機械に手を伸ばします
――丁度、「コ」の内側の空間に、手をかざす様に。
そして、手が<紫の光>に
「ぼわ」
と包まれます。
すると、
「あっち!」
と手を引っ込め、
宙でそれを
――折り畳まれていたハンカチの様に
――手洗い後の水切りの様に
振って
「冗談」
と、笑います。
["摂"氏には、何が冗談なのか、わかりませんでした]
"ドレ"は、日焼けマシンのスイッチを切りました。
影に背中を包まれた"ドレ"はそのまま
――部屋を横切り
テーブルのある壁と正反対の壁の方へ、向かいました。
部屋全体の電気が付きました
――"ドレ"はそのまま何も言わず、部屋の奥へと進んでいきます。
その部屋(仮に<"蜘蛛宇宙人"の部屋>としておきましょう)の電気は天井に
――ではなく
壁に
――ランプの様に
――壁から突きだす様に
――<シャンピニョン>の様に……
付いていました。
それも、コンクリートで埋まった<窓>と<窓>の間
――等間隔に。
刺激の少ない光でした。
そして、気付くのです
――テーブルランプひとつに依った<光>では、暗闇の中でも<明らか>だった
埃
――ずっと"蜘蛛宇宙人"の部屋で、<ボルティジェ>の状態だった<それ>……
が、
「ぱ」
と見えなくなった事。
部屋の真ん中には、スチール製の棚が奥まで、一列に並んでいます。
それぞれ、食器棚の様な――
[あの――
よく、事務所や、学校の職員室を設定する時、典型的に壁に並べられるモノと同じです]
棚は上下に分かれ
――上はガラス張り
<<中に、色とりどりのボトルが隙間無く、並べられています……。
ボトルにはラベルが貼ってあり、それぞれ文字が書いてある様です…>>
――下はスチール製の引き戸
<<中を見る事は出来ません>>
"摂"氏が近づくと、
透明の障害越しに――
ボトルのラベルが、<ラテン語>で書かれているのが見えました。
"摂"氏は、棚の下部の扉、その取っ手に、手をかけました。
開かない!!!
"摂"氏は、視線を転じます。
ところどころに
――"摂"氏が"ジュネス"邸二階廊下で見た
コピー機に似た機械
――によく似た機械
[洗濯機にも似ているのです………]
があります。
実際"摂"氏が、一番手近にあったその<機械>の蓋を開けて見ると、中は<漏斗>状になっていました。
[どうも、その機械はどれも同じ大きさ、形に見えても、用途によって種類が異なる様です]
しかし、使い方は、見当もつきません。
すると
「こっち!」
と"ドレ"の声
――部屋には響きません
――<オーディブル>ではありますが。
「ちょっとこっち来てくれ!!」
奥
――ちょうどその時、開いていた、"蜘蛛宇宙人"の部屋、唯一の窓
――傍らで棚引くカーテン
――<<豹柄……>>
それに面する
――部屋の隅………
"ジュネス・ドレ"が立ち――
待っています。
そこには、<パソコン>が一台、ありました
――デスクトップ型の、大きく、奥行があり、重量感のあるディスプレイでした……
――"ドレ"は、その角に、掌を置いています
――寄り掛かる様に。
"摂"氏は急ぐ様に、近づきます。
ディスプレイの隣に
パソコンのデイトゥムかデータを保存する為に使用する
<黒く、薄い、小型の、正方形のデバイス>――
[いま、<フロッピーディスク>は――依然として――<名詞>として社会の中、通用しているのでしょうか?]
がケースの中、並べられて
――収められていました。




