第2話ジョーノルド「勇気を求める旅路へ」
突然だが、俺には勇気ない。
俺は勇気を含める性格は環境によって変わると考えている……
もし、ねちっこい環境に生まれていたらねちっこくなるし、怒りっぽい環境に生まれていたらねちっこくなるし怒りっぽくなるだろう……
勇気がないのは周りのせいなのだ。それに、俺の時を巻き戻す能力も勇気をなくす理由になっているだろう、自覚している……
勇気のない人生は得をしない、楽もできない。
ただただ普通の人生。
だからこそ俺は、勇気を探し出す……そして勇気のある人間になる必要がある……勇気を持っているという絶対的根拠が俺を勇気のある人間にしてくれる。
秘宝争奪戦、これは俺の人生を変える都合の良い舞台装置なのだ。
争奪戦に関わっている人間の見分けの付け方はわからない、話しかけるしかない。
「聞いたか?野心を持つ人間がタッグを組んだらしい。争奪戦に乱入したって話だ。いい的だったってのによぉ」
耳に飛び込んできた言葉は、秘宝争奪戦に参加している人間の台詞だった。
裏路地でこっそりと話している男が一人いる。
……ライバルは減らさないとな。秘宝争奪戦は主催者がある程度の犯罪をもみ消してくれる、殺人ももみ消されるだろう。
俺はナイフを持ってゆっくりと近づく。誰かと電話しているようだ。
このまま背後からぐさりと、刺すことはできない。
勇気を持つ人間は漢であるべきだ。漢は不意打ちはしない、正々堂々と勝負を仕掛ける。
「おい、俺はジョーノルド・アスキン・ベガー。秘宝争奪戦に参加している。お前は?」
そういった俺にやつは電話を止めこちらを振り向いた。
「あぁ~?なんだてめぇ、このジャクソン様にそんなこと言っても良かったのかぁ~?死ねやぁ!」
ジャクソンと名乗った男はこちらに突撃してきた。
突き出された右拳から、喧嘩慣れしていることがわかる。
俺は拳を避け、ナイフをやつの顔に突き出す。
頭を後ろに下げることで避けられた。
腰が入っていなかった一撃だったのもある、次は変則的に動かないとな。
「なんだぁ!?そんなもんかクラァ!」
またしてもパンチ。今度は簡単に軌道が読める。
すっと避け、ナイフを突き刺す。が失敗に終わった。
避けるのが上手い、俺は体重をかけて突き出したナイフを引っ込めようとしたが遅い。腕が伸び切っている分、反撃される。
ジャクソンの左足が俺の顔面を見事に撃ち抜いた。
油断した、ヤバい。
体勢の崩れた俺は前向きに倒れる。
そして、追撃。ごっ、と肩に打撃が当たる。
首に衝撃が走る。
ヤバい、ヤバいぞ。
俺の時を巻き戻す能力は数秒単位で使えない。
それに代償に自分から何かを奪う、使うのは危険だ。
反撃を……
ナイフを構えて防御の姿勢に入ったががら空きの足を狙われた。
足払いをされて、こかされる。
ナイフが手から離れる。
それが良かった。
裏路地のぬかるんだ地面、手から離れたナイフ、足払いで低い姿勢にいる俺とジャクソン。
このアイデアを実行する。正々堂々戦いたかったが、死んだら元も子もない、俺は勇気を手に入れるんだ。
俺はぐっと頭を地面に近くした。屈んだ体勢。
次にナイフが落ちる。ストンと地面に刺さる。
ジャクソンは立とうとしている。俺は落ちたナイフを蹴り飛ばした!これ以上ないほど蹴り飛ばした!
ナイフはあまり飛ばなかったがジャクソンの横をきれいに飛んでいった!あたりこそしなかったがビクッと一瞬の硬直を生んだ!生命の本能が敗北の隙を作ってしまった!
俺は落ちていた石を手に取り、ジャクソンにぶん投げた!そして飛んでいったナイフを手に取りジャクソンの心臓に突き刺した!
勝負は一瞬で決まった。
秘宝は持っていないようだな。殺人はもみ消されるが、警察に捕まって時間をロスするのは勿体ない、すぐに離れないと……
俺は裏路地を抜け出し、人集りの方へ突っ込んでいった。




