第2話レイヴン、ショウヘイ「不可侵の友好関係」
「取り敢えず、ここから離れるぞ。一応は俺がリーダーだ」
人混みの少ない道に佇んでいた僕たちは移動を始めようとした。
「わかったよ。それでいい。それでどこに行くんだ?」
「あぁ、それは――――――――」
「行かせないぜぃ!」
ショウヘイが何か言おうとしているところに、デカい遮り声が響いた。
声の主を探すと、珍妙な格好をした男がこちらに立っている。
「誰だ?てめぇ、名乗りやがれ!」
ショウヘイは問いただすように声を荒げた。
何を荒げることがあるんだ。
アイツは隙だらけじゃないか。ショウヘイって意外に素人なのか……?
「マリオネット、と名乗っておきましょうか」
マリオネット、操り人形か?
誰かに操られているのだろうか、弱みを握られているとか?
いやあんなふざけたやつが操られているわけがない。
アメコミじゃないんだ。
「マリオネットだぁ……?」
ショウヘイもマリオネットという名前に疑問を持ったらしい。
ただ油断しているのか思考が声に出ている。
彼から見てもマリオネットは弱者に見えるのだろうか。
「先手必勝!金の操糸!」
金の糸がマリオネットから飛び出す。
なんだ?変なマジックを見ている気分だ。
糸が近づいてくる。
こんなものは弾き落とそうしたが、手が止まった。
糸の一本一本に殺気が込められていることに気づいたのだ。
これは触ると確実にヤバい
僕は軽く糸を避けた。
糸の飛んでいった方を見ると、地面が凹んでいる。
地面が凹むほどの威力。あれが人体に当たるとしたら、そうとうすごいぞ。
「ちっ、お前も能力者か。なら遠慮はいらねぇ、ステップ・アンドローブ!俺を射出しろ!」
そう誰かに命令するような口調で放った言葉とともにショウヘイが勢いよく弾丸のように飛び出す。
そして、肩でマリオネットのみぞおちを潰す。
能力者?ショウヘイもマリオネットも超能力が使えるのか?
「ぐへっ」
マリオネットは情けない声を出しながら、地面に膝を付く。
「いまだレイヴン!拘束するぞ!」
命令。指示されている。あぁ、拘束。……拘束?
「なんで?」
再起不能にしたほうがいいし、確実じゃないか。3000万ドルを手に入れたらどうせ金で解決できる。
「能力者といえ、雑魚だ。ほっときゃ――――――――」
ショウヘイのこの意見は間違っている。
マリオネットには申し訳ないが、脚でも撃ち抜いてしばらく動けないようにしておこう。
そうしないと、危険度が高くなる。
利益が出ない。
ショウヘイは甘すぎる。
僕はピストルを脚に突き出し、弾丸を放った。
バン、という大きな轟音が鳴り響く。
「ごっ」
マリオネットは数秒ピクピクして、気絶した。
ただ、まだ動いているし。
縛っておくか。
――――――――(視点変更)
「おい、てめぇ、なぜ躊躇なくそいつを撃てるんだ……!」
こいつにまだ秘宝争奪戦のことを詳しく話していない。
罪が揉み消されることも話していない。
こいつは撃ったほうが利益がでると判断してあの野郎を撃ったのだ。
おかしい。引き金が軽すぎる。
イカれている、こいつ頭がおかしい。
「僕は正当な行為をしただけだ。危険だと思ったからある程度可能性を減らした、なにも間違いは犯してないだろう?」
裏路地の暗闇に馴染む瞳でレイヴンはこちらを見ている。
正当な行為と主張している。
俺は目を背けるようにマリオネットの方を見た。
ポケットからなにか出ている。紙か?
「……おい、こいつメモを持ってやがったぞ。勇気の秘宝は、『スラム街に隠されている』だとよ」
スラム街か。
ここらへんのスラム街といえば、バックフィールドが有名だ。
あのゴミ山に紛れているとしたら、探すのに時間はかかるだろう。
「スラム?そんな汚いところに勇気があるのか、皮肉だな」
レイヴンは普通の顔をして話をしている。
「おい、レイヴン。言うのが遅れたが暴力は主催者がもみ消してくれるが次からは、その……控えろよ」
「あぁ、わかった。気をつけるよ」
これで次からは躊躇してくれたらいいんだが。
生まれつきあの性格ならちょっと引くな、理屈として正しいようでも頭のネジがぶっ飛んでいる。
「とりあえず、バックフィールドだ。バックフィールドにある、行くぞ」
「どうやって?」
「適当にタクシーを捕まえる」
「君って案外金持ちだね。そうも簡単にタクシー使えるなんて」




