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僕と彼女の猟奇的な日常 ――怪物が現れるようになった日常で、歪んだ俺の性格が武器になる? なぜか海外からも依頼が来るようになった――  作者: nnnkkk
第二章 続 僕と彼女の猟奇的な日常

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第一話 新しい槍

リサイクルショップの午前は、音が少ない。


ドアが開き、用件だけが交わされすぐ閉じる。

眺める客はいない。


駅前雑居ビル二階。


棚に並ぶのは、防護具と工具と、少しばかりの家電。


ゴーグル、簡易マスク、作業用手袋、防刃ベスト。日用品の顔をした現場装備。

今では誰も違和感を持たない。


茂は工具を拭いていた。

視線は手元に落ちたまま、指先だけが規則的に動く。


布は同じ方向に滑り、金属の面を均等になぞっていく。

意識している動きではない。手が勝手に動いている。


奥で店長が段ボールを潰していた。乾いた音が店内に響いた。


ガラスドアが開いた。鈴は鳴らない。

だが空気は確実に揺れる。


「どうも」


坂口だった。いつものスーツ。皺のない布地、温度のない顔。

私的な気配はない。


「珍しいですね」


茂は顔を上げない。


「今日は仕事」


短い返答。

坂口が店内へ踏み込む、店長の視線が止まった。


「……なんだそれ」


坂口の手にはケースがあった。

黒革に銀色の装飾金具。実用品とは思えない異様な存在感。


茂の指が止まり視線がゆっくり上がる。


「……それ」


坂口は静かに言った。


「チャーリーから」


「……開けていいですか?」


茂が言った。


「もちろん」

坂口は即答したた。


茂の前にケースが置かれる。黒革が机の上で異様な存在感を放っていた。


この店の雰囲気にまるで合わない。

日用品と中古品の匂いに満ちた環境の中で、それが明確に浮いている。



指先が革へ触れる。冷たい。

留め具に触れる。


キンッ――


高い金属音が跳ねた。小さいが、異様に澄んだ音だった。


開くと、内装は黒で統一され、緩衝材の中央にそれが収まっていた。


光を吸う黒。だが完全な無反射ではない。角度によって鈍い光が反射する。

塗装ではないと瞬時に理解できる表面。


ブレード。輪郭。エッジ。そこで視線が止まる。

一目で分かる異質な表面だった。黒いのに金属光沢だけが静かに残っている。


茂の指が自然に滑り込み持ち上げる。前より重い。


バランス。剛性。別物だった。

シャフトはカーボンとチタンの複合材。視覚より先に手が理解する。


ガスポートが目立つ。

「……増えてる」


穴が8つ並んでいた。

クロスバーはチタン。だが質感が少し違う。


雷光に似たライトユニットが左右に付いていた。

スイッチ位置は指が迷いなく触れる場所。


小さく飛び出したインジゲーター。


チャンバー周りの形状が変わっていた。見慣れた構造とは違う。


槍を握ったまま、ほんのわずかに笑った。


坂口が静かに言った「モデルコードは」


茂の視線が上がる。


「Interdiction 4.5」


わずかな間。


「Saino Edition」



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