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90話 今は違う

『ナナ師匠!ナナ師匠!』


林を抜けた俺達は、ラーラによる治療魔術を受けた後、急いで村に向かった。

村はバカでかい結界に囲まれ、外側からの侵入は難しそうだった。


「内透結界」?


いや、それだと内側から逃げることが可能だ。

周囲を見ると、先程いた竜獣の軍勢はいなかった。

つまりもう中にいる。

外からの侵入者を防ぐ理由は少ない。

そうなると、それ以外の結界だ。

中からの結界とも考えたが、それなら俺達が外にいるのに結界を張るのはおかしい。

なら、やることは一つだ。


「壊します。下がってください」


俺は全員を後ろに下げ、魔術を放った。


「炎戒の龍!」


ドーン!


魔術は結界に直撃した。

しかし、傷はつかなかった。


「レオ…どうする?」


ニナがそう聞いてきた。

俺は考えた。

そして、すぐに結論を出した。


「多少魔力を消費するが…しょうがない」


俺は杖を出し、魔力を込めた。



「禁忌の結界!!」



俺は「禁忌の結界」を発動し、結界を吸い込んだ。

すると、結界は消え、遂に村が見えた。

その瞬間、俺は昔の光景が脳裏をよぎった。


あの襲撃の日。

俺が帰ると村は跡形もなく、残っていたのは焼け野原。

辺りは焼けた肉の匂いと血の匂い。


しかし、今は違った。

村はまだあり、みんなが戦っていた。

俺は即座に走り出し、杖を構えた。


「全員伏せろ!!」


俺は全力でそう叫んだ。


「「「!!」」」


村人達と村守は即座に理解し、伏せた。

戦っていた竜獣は言葉がわからないのか、俺の方を向いていたが、避けようとはしなかった。


「光襲の矢・雨!!」


俺は多段の魔術を放ち、相手を攻撃した。

敵は反応できず、そのまま攻撃を食らった。

「グェッ!」と言う声を上げ、敵は墜落していった。


「ニナ!ラーラ!2人で避難誘導を!」

「は、はい!」

「わかった!」

「ドーラ師匠は…」

「分かっている。いくぞ!」


俺とドーラ師匠は敵の方に向かっていった。






「お前ら!こっちだ!」


俺は飛行魔術を使いつつ、軍勢の注目をひきつけた。

そして、庭の方に誘導した。


『…レオ!?』


すると、俺が村に入る前から念話で呼びかけていたナナ師匠が気づき、念話に反応した。


『ナナ師匠!今から軍勢を庭に誘導します』

『分かりました!迎え撃ちます!』


そして、数分もしないうちに庭に着いた。

俺達は崖を背にし、相手の方を向いた。

軍勢はだいたい40体といったところだ。


「レオ!」


そこに、ナナ師匠とエルが合流した。


「エル!?お前も来たのか!?」

「私はサポートです。3人のカバーをします!」

「…わかった」


俺達はドーラ師匠を先頭にし、そこから俺、ナナ師匠、エルという順番で陣形を組んだ。


「いくぞ。俺に合わせろ」


「「「はい!」」」


ドーラ師匠の呼びかけに、俺達は反応した。

………。

………。

………。


「今!」


スンッ!


ドーラ師匠は合図した瞬間、軍勢の真ん中に入り込んだ。


「周花!」


「影の槍!」


「水斬撃!」


「猫尾火!」


そして、ドーラ師匠の動きに合わせ、3人が一斉に攻撃をした。

ドーラ師匠の実力は凄まじく、周囲の敵を絶え間なく切りつけていった。

そして、ドーラ師匠の攻撃範囲外の敵を俺達が一掃していった。

辺りには血が飛び交い、敵の数をと自信達の実力が示された。

そして、この戦闘は約30分続いた。

こうして、襲撃は死者0で終えた。






「なんとか終わりましたね…」


ナナ師匠は安堵の声を漏らした。

前の襲撃とは違い、今回は何の被害もなく終えられた。

俺達は竜獣の死体の処理に追われた。

今回は、村を出て少し歩いたところに火葬して埋めた。


「だが…これである程度状況がわかった」


竜獣の処理をしていると、ドーラ師匠がそう言った。


「状況といいますと?」

「レオリオス。こいつらを見てどう思う?」

「………」


俺は考えた。

俺が誘導した時、あいつらは声に反応してそのままついてきた。

それも何も考えずに。


そして、俺はその状況に多少見覚えがあった。

単一的な動き。

これは、竜族世界で遭遇した竜獣の軍勢と似ている。

つまり…


「操られていたでしょうね」

「やはりそうか」


だが、前回はこんなに規模は大きくなかった。

それも、この最短の村にまで来ている。

…まさか…


「竜獣の動きが…」


「遂に…本格的に侵略を始めたようだな」


そう。

遂に竜獣が進行し始めたのだ。

これは緊急事態だ。

竜獣は高い戦闘能力と連携力がある。

この軍勢が一斉に攻めてくれば、各国だけでは太刀打ちできない。


「レオリオス…どうする気だ?」


「どうもこうも…やるしかないでしょう」


俺はこの時、覚悟を決めた。

今まで相手の動きを待つばかりの戦い方だった。

けれど、今回は違う。


「外交官の初仕事をするのみです!」


俺は家に戻り、荷造りを始めた。


「まずはどこにいくのだ?」


「まずは、所属であるウェストンに向かうつもりです」


「わかった。俺も仲間たちに呼びかけを進めよう」


こうして、俺達の竜獣との戦いが幕を開けた。

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