表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/94

85話 エイサール復興祭 2

復興祭は2日目となった。

祭りは2日間開催のため、今日が最終日となる。

俺は村の中央の広場に来ていた。

今回は祭りを楽しむのではなく、運営する側に回る。

というのも今日は模擬戦や剣舞といった、結構大きいイベントが盛り沢山なのだ。

俺は模擬戦で審判とエキシビションマッチ(この世界では特別戦)をし、剣舞では舞うらしい。

そのため、朝から準備が大変だ。






「それでは、これより模擬戦を行います!参加者は前へ!」


お昼時。

遂に模擬戦が幕を上げた。

参加者は村の内外の者を問わず、剣術、魔術、体術全て使用可能。

計16名によるトーナメント戦だ。

俺は審判側に回り、各試合の運営をする。


「それでは1回戦、はじめ!」


俺の合図とともに試合は始まり、白熱した試合を見せる。

さらに、全ての術が使えるということで、試合は技術、火力、対応力が試される物となった。






「そこまで!勝者は1番!」


約3時間ほどで決勝戦までが終わった。

ここで勝利したのは、名前を伏せて出場していたフードを被った剣術使いだった。


だが…


「それでは、これより特別戦へと移ります。1番。準備はよろしいか?」


「おう!いつでも!」


…やっぱりそうか。


「では、レオリオス。前へ」


審判は交代し、俺は前に出た。


「………」

「ん?どうした、レオリオス?」


「おい。なんで名前伏せてんだ?」


俺の問いかけに、1番と周りの観戦者は少し動揺した。


「いい加減そのローブ脱げよ…」


俺はそう言うと、自然に笑っていた。



「リュー」



「…なんだよぉ。バレてんのかよ」


俺の問いかけに応じて1番はローブを脱いだ。

そこには、俺のライバルであるリューがいた。


「なんで名前伏せてるんだよ?」

「いや〜…出禁食らうかなって思って」


なんで出禁になるんだ?

…まあいっか。


「んじゃ、やろうか」

「へっ!今回も俺が勝つぜ」


「それでは、特別戦…はじめ!」


「影槍!」


「界外剣!」






試合は白熱し、およそ1時間にも及ぶ長丁場だった。

結果は俺の勝利。

リューは悔しそうにしながらその場を後にした。


「…さて…次は剣舞か…」


エイサールの剣舞。

この村に代々伝わってきたもので、豊作と安全を願い、家の庭で剣を持って踊る。

今回は、この村の安全を願うという意味合いを込め、これを行うこととした。

参加者はこの村の男性ほぼ全員だ。

高齢者は参加しないと思っていたが、まさかの参加。

どうやら剣舞は、年齢関係なく舞っているらしい。

そして、この剣舞には音楽がついていて、この剣舞に参加していない女性たちが楽器を持ち演奏するらしい。


「ではこれより、剣舞を始める!」


村長であるバオスの声とともに、広場は静寂に包まれた。


シュン!


そして、バオスは剣を抜いた。

これが、今回決めた合図である。


シュシュン!


バオスの抜刀の後、他の参加者も次々と剣を抜いた。

そして、全員が構えた直後、音楽は始まった。

参加者は音楽に合わせ、剣を振り、舞う。

はじめに片腕で剣を振り上げ、それを下ろす。

剣を横に構え、1回転する。

飛ぶはねた後、剣を振り下ろす。

突きをした後、剣を逆手に持ち、再び回る。

最後に持ち直し、最初の構えに戻る。

これを繰り返す。

ひたすらに繰り返す。

1時間ほど舞い続ける。

はたから見れば、面白みのないつまらないものだろう。

しかし、舞手の表情には願いが現れ、剣には気持ちの重さが現れる。

その一挙手一投足は、その場にいた全員を釘付けにした。

そしてそれに添えられたような音楽は、剣舞により深みを出し、鈴の音が、剣舞をより神格的なものに近づける。

あたりは夜となり、暗いのにも関わらず、そこだけかすかに明るさを持っていた。

そんな感覚だった。


「剣舞、やめ!」


音楽の終了と同時に、全員が動きを止め、バオスの声に合わせ、全員が剣をしまった。


パチパチパチパチ…!


村は盛大な拍手に包まれ、多くの人が称賛の声を漏らした。


パチッ!


そして、焚き火の音が、この祭りの終わりを予感させる。


「この度は、我らの村の復興祭へと足を運んでいただき、ありがとうございます」


会場の拍手が止むのと同時に、バオスは話し始めた。


「本祭の催事は以上となります。これからも、エイサールが平和であることを願い、この祭りを締めさせていただきます。本当に、ありがとうございました!」


パチパチパチパチ…!


バオスが頭を下げると、村は再び拍手に包まれた。

そして、エイサール復興祭は幕を閉じた。






「ふぅ…大変だったね〜」


祭りが終わり、俺達は家族で家に帰った。


「カオル。お前は何もやってないだろ?」

「気持ちの問題だよ!」


そんな会話をしながら、全員でこの2日間を振り返った。


「お兄ちゃんはやっぱり忙しかったね〜」

「1日目は何もする気なかったんだけどな…」

「まあ、そんな日もあるだろう」


俺が少しガクッっとすると、ドーラ師匠がそう言った。


「ドーラ師匠もお疲れ様でした。剣舞はどうでした?」

「久々にやったが、やはりいいものだな」

「え!?ドーラって剣舞やったことあったんですか!?」


ドーラ師匠の言葉に、ナナ師匠は驚いた。


「あぁ。お前達がたびに言っている間にな」

「へぇ〜」

「お。全員いたか」


話していると、帰ってきたバオスがこちらに来た。


「父さんも大変でしたね」

「まぁ、村長の務めだしな」


そう言って、バオスは少し笑った。

が、ぎこちなかった。

お疲れのようだ。


「みんな〜お風呂できましたよ〜!」


そこに、カーラがやってきた。


「あ、ちょっと待って姉さん!」

「え?」


俺はカーラを引き止め、全員にコップを配った。


「これは?」

「まぁ、打ち上げみたいな?」

「たしかに。こういうのは全員いるうちにやっておきたいしね」


俺の発言に、ニナが同調してくれた。


「じ、じゃあ、レオリオスさん」


コップを配り終えると、ルカが「合図を」という感じで見てきた。


「え!?これって父さんがやるもんじゃないの!?」

「いや。お前がやれ」


バオスがそう言った。


…マジか。

でもしょうがない。


「では、皆さん」


素直に簡潔に言おう。


「2日間。お疲れ様でした!」


「「「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」」」


こうして、俺達は打ち上げを始めるのだった。

しかし、風呂が冷めるといけないということで、20分後には風呂に入るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ