85話 エイサール復興祭 2
復興祭は2日目となった。
祭りは2日間開催のため、今日が最終日となる。
俺は村の中央の広場に来ていた。
今回は祭りを楽しむのではなく、運営する側に回る。
というのも今日は模擬戦や剣舞といった、結構大きいイベントが盛り沢山なのだ。
俺は模擬戦で審判とエキシビションマッチ(この世界では特別戦)をし、剣舞では舞うらしい。
そのため、朝から準備が大変だ。
「それでは、これより模擬戦を行います!参加者は前へ!」
お昼時。
遂に模擬戦が幕を上げた。
参加者は村の内外の者を問わず、剣術、魔術、体術全て使用可能。
計16名によるトーナメント戦だ。
俺は審判側に回り、各試合の運営をする。
「それでは1回戦、はじめ!」
俺の合図とともに試合は始まり、白熱した試合を見せる。
さらに、全ての術が使えるということで、試合は技術、火力、対応力が試される物となった。
「そこまで!勝者は1番!」
約3時間ほどで決勝戦までが終わった。
ここで勝利したのは、名前を伏せて出場していたフードを被った剣術使いだった。
だが…
「それでは、これより特別戦へと移ります。1番。準備はよろしいか?」
「おう!いつでも!」
…やっぱりそうか。
「では、レオリオス。前へ」
審判は交代し、俺は前に出た。
「………」
「ん?どうした、レオリオス?」
「おい。なんで名前伏せてんだ?」
俺の問いかけに、1番と周りの観戦者は少し動揺した。
「いい加減そのローブ脱げよ…」
俺はそう言うと、自然に笑っていた。
「リュー」
「…なんだよぉ。バレてんのかよ」
俺の問いかけに応じて1番はローブを脱いだ。
そこには、俺のライバルであるリューがいた。
「なんで名前伏せてるんだよ?」
「いや〜…出禁食らうかなって思って」
なんで出禁になるんだ?
…まあいっか。
「んじゃ、やろうか」
「へっ!今回も俺が勝つぜ」
「それでは、特別戦…はじめ!」
「影槍!」
「界外剣!」
試合は白熱し、およそ1時間にも及ぶ長丁場だった。
結果は俺の勝利。
リューは悔しそうにしながらその場を後にした。
「…さて…次は剣舞か…」
エイサールの剣舞。
この村に代々伝わってきたもので、豊作と安全を願い、家の庭で剣を持って踊る。
今回は、この村の安全を願うという意味合いを込め、これを行うこととした。
参加者はこの村の男性ほぼ全員だ。
高齢者は参加しないと思っていたが、まさかの参加。
どうやら剣舞は、年齢関係なく舞っているらしい。
そして、この剣舞には音楽がついていて、この剣舞に参加していない女性たちが楽器を持ち演奏するらしい。
「ではこれより、剣舞を始める!」
村長であるバオスの声とともに、広場は静寂に包まれた。
シュン!
そして、バオスは剣を抜いた。
これが、今回決めた合図である。
シュシュン!
バオスの抜刀の後、他の参加者も次々と剣を抜いた。
そして、全員が構えた直後、音楽は始まった。
参加者は音楽に合わせ、剣を振り、舞う。
はじめに片腕で剣を振り上げ、それを下ろす。
剣を横に構え、1回転する。
飛ぶはねた後、剣を振り下ろす。
突きをした後、剣を逆手に持ち、再び回る。
最後に持ち直し、最初の構えに戻る。
これを繰り返す。
ひたすらに繰り返す。
1時間ほど舞い続ける。
はたから見れば、面白みのないつまらないものだろう。
しかし、舞手の表情には願いが現れ、剣には気持ちの重さが現れる。
その一挙手一投足は、その場にいた全員を釘付けにした。
そしてそれに添えられたような音楽は、剣舞により深みを出し、鈴の音が、剣舞をより神格的なものに近づける。
あたりは夜となり、暗いのにも関わらず、そこだけかすかに明るさを持っていた。
そんな感覚だった。
「剣舞、やめ!」
音楽の終了と同時に、全員が動きを止め、バオスの声に合わせ、全員が剣をしまった。
パチパチパチパチ…!
村は盛大な拍手に包まれ、多くの人が称賛の声を漏らした。
パチッ!
そして、焚き火の音が、この祭りの終わりを予感させる。
「この度は、我らの村の復興祭へと足を運んでいただき、ありがとうございます」
会場の拍手が止むのと同時に、バオスは話し始めた。
「本祭の催事は以上となります。これからも、エイサールが平和であることを願い、この祭りを締めさせていただきます。本当に、ありがとうございました!」
パチパチパチパチ…!
バオスが頭を下げると、村は再び拍手に包まれた。
そして、エイサール復興祭は幕を閉じた。
「ふぅ…大変だったね〜」
祭りが終わり、俺達は家族で家に帰った。
「カオル。お前は何もやってないだろ?」
「気持ちの問題だよ!」
そんな会話をしながら、全員でこの2日間を振り返った。
「お兄ちゃんはやっぱり忙しかったね〜」
「1日目は何もする気なかったんだけどな…」
「まあ、そんな日もあるだろう」
俺が少しガクッっとすると、ドーラ師匠がそう言った。
「ドーラ師匠もお疲れ様でした。剣舞はどうでした?」
「久々にやったが、やはりいいものだな」
「え!?ドーラって剣舞やったことあったんですか!?」
ドーラ師匠の言葉に、ナナ師匠は驚いた。
「あぁ。お前達がたびに言っている間にな」
「へぇ〜」
「お。全員いたか」
話していると、帰ってきたバオスがこちらに来た。
「父さんも大変でしたね」
「まぁ、村長の務めだしな」
そう言って、バオスは少し笑った。
が、ぎこちなかった。
お疲れのようだ。
「みんな〜お風呂できましたよ〜!」
そこに、カーラがやってきた。
「あ、ちょっと待って姉さん!」
「え?」
俺はカーラを引き止め、全員にコップを配った。
「これは?」
「まぁ、打ち上げみたいな?」
「たしかに。こういうのは全員いるうちにやっておきたいしね」
俺の発言に、ニナが同調してくれた。
「じ、じゃあ、レオリオスさん」
コップを配り終えると、ルカが「合図を」という感じで見てきた。
「え!?これって父さんがやるもんじゃないの!?」
「いや。お前がやれ」
バオスがそう言った。
…マジか。
でもしょうがない。
「では、皆さん」
素直に簡潔に言おう。
「2日間。お疲れ様でした!」
「「「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」」」
こうして、俺達は打ち上げを始めるのだった。
しかし、風呂が冷めるといけないということで、20分後には風呂に入るのだった。




