84話 エイサール復興祭 1
家が完成してから1ヶ月ほどが経った。
季節はまだ冬で、外は雪が降り積もる。
そんな中、村人の大半が塗らの中央に集まっていた。
中央には現村長であるバオスがいて、それを村人が囲んでいる。
「では、これより、『エイサール復興祭』を開催する!」
今日からエイサール復興祭が始まる。
事の始まりは、2週間前に遡る。
俺がいつも通り修行をしていると、何やらバオスが外で何やら考え事をしていた。
「どうしました?父さん。こんな日に外で」
「あ、レオか。実はな…」
バオスは何やら神妙な表情で喋り始めた。
え、なに?
重い話はやめてほしいのだが。
「2週間後、なにかしたほうがいいかと考えていてな…」
「2週間後…ですか?」
なぜ2週間後なんだ?
突然すぎることに俺は理解が追いつかなかった。
「レオ?お前…2週間後が何の日か分かってるよな?」
「えっと…」
俺は考えた。
めっちゃ考えた。
………。
………。
………。
…あ。
「襲撃の日ですか?」
「そうだ。2週間後がちょうどその日なんだが…いつもは何もやってないんだが…」
「何かあるんですか?」
「…今年でちょうど円年なんだ」
円年。
この世界で、とある出来事が起きてから10年経つ年のことを言う。
この世界で円年には特別な意味があり、不幸であれば転換期、幸福であれば節目を意味するのだ。
そうか。
バオスは、この円年になにかやりたいということか。
「なら…」
「ん?何かあるのか?」
「復興祭をやるのはどうでしょう?」
というわけで開催に至ったのが、この「エイサール復興祭」である。
この復興祭では、各国からゲストを招きステージを行ったり、エイサールの10年間の復興の風景について語ったりする。
そして最後には、焚き火を囲み、エイサールが代々受け継いできた剣舞を踊るらしい。
まさに祭りという感じだ。
外部からのゲストの呼びかけは、旅のおかげで顔が広かった俺が中心となり行い、バンドや魔術師を数多く招待できた。
さらに、ウェストンから屋台等も呼ぶことができ、かなりの規模となった。
そして当日。
エイサールの復興祭の知らせを聞いた人たちが続々と村に集まり、村への来訪者は、村が始まってから過去最高の人数となった。
この日、俺はというと、とにかく楽しむことにした。
というわけで、俺は早速屋台に向かった。
「らっしゃい…って、影纏さんじゃないか!?」
「よしてください。ここでは一村人ですから」
「そうかい。んで?なんかくってくかい?」
「じゃあこれ一つ」
「まいど!」
こんなふうに、村を回って、屋台を回って、ひたすら満喫した。
「レオリオスさ〜ん!」
俺が村を回っていると、遠くから声がした。
そこには楽器を担いだ集団がいた。
「あ!皆さん!」
「お久しぶりです!」
そこにいたのは、バンド「フレイム」のメンバーだった。
「招待していただきありがとうございます!」
「いやいや!むしろ来てくれてありがとう!この後ステージあって時間無いかもだけど、ゆっくりしていって」
「は〜い」
そう言うと、「フレイム」のみんなは屋台の方に向かっていった。
さて、そろそろステージを見に行こうかな。
ステージに行くと、そこでは魔術の披露が行われていた。
「混術花火!」
そこでは魔術で表現された花火が上がっていた。
…なんだ?
なんか見たことあるな…
何の魔術だっけ?
そう考えていると、その魔術師は俺を見つけるやいなや、俺の方に走ってきた。
「影纒先生〜!!」
「うぇ!?」
なんとそこにいたのはラーラだった。
「ラーラ!?なんでここに!?」
「村の下見がてら参加しに来たんです!エルも屋台の方にいますよ」
「そうじゃなくて!学校は!?」
「理事長に相談したら了承してくれました」
そうか。
ジルさんが許可したのか…
「ってかこの技って…」
「はい!先生が最後に見せてくれた魔術の花火を参考に作りました!」
何この子?
模倣眼も無いのに一から真似したの?
すごいな…
「あ、そうだ!」
「ん?どうした…ってウォ!?」
ラーラの発言に俺が質問しようとすると、ラーラは俺の手を引いてステージに連れて行った。
「ちょっ…俺は参加者じゃないんだが!?」
「でも先生、混術花火できるでしょ?」
…あ。
俺にもやれと?
………。
「まぁ…いいけど」
「やった!」
こうして、俺は今日、魔力を使う気がなかったのに、花火を上げるために多くの魔力を消費したのであった。
数時間後。
次はバンドステージとなった。
俺はラーラと一緒にステージを見ることにした。
「先生も出るんですか?」
「でませんが!?」
「なぁんだ」
なぜがっかりするんだ?
一応俺…主催なんだが?
「それでは、次はこちら…『フレイム』の皆さん。お願いします!」
「フレイム」がステージに上がると、会場は歓声に包まれた。
あいつら…そんなに大きくなったのか。
「え〜本日は、おなじみのあれを披露します」
「「「「「「うぇぇぇぇい」」」」」」
どうやら一番人気の曲を披露するらしい。
俺も声は上げてないものの、楽しみだ。
「では、やる前に…」
ん?
なんかあるのか?
「レオリオスさん!壇上に!」
………。
…え?
「は!?」
俺は状況が理解できないままステージに上がった。
「前みたいに、魔術でのコラボ、お願いします!」
…またこのパターンか。
こうして、俺は、主催であるのにもかかわらず、計2ステージに出場することになってしまった。
「はぁ…疲れた…」
その日の夜。
祭りは1日目が終わり、2日目の準備となった。
俺は疲れたため、許可をもらい家に帰った。
そして問題は明日である。
明日は魔術での模擬戦が少しあったり、剣舞があったりする。
予定がいっぱいだ。
そんな中、俺は前世の文化祭の運営を思い出した。
今の状況は、まさにそれと似ている。
「…やっぱ主催と出演の兼任って…大変」
俺はつくづく、そう思うのであった。




