78話 ナナ・リーフの恋の道 2
〜前回までのあらすじ〜
レオリオスとカーラによって、ナナ・リーフ告白作戦が計画された。
それにより、ナナ・リーフ対ドーラ・コンドルの師匠対決が発生。
しかも、勝者は敗者に指示を一つするという条件付き!
果たしてナナ・リーフはドーラ・コンドルに勝利し、告白できるのか。
そして、それを受けたとき、ドーラ・コンドルの返事はいかに…
時刻は夕方。
家族が各々仕事を終わらせ、全員が集まった時刻。
俺達はいつもの修行場にいた。
俺は今日は木の下にいる。
目の前にはナナ師匠とドーラ師匠がいる。
ナナ師匠は杖を、ドーラ師匠は剣を相手に向ける。
いよいよ対決が始まる。
『ナナ師匠』
俺は念話でナナ師匠に話しかけた。
『今は、勝つことだけを…』
そう言いかけると、
『いつもありがとうございます。でも大丈夫』
そして、ナナ師匠は一拍おき、答えた。
『絶対勝ちます』
ーナナ・リーフ視点ー
私は今、杖を構えている。
杖の先には、ドーラがいる。
私は今、彼に告白しようとしている。
けどその前に、この勝負に勝つ必要がある。
「ふぅぅぅ…」
私は深呼吸をして、心を落ち着かせる。
レオが言いかけたことは、なんとなく分かった。
多分「今は勝つことだけを考えてください」だと思う。
励ましでは無い。
あくまでこれはアドバイスだ。
けれどその気遣いは、私の背中を押してくれる。
「準備はいいな。ナナ」
「いつでも!ドーラ」
そう言うと、レオが前に出てきた。
「それでは始めます」
今回はレオが審判のようだ。
「では…」
そして、辺りは静寂に包まれた。
………。
………。
「はじめ!!」
「乱気流衝!」
「界外剣」
開始と同時に、私の魔術とドーラの剣術がぶつかりあった。
発動者である私ですら目で追えないほどに速く。
そして激しく。
スンッ!
そんな攻防の中、ドーラは一瞬で距離を詰め、私の懐に入った。
「周花!」
「反射結界!」
ドーラの攻撃は、私の結界によって相殺され、逆にドーラに跳ね返った。
しかし、ドーラは自分に返ってくる技を避けながら攻撃し続けるという離れ業を見せた。
「楽しいな!ナナよ!」
「えぇ!とても!」
自然と、私とドーラの口には笑みが浮かんでいた。
「光襲の矢・雨!」
「断地・乱舞」
私達の攻防は入れ替わりながら続いた。
しかし、私は少しずつ消耗していた。
(もうそろそろ展開を変えないと、バテてしまう)
私はそう感じ、攻めることにした。
「光分身」
「「「「光襲の矢・雨!」」」」
私は4体の分身を出して、出力を上げた。
ドーラはそれを見て、攻撃の速度を上げた。
私はここを狙った。
「光襲の矢・点!」
大量の光の矢が飛び交う中、それは一直線にドーラの体へと飛んでいった。
カーンッ!
それを剣が受け止めた瞬間、剣は宙を舞った。
おそらく速度を上げたことで攻撃精度が下がってしまったのだろう。
そしてそれを、私は狙って誘った。
(今!)
「光進!」
私は、剣に手を伸ばしたドーラに急接近した。
ドーラが剣を握った瞬間、私は技を放った。
「光輪周斬・輪転!」
私はドーラに「光輪周斬」に改良を加えた新技「光輪周斬・輪転」を放った。
これは、一瞬で発動が終わる「光輪周斬」を継続発動する技だ。
これにより、相手に確実にダメージを与える。
決まったと思った。
けれど、うまくはいかない。
「蛇線・飛剣乱舞」
カカカカカンッ!
私の攻撃は、ドーラに受け止められた。
「そんな…」
………。
…まだだ!
まだ技は続いている。
このまま…押し込む!
「ハァァァァ!」
「フンッ!…」
私達は空中で静止し、攻撃をぶつけ合った。
「「「「水の槍!」」」」
しかし、ただ押し合っても勝てない。
私は分身にも攻撃させた。
「ハァァァァ!」
「クァァァァ!」
2人の叫び声が響く。
お互いの攻撃を相殺し合いながら、2人は攻撃を続けた。
そして…
カンッ!
ドーラは剣を弾かれ、胴体がら空きの状態になった。
「ハァァァァ!」
私はつかさずそこに攻撃を仕掛けた。
「閃光移動!断地!」
キンッ!
私が攻撃を仕掛けようとした瞬間、レオが間に入り、私の攻撃を弾いた。
私は飛んでいき、その後地面に落ちた。
「そこまで!勝者『ナナ・リーフ』!」
私が地面に落ちるのと同時に、レオの声が響いた。
「勝っ…た…?」
私は呆然とした。
「本当に勝ったのか?」と疑ってしまうほど実感がわかない。
ただ感じるのは疲労だけだ。
『ナナ師匠。大丈夫ですか?』
「…あ」
レオの念話で、私は正気に戻った。
そうだ。
ここからが本番なんだ。
『頑張ってください』
レオは念話でそう言い残し、後ろに下がった。
『…はい』
私は覚悟を決めて立ち上がり、ドーラの方へ歩み寄った。
「我の負けか。流石だな、ナナよ」
「流石に疲れましたよ。ドーラは強いですもん」
「何を言ってる?貴様が勝ったのだから、その言葉は言うな」
私はドーラとちょっとした会話をした。
「さて…では指示を聞くとしよう。何を命令する?」
「………」
私は怖くなってしまった。
こんな形で告白していいのか。
それを受け入れてくれるのか。
私の足は震え、言葉を言いかけては飲み込むを繰り返した。
その時、
ヒュン!
私の背中に風が吹いた。
振り返ると、そこにはカーラがいた。
どうやら彼女が風魔術を使ったようだ。
いや…背中を押してくれたようだ。
「…ふぅ…」
それを受けた後、私の緊張はほぐれた。
そして、深呼吸をした後、私は言葉を放った。
「じゃあドーラ」
「なんだ?」
「私を…あなたの心にとめて!」
私はそう言った。
「…フッ!そうだったな。心伝族はそうだったな」
そう言うと、ドーラは少し笑みを浮かべて続けた。
「あぁ。快く」
私は泣くのでもなければ驚くのでもなく…
ただ笑っていた。
ーレオリオス・パルト視点ー
俺達は、ただナナ師匠の告白を見守っていた。
ナナ師匠のあの言葉は、心伝族の告白の言葉である。
前にラーラに聞いた知識だが、心伝族は告白のとき「私を心にとめて」というのがデフォルトらしい。
そして、それを受けた異性は「快く」と言って受け入れるか、「難しい」と言って断るらしい。
ドーラ師匠はそれを理解し、「快く」と答えたのだ。
つまり…告白成功である。
俺とカーラは2人でガッツポーズをした。
全員が温かい視線を送る中、とある女子がとんでもないことを口にした。
「2人は結婚するってことですか」
それを言ったのはカオルである。
「「「「「え!?」」」」」
俺達は思わず驚いた。
だって普通おかしいでしょ。
付き合って数秒で結婚とか。
「我は構わんが?」
その言葉を受け、ドーラ師匠はそう言った。
「「「「「え!?」」」」」
さらに驚いた。
ドーラ師匠はどうやら「どちらでもいい」というスタンスなんだろう。
真顔でそう言った。
ナナ師匠を見ると、信じられないくらい顔が赤くなっていた。
そりゃそうなるわ。
俺がナナ師匠だとしてもそうなる。
…でもそう言ってるなら、
「ナナ師匠。どうします?」
俺はナナ師匠にそう聞いた。
ナナ師匠は恥ずかしがりながら考え、言葉を放った。
「じゃあ…します」
こうして、ナナ師匠とドーラ師匠の結婚が決定した。
告白作戦はありえないくらいの大成功で幕を閉じた。
俺はというと、師匠同士の結婚に、若干複雑な気持ちになるのであった。
おまけ話
戦いを見てたレオは、あまりのレベルの高さに、「これ人死なないよな?」と密かに思っていた。
ナナ師匠が最後の攻撃をしようとしたとき、本気の戦いだったため、ナナ師匠はドーラ師匠を殺しかけていた。
「マズい」と思ったレオは間に入り、なんとか攻撃を弾いた。
しかし、その反動は大きく、しばらく手が痺れて剣が握れなかったそうだ。
ちなみに、最初の攻防戦は、レオの目には攻撃がほぼ見えなかったそうだ。




