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77話 ナナ・リーフの恋の道 1

旅を終えて7ヶ月が経った。

今日は至って暇だ。

家には俺、カーラ、ナナ師匠の3人がいた。

バオス、ドーラ師匠、ニナ、カオル、ルカはみんなで外出中だ。

珍しい組み合わせだなと思いつつ、俺は昼飯の支度をしていた。


「ハァ〜…」


そんなとき、ナナ師匠のため息が聞こえた。

「どうしたんですか、ナナ師匠?ため息なんかついて」


「レオ…ハァ〜…」


え?何だ?

俺が原因?


「…ナナさん。もしかして、ドーラさんのことですか?」


「ん!?」


カーラがそう言うと、ナナ師匠は露骨に反応した。

あ。

そういうことか…


「ん?姉さんってナナ師匠がドーラ師匠のこと…」

「好きなのは知ってるよ」


あ…やっぱそうなんだ。


「ナナ師匠。そろそろ告白したらどうですか?」


「な!?そんな簡単に言いますけど!私とドーラとの今までの関係が長すぎて…」


「伝えるのが怖いと?」

「…はい」

「ナナさん。怖気付いてはダメですよ」

「ですが…」


「早くしないと、子供も残せませんよ?」


「こ、子供!?」


ん?

なんかカーラが変なこと言ったぞ。


「3人くらいは残さないと、将来大変で…」


「姉さん。パルト家に染まってきてるぞ」

「…あ」


説明しよう。

パレト家は昔、跡取り等の関係で子供は3人という習慣があった。

その思想が根強く残ってしまい、俺はかつて、カレラとバオスに悩まされた。

まさか…とうとう姉さんにも現れたのか…


「…ゴホン!姉さんの今の言葉は置いといて、実際そろそろ言わないと、ドーラ師匠は一生気づきませんよ」

「ですが…どうすれば…」


「そこは俺達に任せてください」

「え?」


俺はカーラに目配せし、椅子に座った。


「さてと…じゃあ、ナナ師匠とドーラ師匠をくっつけるための作戦を練りましょうか」

「そうね!」

「えぇぇぇぇ!?」


こうして、俺とカーラを交え、ナナ師匠の恋の成就を達成するための作戦会議が始まった。






「ドーラ師匠は、ナナ師匠のことどう思います?」

「どうした急に?」


その日の夜。

俺はドーラ師匠に質問した。

というのも、作戦は立てたが、それ以前にドーラ師匠がナナ師匠のことを特に何も思っていなかったら元も子もない。

だから、多少露骨だが探りを入れてみた。


「少し気になりまして」

「そうだな…頼りになる…優秀なやつだと思うが…」


ん〜そうか。

それは好印象だ。

けど違うな〜。

けどどう聞こうか。


「その、関係性的には?」

「と言うと?」

「えっと…印象とか、2人の関係性的なことを聞きたくて」

「ナナの関係…か…」


そう聞くと、ドーラ師匠は少し考え込んだ。

「旅をともにした仲間であり、魔術においての姿勢は尊敬に値する。そして、数少ない友人の1人だ」


「…そうですか」


…まあ流石に「好き」の2文字はないよな。

けど、印象は悪くなさそうだ。



「これを聞くのは、ナナが俺に好意を寄せているのが気になっているのか?」



………。

…ん?


「え!?知ってたんですか!?」

「あぁ」

「いつから!?」

「お前達が帰ってきてから、なんとなくだな」


この男…察しが悪いように見えて、かなり鋭いな。


「自分から確認したりはしないんですか?」

「それはナナがどう動くかだ」


それは確かに。

…なら。


「…もし告白されたら…ドーラ師匠はどうするんですか?」

「…それはナナ次第だな」


ナナ師匠…次第?


「どういうことですか?」

「ナナがどう伝えてくるかによるということだ。俺はそういった恋のような感情が欠落している。だから、ナナの言葉に納得すれば、快く返事をするつもりだ」


…感覚がバグってる気がする。

ドーラ師匠の考えは、あまり理解できなかった。

けど、嫌というわけではなさそうだ。

…ならやることは一つ。

俺は自室に戻り、再び作戦を練り直した。






それから3日経った。

今日はまた前回の3人で家にいた。


「それでレオ。何か情報は得られた?」

「まぁ、ぼちぼち」


俺は3日前、ドーラ師匠と話したことを説明した。

もちろん、ドーラ師匠がナナ師匠の好意に気づいていることは伏せてだ。


「へぇ〜。悪い印象ではなさそうだね」

「どうします?結構強気でいかないといけないっぽいですけど」

「そう言われましても…」


ナナ師匠は、まだ心の準備ができていないようだ。

無理もない。

告白はやはり、緊張するものだ。

何か、告白のキーとなりそうなものはないか?


「………」


俺は少し考え込んだ。

ナナ師匠が正々堂々告白できるかつ、ドーラ師匠に納得してもらえるような告白方法…

………。

………。


「…魔術」


「「え?」」


俺は考えた後、「魔術」という言葉が浮かんだ。

もしかしたら…





会議から数時間後。

ナナ師匠はドーラ師匠のもとに行った。


「ドーラ…」

「ナナか。どうした」


ナナ師匠は少し黙った。

が、すぐに言葉を放った。


「明日、久しぶりに模擬戦をやりませんか?」

「ん?我とナナとでか?」

「はい。そして勝負しましょう」

「勝負?」

「勝ったら、勝った者の指示を一つ聞くというものです。それのほうが面白いと思いまして」


ドーラ師匠は少し考えた。

数秒悩んだ後、


「わかった。我ら2人、いつもレオの相手しかしていなかったからな」


それは…すみません。

こうして、ナナ師匠対ドーラ師匠の模擬戦が決まった。






これに至るまでの話をしよう。

3人でどうするべきかを考えた後、俺は前世のアニメの王道展開を想像した。

俺の記憶に浮かんだのは「俺が勝ったら、俺の願いを聞いてくれ」みたいなものだった。

けどその展開にするためには、ナナ師匠がドーラ師匠に勝つ必要がある。

そこで思いついたのが「魔術」だった。


「模擬戦ですか?」

「そう。2人が対決して、勝って告白するんです」

「すごい状況だわね」


どうやら、この展開はあまり知られていないらしい。

カーラはピンときていないようだ。

けれど、ナナ師匠は何か覚悟が決まったような顔をしていた。


「レオ。それで行きましょう」

「はい」


というわけで、今に至る。

これによって、明日の修行は中止。

俺とカーラ以外には、「レオの師匠同士の力比べ」という提で話が進んだ。


「レオリオス」


そんな中、俺はドーラ師匠に呼び止められた。


「お前の案か?」


…これ…気づかれてる。


「ドーラ師匠はああ言ってたので、もしかしたらと思って言っておくんですが…」


俺がそう言い始めると、ドーラ師匠は俺の方を見た。


「手は抜かないでくださいね」

「当然だ。ナナ師匠の覚悟を見るんだ。こちらも全力である。それに…」

「それに?」


ドーラ師匠はそう言うと、薄っすらと笑みを浮かべた。


「ナナと…また戦えるのが楽しみだ」


「…フッ!…そうですか」


俺はこのとき思った。

意味は違えど…きっとドーラ師匠もナナ師匠のことは好きなんだなと。


そして翌日。

俺はナナ師匠を連れて、修行場に向かうのだった。

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