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70話 魔術の祭典、再び 2

魔術の祭典の勢いは、1日目から収まることはなかった。

そしていつの間にか、祭典は最終日となっていた。


「影纏せんせーい!!」


朝。

俺がウェストンの国門前で待っていると、1つの馬車がやってきた。

その馬車には「ドラマルト」の紋章が描いてあった。


「ずいぶん早い再会になっちまったな」

「いえいえ。私達はめっちゃ嬉しいですよ!こんくらいの頻度で呼んでくれてもいいんですよ?」


その馬車に乗っていたのは、ドラマルトの学校の生徒、影魔術研究会の1期生たちだ。


「こういう祭りは、研究のためにもなると思ってな。今日で祭りは終わりだが、楽しんでくれ」

「「「「「はい!」」」」」


このあと俺達はニナと合流して、影魔術研究会の初期メンバーで回ることにした。

しかし…再会まで1ヶ月ちょいか…

全く期間あいてねーな。


「…てかお前ら…ここに着くの早くねーか?」


手紙を出してから1週間半しか経ってないぞ。

なんでこんなに早いんだ?


「ケーズバルトを突っ切ってきましたから。あと、休んでないので」


あ…なるほど…

それはまあ…お疲れ様です。

俺は心の中で、そう思った。






俺達は最初に広場に行った。

広場では模擬戦が行われていた。

しかし、俺は今回参加しなかった。


「先生は参加しないんですか?」


エルは疑問に思ったらしく、そう聞いてきた。


「ちょっとな。俺は色々あって…」

「あ…分かりました…」


エルは何かに気づいたらしく、質問をやめた。


「これって僕達は参加してもいいんですか?」

「あぁ、構わないぞ。ただし、家は壊さないように」


俺はフェイを睨みつけながらそう言った。


「あ、はい。肝に銘じておきます」


この後、みんなは10試合ずつやっていった。

結果はまぁまぁだった。

勝率平均6割という感じだった。






その後は各々で屋台を巡り、みんなでご飯を食べた。


「レオリオス。ここにいたか」


すると、誰かに声をかけられた。

声の主は、ドーラ師匠だった。


「そちらは?」

「あ、俺が作ったサークルのメンバーです」

「サークル…ドラマルトの学校の?」

「はい」


俺はふと横目で彼らを見た。

すると、男性陣の目が輝いていた。


「あれが…ノーボックスのドーラさん…」


「初めて見た…」


ドーラ師匠は…どうやら男の憧れになっているらしい。

そうか…それで俺は…一時期学校で男にも追われたのか。

ドーラ師匠と繋がってたから…


「…うし!夜までは自由行動にしよう。パレードまでにここ集合で」


「「「「「は〜い!」」」」」


まあ、みんなやりたいこともあるだろうし…ここからはこんな感じのほうがいいだろう。

その間俺はっと…


「せーんせい!」


すると、エルとモラがこちらに来た。


「何を隠してるんですか、先生?」


…クソッ。

やっぱり見逃してくれないか。


「…仕方ない。じゃあ2人とも。準備運動に付き合ってくれ」


「「え?」」






その夜。

遂に閉幕パレードの時間になった。

ちなみに解説すると、この祭りには閉幕パレードがあり、盛大な魔術の披露や、エキシビションマッチのようなことが行われる。


「よし、全員揃ったな」

「これからパレードなんでしたっけ?」

「そうだな。もう少しで始まると思うが…」


そんな話をしていると、司会者の声が響いた。


「え〜それでは!只今より、閉幕パレードを始めます!」

その言葉の瞬間、会場は歓声に包まれた。


「まず最初に、今年も『特別魔術戦』を行います」


特別魔術戦。

これが先程出した「エキシビション」だ。


「今年の対戦者は…1人目!『不可視のナナ・リーフ』!」


「「「「「「ウォーーーー!!」」」」」」


「え!?ナナさん!?」


ニナは驚いた。

どうやら知らされていなかったらしい。

みんなは「もう1人は?」と言う目で会場を見ている。

会場にはナナ師匠がちょうど入場していた。


「あのナナ・リーフの戦闘が見れるのか!」

「楽しみ〜」


会場はナナ師匠の話題で溢れた。

さて…もう1人は…



「そして2人め!『影纏のレオリオス・パルト』!」



「「「「「「ウォーーーー!!」」」」」」


「「「「え!?」」」」


ニナとラーラ、ライナ、フェイは驚いた。

そして、俺がいたところを見た。


「あれ!?レオがいない!?」

「え!?影纏先生はどこに!?」


俺?

俺は今、影の中にいる。

俺はそのまま会場に入り、影から出てきた。


「あ!いた!」


あっち(ニナ達)も見つけたようだ。


「さあ、今回はなんと師弟対決!師匠であり、ベテラン術師のナナ・リーフ。弟子であり、この4年で影魔術で名を馳せたレオリオス・パルト。勝者はどちらか!」


「レオ!手加減はしませんよ!」


「こちらも全力で行きます!」


会場の熱気が収まらない中、俺とナナ師匠は杖を構えた。


「ルールはただ一つ!魔術のみを使うこと!準備はいいですか!」

「はい!」

「いつでも!」


「それでは…」


その司会のセリフと共に、会場は静まり返った。

………。

………。



「…はじめ!」



「水の槍!」


「影の雨!」


開始の合図とともに、俺とナナ師匠の攻撃はぶつかった。

一発の魔術のあと、俺とナナ師匠は複数の魔術を何発もその場で撃った。

その攻撃どれもが、お互いの攻撃で相殺されていく。

その光景を見て、観客は驚きを超えて呆然としていた。

基本、魔術師同士の戦いは動きながら行われる。

相手の攻撃を避けるのと、相手の隙に攻撃を当てるためだ。

けれど、それがないのだ。

その異様な光景に、観客は「なぜ?」と言う気持ちになっているのだろう。


「影の領域!」


俺は分身を出し、攻撃を増やす。


絶対零度アブソリュートコールド!」


対して、ナナ師匠は広範囲技で対応してきた。


…待て。


この魔術…俺知らないぞ。

俺は模倣眼を開いた。

その瞬間、模倣眼が痛んだ。


「師匠…ここで神級ですか?」


「言ったでしょう?手加減はしませんって」


さてどうしようか。

この魔術を相殺するのは…多分無理だ。

おそらくナナ師匠は決めにきてる。

…ならそれを消すまで。


「禁忌の結界!」


「…!?」


俺は「禁忌の結界」を発動し、「絶対零度」を封印した。

ナナ師匠は、突然自分の魔術が吸われたことに混乱していた。

…今だ!


「閃光移動!」


俺はナナ師匠の近くに移動し、杖を構えた。

その時だった。


「…光輪周斬」


ナナ師匠は魔術を発動した。


…え、待って。

それって…

ナナ師匠の最初の神級魔術!?


「ウォ!?」


俺は慌てて体をのけぞった。


スンッ!


すると、俺の前髪を光の斬撃がかすめた。


「…ッ!炎戒の龍!」


俺はその攻撃の後、神級魔術連発で疲れているであろうナナ師匠を仕留めるべく攻撃をしようとした。


「水球!」


スポン!


ナナ師匠はそれを見て、俺に水球を放った。


…負けだ。


ナナ師匠の反射能力の勝ちだ。

近距離にきたのを確認して魔術を放ち、「炎戒の龍」を見て即座に水を放つ。

やっぱ…強いや。



ドーーーン!



水球は龍に当たり、大爆発した。

俺はそれで吹っ飛び、地面に転がった。


「…ハァ!危なかった!」


体制を取り直したナナ師匠は、そのまま魔術を俺に向けて放とうとした。


「…降参!」


俺は攻撃が来る前に、両手を上げてそう言った。


「そこまで!勝者『不可視のナナ・リーフ』!」


「「「「「ウォーーーー!!」」」」」


こうして、試合は終わった。


「いや〜危なかったですよレオ!」

「師匠…反射神経がすごすぎます…」


俺はナナ師匠に起こされ、その場をあとにした。






「レオリオス先生!すごかったです!」

「いや〜。あそこまで本気の戦いは久しぶりにやったな〜」


その後、みんなでパレードを見て、祭典が終了したところで宿に戻った。


「お前達は明日帰るんだったか?」

「はい。先生は?」

「俺も明日で帰る」

「今日は誘っていただき、本当にありがとうございました!」

「礼はいいよ。さて!今日は休んで、明日に備えなさい」

「「「「「は〜い!」」」」」


俺達は各々の部屋で休んだ。



そして翌日。

俺達は影魔術研究会のメンバーに別れを告げ、帰路につくのであった。


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