表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/81

69話 魔術の祭典、再び 1

村に帰ってきて1ヶ月が経過した頃。

家に手紙が届いた。

宛先は…俺とナナ師匠のようだ。


「…あ。この手紙…」


どうやらナナ師匠はひと目見ただけで何の手紙か分かったようだ。

俺はその手紙を開けた。


ー影纏のレオリオス・パルト殿へー

近日、ウェストンにて魔術の祭典が開かれます。

貴殿にはぜひ、この祭典に来賓として来ていただきたいのです。

返事は結構ですので、承諾していただけるのであれば、祭典前日までにウェストンの方までお越しください。

お待ちしております。

ーウェストン国王補佐 ガリオ・レイー


「魔術の祭典…か…」


それは俺にとって、特別な祭りだ。

この祭りを経て俺は「炎戒の龍」をマスターした。

そんな祭りに今回は来賓…つまりゲストとして招かれたのだ。

書いてる内容を詳しく見ると、招かれたからといってなにかやるわけではなさそうだが、それでも嬉しい。

開催日は書いてないが、昔の記憶を頼りに考えれば…おそらく1〜2週間後くらいだろう。


「この祭りは確か…レオが5歳のときに行ったのでしたっけ…懐かしいですね…」


5歳…そうか…

あれからもう11年以上も経ったのか…


「そういえばレオ?あなたって何歳になったの?」


ふと、カーラに聞かれた。


「この前17になりましたよ?」


「「え!?」」


それを聞いたバオスとカーラは驚いた。


「お前…もうそんな年になったのか!?」


「時間って早いわね…」


え?なんで?

なんでこんなにしんみりしてるの?

………。

…あ。

そういえばこの世界の成人って16歳か。

旅のことで失念してた…


「え?もしかして16歳ってなんかあるんですか?」

「いや…大きなことはないんだが…まさかもう大人になってたなんてって…少し驚いただけだ」


そう?

ならまあ…いっか。


「それでレオ。これ行きます?」

「…断る理由はないですし…行ってみようと思います」


俺は行くことにした。

久しぶりにそういったのにも行きたいしな。

魔術の祭典…か…

あいつらに連絡とってみるか。

俺はその日のうちに、とある人物達に手紙を書き、伝達鳥で送った。






翌朝。


「じゃあ行きますか」


俺はしまったばかりの馬車を取り出し、みんなを乗せた。

11年前は俺とナナ師匠のみで行ったが、今回は全員で行く。

大きい馬車を買って正解だった。

ただ、荷物は乗せれなかった。

スペースはあるが、馬が耐えられそうな量ではなかったのだ。

8人分だからな。

なので、荷物は収納魔術でしまった。

そして俺は馬車を発進させた。

ウェストンまでの距離は、歩いてだいたい1週間だったが、馬車は5日でいける計算だ。

まあ…ゆっくり行こうじゃないか。






馬車を走らせて3日が経った。

俺は変わらず馬車を進めていた。

その時だった。


ピュン!


「…!?」


俺の右脇腹に何かが飛んできた。

俺は反射的にそれを見た。

それは…伝達鳥だった。


…またか


ズドッ!!


俺の脇腹に伝達鳥が刺さり、俺は馬車から落とされた。


「「「レオーーーー!!!」」」

「あ?レオ?」

「お兄ちゃん!?」

「…落ちたな」


毎度おなじみである。

なんで俺は…こうも伝達鳥に攻撃されるんだ…






「あんな動きをする伝達鳥は初めて見た」

「俺はいつもあんな感じです…」

俺は手当をした後、再び馬車を進めた。

その間に、俺は伝達鳥が持っていた手紙を読んだ。


ーレオリオス・パルト殿へー

お誘いありがとうございます。

全員で行きます。

多分2週間後になると思います。

そこでまた会いましょう。


手紙の内容はシンプルだった。

来るのか…

なら良かった。

てか「レオリオス・パルト殿」…か…

かしこまり過ぎな気がするが…まあいいか

そのことをニナにも伝えると、とても喜んだ。

…手土産になんか用意しておくか。






「「着いたーー!」」


その2日後。

俺達はウェストンに到着した。

相変わらずの賑やかさだ。


「カオルー!ルカー!あんまりはしゃぎすぎるなよー!」

「「はーい!」」


そう言って2人はお店に入っていった。

あいつら…自由すぎだよ。


「にしても…最初『三眼族』って聞いたときは驚いたけど…いい子じゃん」


カーラがそう言った。

俺達が家に帰ってきた時、ルカに関してはエグいほど詰められた。

ただ、ドーラ師匠には手紙を通して伝えていたので、ドーラ師匠は何も言わなかった。

てかドーラ師匠…ルカのこと伝えておいてくれよ…

そう思っているのは置いといて…

そんな中、1週間過ごしてもらい、ルカに関しては認めてもらった。

まあ…気にしなくて良さそうだ。

俺達はその後宿に向かい、部屋を取った。

部屋割は俺、ルカ、ニナ、ナナ師匠のペアと、バオス、カーラ、カオル、ドーラ師匠のペアだ。

俺は荷物を置き、早速街の散策に出かけた。


「…懐かしいな〜」


俺は街を歩きながら、11年前のことを思い返していた。

その時だった。



「あれ?レオリオス師匠?」



俺は後ろから声をかけられた。

それは見る限り、エルフの女性だった。

高価そうな服に身を包み、胸のところにはバッチが付いている。

模様からして…ジークバルトのもののようだ。

そして俺はこの特徴の人物で、俺を「師匠」と呼ぶ人物を、1人だけ知っていた。


「ロ、ローザさん!?」


「お久しぶりです、レオリオス師匠!」


ローザ・ジーク。

ジークバルトの現国王だ。

まさか…人族世界に来ているとは…


…って違う!


「どうしてここに!?」

「明日から始まる魔術の祭典に興味がありまして…レオリオス師匠は?」

「えっと…祭典に来賓として呼ばれまして…」

「え!ではなにかするのですか!!」


ローザさんは目を輝かせて聞いてきた。


「え…今のところは特には…」


「ローザ様!」


すると、後ろから人が走ってきた。

付き人のセリーヌさんだった。


「そんな急いでどうしま…あ、レオリオスさん!お久しぶりです」

「あ、あぁセリーヌさん。お久しぶりです」


どうやら祭典を見に来たのはガチのようだ。

まさか王族まで来るとは…

この祭りも相当な規模だな…


「あ…」


この時俺はあることを思い出した。

…王宮に挨拶にいかないといけなかった。


「すみません。自分、これから用事がありまして…」

「あ、そうでしたか。引き止めてしまい申し訳ございません」

「いえいえ。ではここで」


そうして俺は、王宮に挨拶に行き、その後は休息をとった。






「ローザさーん!!」


「あ!カオルさん!」


翌日。

ウェストン魔術の祭典が始まった。

この祭典は1週間続き、魔術を使った模擬戦や魔術の採点、その他魔術に関連する様々なイベントがある。

俺達はこの日、ローザさん達と行動をともにすることになった。

理由はまあ…お願いされたとだけ言っておこう。


「よし…じゃあ今日は各々行きたい場所もあるだろうし、夕方まで自由行動にしよう!」


そしてその日は自由行動にした。

俺はというと、カオルとローザさんに付き添っていろいろな場所を回った。

そして、気づけば夜になっていた。

今日はどうやら「魔術と音楽の共演」というのがあるらしい。

俺はつい興奮してしまった。

俺の好きなことと得意なことが共演してたら…興奮するだろ。

だが、その興奮はすぐに緊張に変わった。


「レオリオスさん」


司会者の人に声をかけられた。


「はい。なんでしょうか?」


「次のバンド、魔術師として出てくれませんか?」


「え!?これってこんな感じで決めてるんですか!?」


「はい。来賓の方からランダムに」


来賓が何もしないのは不自然だと思っていたが…こういうことだったか…

俺は仕方なく控室に行った。



「あれ!?レオリオスさん!?」



そこには一組のバンドがいた。

そしてそれは、俺の見覚えのあるバンドだった。


「え!?貴方達は…ファジサイトの…」


「はい!あのときはありがとうございました!」


それはファジサイト建国祭にて、俺が助っ人として参戦したバンドの人達だった。


「皆さんはどうしてここに?」

「バンド枠で招待されたんです。あれから結構有名になりまして、今は『フレイム』という名前で活動してます!」


そうか。

あれからそんなに頑張ってたのか…


「よし!なら俺も、人肌脱いじゃおっかな!」


その日の夜のことは、翌日かなり話題になった。

話題の内容は「現在人気急上昇の『フレイム』と『影纏のレオリオス・パルト』が奇跡の共演」というものだった。

「闇夜の灯火」という彼らの曲にあわせ、俺が影魔術と火魔術を出し、雰囲気を演出した。

この日のことは、俺が旅を終えてからの、最初の思い出となったのだった。

さて…明日からも楽しみだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ