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123話 獣族の国

ニナへ

前の手紙からかなり時間が経ったけど、調子はどうだ?

こっちは今、順調に旅を続けてるよ。


あれから結構色々あった。

まず、竜獣の国を見つけたよ。

しかも、そこに住んでいる人達は俺達を歓迎してくれた。

なんでも、俺達の知る竜獣の歴史とは少し違った背景があったらしい。

帰った時に教えるよ。


さらに、新しい魔獣種も見つけたよ。

対処が大変だったけど、なんとか切り抜けられた。

俺的には、もう戦いたくないかな。


今は大陸の中央から南に向かって進んでる。

どんな旅になるかわからないけど、この調子で頑張るよ。

それじゃあ、また連絡する。

体には気を付けてな。

レオリオスより



ファイブを出発してから1ヶ月が経った。

俺はこの日、ニナに手紙を送った。

旅を始めてから約2年。

この時期になってくると、段々と昔の記憶も薄くなってくるもので、旅の前のことを「懐かしい」とか「何だっけ?」って言う機会も増えてきた。

しかし、やはり家族のことは忘れないもので、ニナのことやレオニスのこと、他の家族のことは鮮明に覚えている。


レオニスはもう2歳か…

俺はこれくらいの時期に物心がついて、前世の意識が発現した。

レオニスもそろそろ物心がついてくる頃だろうか。

一体どんな子になっているのだろうか。

早く会いたいな…

そんな事を考えながら、俺達は馬車を進める。






「次の目的地が見えてきましたよー」


それから半月もしないうちに、次の国が見えてきた。

今回の旅はひたすら砂漠だったので、目的地も小さくはあるがすぐ見えてきた。


「それで、あそこはどんな国なんだ?」


馬車の中でリューが俺に聞いてきた。


「一応、ゾーランに関してはドラインで少し聞けたけど…」


俺はそう言いながら、ドラインでの情報収集で使っていたメモ帳的なものを取り出した。


「レオ。それは?」


それを出すと、ナナ師匠が不思議そうに聞いてきた。


「ドラインで得た情報を記しておいたんです。一応、長旅なので」


そう言いながら、俺はメモを読み始めた。


「ドラインはかつて『獣国』と呼ばれていて、大陸獣族が住んでいたそうです」

「…やはり疑問だな」


俺がメモを読むと、ドーラ師匠がそう呟いた。

そして、言葉を続けた。


「『大陸獣族』という名には覚えがない。何の種族なんだ」

「俺も分かりません。獣族だとは思うんですけど…」


俺とドーラ師匠は様々な可能性を推測し、考え込み、黙った。



プッププーー!!



そんな事を考えていると、遠くから角笛のような、ホルンのような音が聞こえてきた。


「え?楽器の音?」


俺は思わず音の方向を見る。

その方向にはゾーランがあり、よく見ると何やら土煙が舞っている。


「お、おい。これ、まずくないか?」


俺達が土煙を見ていると、サラさんがそう呟いた。


「サラさん。何が来てるか見えますか?」


すると、サラさんはゆっくりと答えた。



「武装した…大量の…獣族」



「「「え?」」」


その発言に対し、俺とナナ師匠とリューは声を漏らした。

そして、それを聞いたドーラ師匠が言葉を放つ。



「そういえばあの音…獣族が敵を迎え撃つときの開戦の音だな」



なるほど。

たしかに、前世でも昔は狩りの時にそんな音を出してたって聞いたことあるな。


…ん?

ってことは、つまり…



「俺達…敵判定にされてます?」



「そのようだな」


俺の発言に対し、ドーラ師匠がそう言う。

マジか。

俺達別に侵略しに来たわけじゃないんだけどな…


…いや待てよ。

戦いに来たわけじゃないんだったら、事情話せばいいだけじゃん。


「全員、一旦降りましょう」


俺はそう言って、馬車を停止した。

そして馬から降り、両手を上げた。


「すみませーーん!!」


俺は魔神語でそう叫びながら、獣族の集団の方へ歩いていった。

その声が聞こえたのか、俺が叫び始めた瞬間、獣族の集団は徐々に減速していき、俺の目の前に来た頃には、すでに停止していた。



「そこの男。何者だ」



俺が手を上げながら歩み寄ると、1人の獣族がそう尋ねてきた。


「旅のものです。海向こうの大陸から来ました」

「なるほど…ん!?海の向こうだと!?」


俺の発言に対し、その獣族は驚いた。

そして、何やら他の獣族に合図を出し、武器を降ろさせた。


「失礼しました。カスラの残党だと思い警戒した」

「いえいえ。仕方ないです」


そう言うと、その獣族は後ろを振り返り、歩み始めた。


「ゾーランへの滞在でしたら、案内いたします」

「あ、ありがとうございます」


こうして、俺達はゾーランに到着した。






「しかし、やはりドライン同様、生き残りがいる国があるんですね…」


ゾーランに着くと、ナナ師匠がそう言う。

あたりを見ると、多くの獣族が暮らしていて、1つの国が稼働していた。


「ここは、一度はカスラに支配されたのですが、そちらでの大陸でカスラが敗北すると、この国にいた戦力も消え去り、国を取り戻せたそうです」


先程の獣族、改め「レオン・シーフ」はそう言った。


道中、レオンさんからこの国について色々聞いた。


ゾーラン。

「獣国」と呼ばれる獣族の国。

大陸内では2番目の広さの国で、先程の砂漠とは思えないほどの物資に恵まれている。

独自の文明を築き、竜獣同様、鎖国状態で生き残り続けている。


俺達はあのあと、自主行動をすることにした。

というのも、ここからまた移動する際、次の目的地を過ぎたら一度帰還しようと考えているのだ。

そのための物資や、みんなへの土産等々、集めたいものを各自集めようとなったのだ。


そんなこんなで、俺は今、この国の市場に来ている。

市場にはたくさんの露店があり、様々なものが売っていた。

通過とかは大丈夫かと思ったが、幸いなことに、通貨は俺達の大陸の魔族世界と同じだった。

そのため、ものを買うのには何の問題もない。


だが、ここで俺の目にとあるものがとまった。

それはかつて、みんなが一度は触ったことのあるものだった。

木でできた十字の棒に、赤い玉が乗っている。


そう。

けん玉である。

…なんで?

この世界…そういうの無かったはずだよな。


それだけではない。

他のものを見てみると、某漫画や某ゲームのキャラクターのデザインが入った家具や、前世で旅行客や少年スポーツ漫画のキャラクターが着ていそうな漢字の書かれたTシャツ等々が売っている。


…うん。

間違えない。


「ここにも…転生者がいるのか…」


俺はそう思いながら、前世で見ていたアニメのキャラクターが描かれたマグカップと、「影」と漢字で書かれたTシャツを購入するのであった。


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