↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/130

117話 山を背に

村を出てから6ヶ月が経った。

俺達はこの間に一度ケーズバルトに立ち寄り、ある程度の物品と食料、馬車を揃えた。

そして、そこから一直線にマントシティへ向かった。

旅を始めて3ヶ月を過ぎたときには、中間地点となるドラマルトに立ち寄り、レナードさんにお願いし、マントシティに船の作成依頼をしてもらった。

というのも、この世界には一応漁業があるため、船は存在する。

しかし、地図にある大陸までの移動に必要な船となると、作成に4ヶ月はかかるらしい。

「4ヶ月でできるのか?」とも思ったが、そこはまぁ…考えないことにした。

その依頼を突然申し出ても困るだろうということで、レナードさん権限で最優先にしてもらい、今から作業を始められるようにしてくれたというわけだ。

レナードさんには感謝しかない。


それからはただまっすぐにマントシティへ向かった。

距離的にはエイサールからドラマルトよりも近いのだが、マントシティは魔族世界の東に位置する山岳地帯の最奥にある「マント火山」の中腹に存在し、道中は複数の山地を越えないといけないため、かなりの時間がかかる。

さらに、マント火山周辺はこの大陸で一番魔獣種が現存しているため、かなり危険な道とのこと。

幸い、ここのメンバーにはマントシティを拠点に活動していたサラさんがいるため、それなりに楽をして進めた。


そしてドラマルトから3ヶ月後。

俺達は遂にマントシティにたどり着いた。


マントシティ。

魔族世界では「山国」と呼ばれる国。

マント火山に沿った形で村を形成し、生活している。

魔獣種が多いことから「最も危険な国」と呼ばれたり、火山の熱により生まれた温泉がたくさんあることから「温泉国」とも言われている。


俺達はマントシティ到着の後、まっすぐに王宮へと向かった。


「よくぞ来てくれましたね」


そこにいたのは、現「マントシティ国王」のネオ・リーフさんだった。


「ネオさん!お久しぶりです!」

「ナナ!久しぶりね!」


ネオさんはナナ師匠の叔母にあたる人物だ。


「お久しぶりです。ネオさん」

「あら?なんだか豪華な集まりですね」


ネオさんは俺達の方を見て、そう言った。

それもそうだろう。

俺達のメンバーは元ノーボックスの神級魔術師1人。

神級剣術使い1人。

神級体術使い1人。

さらに剣術、体術の二刀流の神級が1人。

俺も含めれば神級5人のとんでもメンツだ。

どこからどう見ても豪華すぎるメンバーである。


「レナードさんから話は聞いています。船の完成には1ヶ月ほどかかるのですが、大丈夫ですか?」

「あ、はい。大丈夫です」

「では、宿は用意しているので、そちらに滞在してください」

「ありがとうございます」


こうして、俺達のマントシティ滞在が決定した。






その日の夜。

俺は一通の手紙を書いた。


ニナ・パルトへ

あれから調子はどうだ?

レオニスも元気か?


こっちは今、マントシティについたところだ。

ナナ師匠の叔母のネオさんにも会った。

旅は基本的に順調だ。

ただ、これからはもっと危険な旅になるかもしれない。

正直、何があるかもわからない。

けど、このパーティだったら大丈夫だと、俺は思ってる。


突然こんな事になってしまったのを本当に申し訳なく思う。

レオニスの世話を任せることになってしまい、親として良くないことだと思ってる。

これからも定期的に手紙を送る。

無事に帰るから、待っていてくれ。

レオリオス・パルト


俺は手紙を伝達鳥にくくりつけ、エイサールに送った。


「ふぅぅぅぅ…」


手紙を送った後、俺は深く息を吐いた。

そして、ニナの事を考えた。

ニナは今、何をしてるんだろうか。

あれからレオニスはどうしてるんだろうか。

俺のこと、怒ってないのだろうか…

………。

考えだしたらきりがない。


「…はぁ」


俺は申し訳なさと不安で、ため息を漏らすのであった。






マントシティについてから2週間が経った。

俺達は船旅に向けて準備を進めていた。

そして、その日の俺は本屋に来ていた。

というのも、実は俺らのパーティに船操縦の経験者がいない。

そのため、航海の勉強をしようと思ったため、ここに来たのだ。


「あれ?レオ?」

「ナナ師匠」


そこにはナナ師匠がいた。

ナナ師匠は複数の本を持ちながら、他の本を見ていた。


「ナナ師匠はどうしてここに?」

「一応、旅に役立つ魔術を探そうかなと…レオは?」

「航海について少し調べようと思いまして」


そう言うと、ナナ師匠は奥を指さした。


「それなら、あっちの方にありましたよ」

「本当ですか?ありがとうございます」


俺はそれを聞き、示された方に向かった。


「…分厚くね?」


そこにはたしかに航海の本があった。

けれど、想像以上の厚さがあった。


「…頑張ろう」


そこから俺は、約1週間の間、買った本を読むために部屋にこもったのだった。






さらに2週間が経った。

その日の夜は、ファストさんからもらった地図とずっとにらめっこしていた。

というのも、到着後にどういった経路で行くのかを悩んでいたのだ。


コンコンコンッ…


そう考えていると、窓から音がした。


「ん?」


そこを見ると、伝達鳥が窓をつついていた。


「誰からだろう?」


俺は伝達鳥にくくりつけてあった手紙を取り、読み始めた。


レオへ

手紙ありがとう。

レオ達が元気みたいでよかった。

私とレオニスは元気だよ。

レオニスなんて、最近は自由に動き回ってるよ。

こっちのことは心配しなくて大丈夫だよ。


レオが大陸に行くって言った時は、正直驚いた。

けど同時に「レオらしいな」って思った。

私は全力で応援してるよ。


手紙が来て、安心した。

これからも、体に気をつけて。

待ってる。

ニナ・パルトより


手紙の主はニナだった。

ニナもレオニスも、大丈夫みたいだ。


………。


「ふぅ!」


パシンッ!


俺は一呼吸置いた後、自分の頬を叩いた。

そして、目を見開き、再び地図に目を向けた。


「…よし!」


そして、改めて検診した。

ニナとレオニスのためにも。

頑張らなくては…






その翌日。

俺達は港に来ていた。


「…遂にですね」

「これからだな…」

「なんだか少しワクワクするな」


この日、遂に船が完成し、出発の日となったのだ。

元ノーボックスの3人は、初めてのことに少しの緊張と期待があるらしい。

…いや。

期待があるのは、多分サラさんだけだな。


「…大丈夫か?影纏?」


俺が考え事をしていると、リューが声をかけてきた。

俺はどうやら、緊張が出てしまっていたらしい。


「あぁ…大丈夫だ」


俺は深呼吸をし、一歩歩みだす。

そして、船に乗り込んだ。


「よし!…行こう!」


こうして、船旅が始まるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。