↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/130

116話 新たな旅

ゼイの襲来から3ヶ月が経った。

雪も解け始めた頃のこと。

俺はファストさんから地図をもらった後、村で地図を見漁り、考えた。

ファストさんの父の手記によると、この大陸はカスラ戦線の後「忘却されし大陸」とされ、その存在はほぼ無かったものにされたらしい。

なぜ存在が有耶無耶にされたのかまでは分からなかったが、なんとなく理由があるように感じられる。


そして、手記にはこれらの情報とともに、「忘却されし大陸」への行き方についても記載があった。

方法としては3つあり、1つ目は現「ジークバルト」にあった港から北へと船を出し向かう方法。

2つ目は「マントシティ」があるマント火山の裏にあるとされる港から東に向かって船を出す方法。

3つ目は「ドラマルト」から真南のところにある港から南に向かって船を出す方法だ。


しかし、調べたところドラマルトの南の港はすでに潰れており、ジークバルトの港も今では使われていないらしい。

唯一、マントシティの港は漁業で多少使われているらしい。

よって、俺は「忘却されし大陸」へと向かうために、「マントシティ」へと行くことにした。






そして今日、俺はその旨を家族に話すことにした。

俺は家の住人を居間に集め、話し合いの場を設けた。


「ごめんな。みんな色々やることがあるのに集まってもらって」

「ううん。多分、みんなも気になってたことだろうし」


俺がそう言うと、レオニスを抱きかかえたニナがそう答えた。

どうやら、俺が何を話そうとしているのかを、なんとなく察しているようだ。


「まずは、これを見てほしい」


俺はそう言うと、中央にあった低めのテーブルにファストさんにもらった地図を広げた。


「これはなんだ?」


「300年前…カスラ戦線の前まで使われていた世界地図だそうです」


「「「「え!?」」」」


「「「「…!?」」」」


バオスの質問に俺が答えると、カオル、ルカ、カーラ、ナナ師匠は声を上げて驚き、ニナ、ドーラ師匠、バオル、サラさんは目を見開いた。


「これはどこで見つけたんだ?」

「ファジサイトでファスト様からもらいました。ファスト様の祖父のものらしいです」


ドーラ師匠の質問に対し、俺はそう答えた。

そして、俺は決心を持って言葉を続けた。



「俺は、この大陸に行こうと思っています」



すると、その言葉を聞いた全員が険しい表情を浮かべた。

そして、ドーラ師匠が言葉を放つ。


「お前の考えはよく分かる。それが妥当な考えだとも思う」


そう言った後、ドーラ師匠はニナの方を向く。


「だが、お前の妻と息子はどうする?大陸に行くにしても、大陸を回るにしても、おそらく3年はかかるぞ?」


そして、ドーラ師匠は俺の方を向く。



「お前はその間、家族をほったらかす気なのか?」



俺はその言葉を聞いて、ごもっともな言葉だと思った。


その通りだ。

俺が大陸に渡るということは、しばらくの間、俺はこの家を離れるということだ。

その間、俺は生まれたばかりのレオニスと、妻であるニナをほったらかしにするということだ。


父として、夫として最低なことだ。


「正直な所…お前をこの大陸には行かせたくない」


俺がそう考えていると、ドーラ師匠は俺に向かって言った。

その言葉を聞いた後、俺は口を開いた。


「…分かってるんです…この選択は間違ってる。家族をほったらかして、自分の目的のためにどんな場所かもわからない所に行くことは」


そして、俺はドーラ師匠の目を見て、言葉を続けた。



「けれど、ここで行動せずに、ゼイがなにかしてくるのをずっと警戒しながら生活していくのは嫌なんです。この前みたいに、ニナやレオニスの命が危なくなるのは…2人を失うのは…嫌なんです」



俺は深呼吸をしてから、再び言葉を放つ。



「だから行かせてください!2人を守るためにも!家族のためにも!俺自身のためにも!」



「………」


俺の言葉に対し、ドーラ師匠は少し考え込んだ。

そして、言葉に迷ったように俺を見た。



「レオ…」



その時、俺の横に座り、レオニスを抱きかかえていたニナがそう言った。



「レオの気持ちは分かってるつもりでいる。私達のために色々なことを考えてくれてるのも分かってる」



そして、ニナは俺の近くに寄って、手を握って言葉を続ける。



「だから…レオが思う”今やるべきこと”をやってほしい。私はそれを応援するつもり」



その言葉を聞いて、自分のやるべきことを考えた。

親として、ニナとレオニスのためにそばにいることも大切だ。


だが、俺はニナとレオニスを守りたい。


だからこそ、2人を守るため、さらにはバオスやカーラ、カオルのためにも、ゼイを野放しにはできない。


「ニナ…ありがとう…」


俺はそう言った後、ドーラ師匠の方を向く。



「ドーラ師匠。俺のわがままを…どうか許してもらえませんか」



俺がそう言うと、ドーラ師匠は何かを決心したかのように俺の方を向いた。



「…わかった。我も…ゼイを野放しにするのは良くないとは思っている」



そう言うと、ドーラ師匠は少し間を置き言葉を続ける。



「ただし…我も行こう」



「「「「「「え!!?」」」」」」


その言葉を聞いて、ドーラ師匠以外の全員が驚いた。


「ゼイはカレラの分裂体であり、かなりの強者。そんな相手を1人で、ましてや身内であるお前だけに任せるわけにはいかん。それが、お前の大陸行きを許す条件だ」


俺はそれを聞き、少し考えた。

そして決めた。



「分かりました…お願いします」



こうして、俺は大陸に行くことになった。



「ちょ、ちょっと待ってください!!」



俺とドーラ師匠の話が終わると、ナナ師匠が声を上げた。



「ならば、私も行きます!」


「!?」

「え!?」


その言葉を聞いて、ドーラ師匠は目を見開き、俺は声を上げた。


「どこかもわからない場所に、2人になっただけで行かせるわけにはいきません!」


その言葉の後、ナナ師匠の後ろで話を聞いていたサラさんが言葉を放つ。



「なら…私もだな!」



「「え!?」」

「お前もか?」






そんなこんなで、俺とともにドーラ師匠、ナナ師匠、サラさんが一緒に行くことになった。

そして、会議から1週間が経った。

俺達は出発の準備をした後、村の前に向かった。

「忘却されし大陸」への出発についてはその後村中に広まり、村の前には大勢の村人が集まった。


「レオ」


大勢の村人がいる中、ニナが前に出てきた。

そして、そのまま俺に抱きついた。



「…どうか…無事に帰ってきて…」



ニナは少し震えた声で、そう言った。


「…ごめんな。不安にさせちゃって。絶対帰って来る」


「…うん」


「だから、レオニスを頼む」


「うん…」


俺はそう言いながら、抱えられているレオニスが潰されないように、ニナを軽く抱きしめた。

そのあと、俺はカーラやルカ、カオル、バオスがいる方向を見た。


「他のみんなも…頼みます」


「任せてください!」


「お兄ちゃんのためにも頑張るよ!」


「少しは姉を頼りなさい」


「…行って来い!」


俺の言葉に対し、4人は各々反応した。




「…じゃあ…いってくる!!」



そう言い残し、俺は村に背を向け、歩み始めた。



「…あ」


少し歩いたところで、ナナ師匠が声を漏らした。


「どうしました?ナナ師匠」


「レオ、後ろ」


そう言われ、俺は疑問に思いながらも村の方を見た。


すると、ニナがカーラに後ろから抱きしめられているのが見えた。

どうやら、泣いているようだ。



「しっかり…心に刻んでください。あなたには、帰るべき目的があるんです」



その言葉を受け、俺は決心を強く固めた。


「はい!」


そうして、再び歩みを進めた。






「…ちょっ!ちょっとぉぉぉぉ!!!」


村が見えなくなったところで、前方から声が聞こえてきて、何かが走ってきた。

そして、見慣れた顔が近づいてきた。


「リュー!?」


向こうから走ってきたのは、リューだった。


「はぁ…はぁ…」

「どうしてここに?」

「ファスト様から事情は聞いた…多分だがお前…大陸に行くんだろ?」


俺の質問に対し、リューは息切れしながらそう言った。



「…俺も…連れて行け!」


「「「え!?」」」


その言葉に対し、俺とナナ師匠とサラさんは固まった。


こうして、大陸に行くメンバーは5人となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。