105話 影と鋼 2
「影の領域!!」
俺は影の領域を展開した後、影分身を出した。
そして、俺は分身に攻撃を仕掛けさせた。
「「「「「「天地一閃!!」」」」」」
分身は一斉に攻撃を仕掛ける。
「剛龍!!」
その時、ロンの周囲の地面から無数の鉄の龍が出てきた。
キキキンッ!!
その龍は俺の分身の攻撃を相殺した。
そのまま分身と龍は攻防を続けた。
「影槍・水怪!!」
その瞬間に、俺は魔術を発動した。
すると、影の領域から無数の影の槍が出てきた。
さらに、
「さっきと違い…変形している?」
魔術を見たロンはそう言った。
影槍・水怪
影槍を派生させた魔術。
特級に分類される魔術であるが、その発動条件は「影の領域」の発動である。
影の領域内に無数の影の槍を発生させ、それをムチのように変幻自在に操る。
レオリオス・パルトの自作魔術である。
「ハッ!!」
ズドドドドッ!!
俺はその影を操り、ロンに向かって攻撃を仕掛ける。
「…まずいか」
ロンは腕を構え、影を迎え撃つ。
グニャ!
しかし、影はロンの腕が当たった瞬間変形した。
グサッ!
そして、曲がった影はロンの胴体に突き刺さった。
「くっ…これは…」
ロンはこの攻撃を受け、表情を変えた。
そして、攻撃をしてくる他の影を素早く避けた。
さすがに対処できないと感じたようだ。
俺はここぞとばかりに攻撃を続けた。
ズッ!
ズズッ!
ロンは攻撃を避けるが、手数が多く避けきれずに攻撃を食らった。
プチッ!!
そして、体から出血する。
(…まだだ)
俺は攻撃を緩めずに続けた。
すると、ロンは突然停止した。
そして、全身を鉄で包んだ。
キンッ!!
影の槍はそれに弾かれた。
いくら刺してもびくともしなかった。
突然防御態勢になった?
だが、それでは何も変わらないのはロンは分かっているはずだ。
なぜここで防御に徹し始めたんだ?
キーーン…
すると、ロンの体から変な音が聞こえ始めた。
何かをチャージしているような音だった。
…なにか来る。
そう感じた俺は、臨戦態勢になった。
だが、ここで俺はロンがやろうとしていることに気づいた。
魔力を溜めている。
そう考えた時に気づいた。
まさか…これは…!?
「影球体!!五重結界!!」
俺は咄嗟に防御の魔術を2つ発動した。
その瞬間だった。
ドーーーン!!!
防御した瞬間、ロンを中心に大爆発が起きた。
ロンは「双翼」と「五槍」が持つ魔術、「魔力自爆」を発動したのだ。
広範囲を消失させる危険度を誇る魔術。
それは自爆にも等しく、連発することが少ない。
だが、使えないわけではない。
自身にもダメージを負うが、この魔術は何度でも使える。
ロンは自爆覚悟でこれを発動したのだ。
周囲は神々しい光りに包まれた。
そして、辺りを再度消し飛ばした。
「…はぁ…はぁ」
俺は防御の魔術を発動したおかげで、戦闘不能にならずに済んだ。
しかしダメージは大きく、俺の服は完全になくなり、全身のいたる所から出血していた。
「…ふぅ…ふぅ」
しかし、それはロンも同じだった。
ロンは自爆により相当なダメージを受けていた。
「…まだ死んでない…か…」
ロンは俺を見た瞬間、再び腕を変形し、剣にした。
「…負けるわけには…いかないんでね」
俺は杖をしまって剣を出した。
俺に残された魔力は残り僅か。
高火力の魔術を出せるレベルの魔力はもうない。
ここからは剣術でやるしかない。
「…フッ」
すると、ロンは笑った。
「何がおかしい」
「いや、おかしかったわけではない。支配が今解けてな」
支配が解けた?
「どういうことだ?」
「魔力の使いすぎで、理性が戻ったようだ」
理性が戻った?
何いってんだこいつは…
状況が読めない。
「『レオリオス』と言ったな。一つ問いたい」
ロンはそう言った。
「なんだ?」
「お前はなぜ…この戦いに?この戦いの先に何を望む?」
その質問の後、俺はロンの方を見た。
ロンは先程の狂気の顔ではなく、穏やかな顔をしていた。
その表情を見て、何かを感じた。
殺意や恨み、相手に対する戦闘意志ではなく、まるで、模擬戦をしているときのような感情だ。
そして気づくと、俺も表情が緩んでいた。
「家族と…自分の…未来のため」
俺はそう応えた。
それを聞いたロンは、ニヤッと笑った。
「なら…ここからは殺し合いではなく…試合としよう!!」
そう言って、ロンは構えの姿勢を取った。
俺はこの時、なぜロンが殺し合いをやめようと言ったのかは分からなかった。
だが、俺はこの時思った。
いや、きっとロンも同じ事を考えたのだろう。
俺は相手に対し、敬意を感じている。
なぜ思ったかはわからない。
けれど、ロンの表情を見て、俺は多少の愉悦を感じていた。
「いいぜ。終わらせよう。この戦争を!」
そして俺とロンは至近距離まで近づき、見合った。
スンッ!
静寂の後、俺とロンは同時にバックステップで下がり、剣を構えた。
ズドンッ!
そして同時に地面を蹴る。
キンッ!!
俺とロンの剣はぶつかり合い、そして俺とロンはお互いを通り過ぎた。
背中を向けて固まる。
そして、静寂が広がる。
「…いい戦いだった」
「あぁ…ありがとう。ロン」
ドサッ
この言葉の後、ロンは地面に倒れ込んだ。
その顔は、笑っていた。
…よし。
『ラーラ…聞こえるか?…』
『先生?』
俺の呼びかけに、ラーラは反応した。
『みんなに伝えてくれ…』
『え?』
『戦いは…終わりだ…俺達の…勝ち……だ…』
俺はそう言い残し、ぶっ倒れた。
こうして、この戦いは幕を閉じた。
戦線は俺達の勝利で終わった。




