104話 影と鋼 1
ーレオリオス・パルト視点ー
「………」
「………」
ロン・アイアンドと接敵した後、俺と奴は見つめ合ったまま数分が経過した。
お互いの出方を伺っている。
俺は杖を構えていた。
「…レオリオス・パルト…か…」
すると、ロンは呟いた。
「たしか…『影纏』と呼ばれていたな…」
「俺を知っているようだな」
「知ってないもののほうが少ないように思うがな」
そう言うと、ロンは手を地面に向けた。
「影魔術に警戒…後は『炎戒の龍』にも注意だな」
俺は模倣眼でロンを見た。
すると、地面につけた手に魔力が溜まっていくのが分かった。
「では…行くとしよう」
その瞬間、気配が変わったのが分かった。
「錬金槍!!」
すると、ロンの周囲に無数の円錐型の物体が出現した。
そして、俺めがけてその物体を飛ばしてきた。
「風破裂!!」
俺はそれを、上級の風魔術で弾いた。
カラカラカラン!!
すると、飛んできた物体は金属のような音をたてて地面に落ちた。
(この音…鉄?)
そう考えていると、ロンは俺に向かってさらに物体を飛ばしてきた。
連続攻撃だと思ったが、よく見ると、ロンは物体を消費した直後に物体を再生成していた。
そうか。
あいつはひたすら魔術を使い続けているのか。
そう思った。
だが、俺の中に一つの謎が浮かんだ。
これは一体、何の魔術だ?
この魔術について、俺は何の魔術なのか?
そして、どういった構造なのかが分からなかった。
模倣眼でも、うまく読み取れなかった。
さらに疑問だったのが、その攻撃の量だ。
俺は現在、影球体でひたすらにガードをしている。
しかし、一向に攻撃が止む気配がない。
こんなに魔術を連続して出していたら、大抵は10秒くらいで多少の火力の変化が生まれるのだが、20秒経っても変わらない。
「…防ぐのなら攻めるまで!!」
そう考えていると、ロンはこちらに向かって飛んできた。
「錬金腕!!」
すると、ロンは自分の右腕を左手で掴み、魔術を発動した。
その瞬間、ロンは右腕を薙ぎ払った。
パリン!!
すると、影球体が割れた。
それも横に真っ二つに。
「…ッ!!」
俺は咄嗟に体勢を極限まで低くし、影球体を壊した何かを避けた。
そして、俺はロンを見た。
「…何!?」
俺の目にはとあるものが飛び込んできた。
それは、剣のような形に変形したロンの右腕だ。
さっきまで腕だったものが、剣に変わっていた。
そしてよく見ると、ロンの腕は金属だった。
「…え?」
俺はその瞬間、ロンの魔術を理解した。
「まさか…金属を操る魔術!?」
「正解だ!!」
そう。
奴の魔術は「金属を操る魔術」だった。
さっきの物体の正体は、おそらく地面の鉄分だ。
奴はそれを利用して槍を作ったんだ。
…てか腕の変形って。
(鋼の錬◯術師?)
…まずそれはいいか。
ってことは、ロンの魔術は「錬金術」とか「製鉄術」といったところか。
そしてここで思う。
(双翼にしては少し地味なような気が…)
先程の「魔力自爆」と比べると、なんかインパクトが薄い気がする。
だが、そう思ったのはこのときだけだった。
「影の槍!!」
キキンッ!!
俺はロンの攻撃を咄嗟のところで防いだ。
だが、この時思った。
(今…音が2回した?)
さらに驚いたのはこの後だ。
バキッ!!
攻撃を受けた瞬間、影の槍は砕けた。
嘘だろ?
たった2撃で壊れた?
「…ッ!!」
俺はひたすら影の槍で反撃していった。
それを受け、ロンはその攻撃を砕いていった。
そうか。
あいつの強さは魔術じゃなく、単純なポテンシャルなのか。
「どうした?こんなものか?」
すると、ロンは攻撃のスピードを上げ、俺に急接近した。
そして、
スパンッ!!
その攻撃が俺の腹にかすった。
俺は咄嗟に回避して、ダメージを負わずに済んだ。
だが、その瞬間だった。
ズドドドドン!!
俺の体に、無数の鉄の槍が襲いかかった。
俺は回避行動により、若干の隙が生まれ、攻撃をもろに食らった。
ビチャッ!
刺さりはしなかったが、俺の体からは血が流れ、かなりのダメージを負った。
俺は少しよろめきながら、体勢を立て直した。
「…ん?」
それを見て、攻撃を畳み掛けようとしていたロンはその場に止まった。
そして、俺の方を見てきた。
「神級とはいえど、流石に限界か?」
そう言うと、ゆっくりと俺の方に向かってきた。
「…何言ってんだ?」
俺はその言葉に対し、小さな笑みを浮かべてそう言った。
「…っ!?」
それを見たロンは何を感じたのか、後ろにバックステップで下がった。
「影の領域」
俺はその瞬間、影の領域を展開した。
影はみるみる広がっていき、後ろに下がったロンよりもさらに奥へと広がった。
「…広い。これがお前の魔術か」
「ここからが本番だろ?」
そして、俺は立ち上がり杖を構えた。
「影分身」
さらに、俺は剣を持った分身を出した。
「負けてたまるかよ!」
「まだまだ楽しめそうだ」
そして、俺とロンの戦いは続くのだった。




