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100話 ソーザ奪還作戦 1

ードーラ・コンドル視点ー


「ドーラ?」

「なんだ、ナナよ」


レオが村から出発して2ヶ月が経ったある日。

俺はナナと話していた。


「この戦い…勝てるのでしょうか…」


ナナはかなり心配しているようだ。

無理もない。

今回の作戦は「勝てる見込みのあるもの」ではなく「五分五分の戦い」なのだ。

策士として有名な「レナード・ハルト」が考えたものではあるが、やはり不安にはなる。


「安心しろ。きっとうまくいく」

「…そういうのって、あんまり言っちゃいけない気がするんですが?」

「それに、レオも頑張っている」


そう言うと、ナナの顔には少しの笑みが出てきた。


「…そうですね。きっと…大丈夫です」






時系列は進み、作戦決行の日。


ドーーン!!


「聞こえました。合図です」


レオがいる前線の接敵を知らせる合図を、聴力の優れたエルフの兵が感知した。


「よし!進むぞ!」


指揮官であるシンの合図とともに、軍勢は竜族世界に侵入した。

辺りは焼け野原となっていた。

おそらく、竜族の出発前の魔術の発動によるものだろう。

つまり、ここにいた軍勢は出発したということだ。


「俺に続け!!」


軍勢はシンを先頭にし、進軍を続けた。


「もうすぐ街が見えるはずだ」


俺達は走り続けた。






しばらく走ると、開けた場所に出て、向こうに街が見えてきた。


「あれが『龍国ソーザ』だ」


俺はその光景を見て、懐かしさを感じた。

龍国ソーザは、俺の故郷でもある。

竜獣の侵略が始まったことにより、俺はここには帰ってこなくなった。

ここにしっかり帰ってきたのは約80年ぶりだ。


「来たぞ!」


すると、ソーザから無数の竜獣が飛んできた。

どうやら気づいたようだ。


「これより作戦を決行する!2隊に別れろ!!」


シンの掛け声とともに、俺達は2隊に別れた。


「かぁぁぁぁ!!!」


一方の隊は、向かってきた竜獣を迎え討った。

俺達の軍は、国に向かって走り始めた。






「月光斬!!」


俺達はソーザ国内に侵入し、敵を倒しながら王宮にたどり着いた。


「シン。ここからはどうする?」


「ここからはひたすら登る。王宮のてっぺん。竜獣王のもとに行くぞ!!」


シンの指示に従い、俺達は王宮に侵入した。

王宮には無数の竜獣の兵がいた。

しかし、竜獣は室内戦闘をあまり得意とはしていない。

だから、そいつらは難なく退いた。


俺達はひたすらに階段を登った。

そして、上下左右共に広い空間に出た。


「なんだ?ここは?」

「ここは宮内龍庭(きゅうないりゅうてい)。この王宮内で一番広い空間だ」


そう言うと、シンは一歩前に出て、言葉を続けた。


「この庭の先が王室だ!進むぞ!」


その声に合わせ、俺達は走り出した。

走り出そうとしたときだった。



ズドンッ!!



龍庭の奥の天井の方から何かが飛んできた。

飛んできたものを見ると、落ちたであろう場所には小さなくぼみが出来ていた。


「魔術…」


これは魔術の痕跡だ。

そう思いながら、俺は魔術が飛んできた方向を再度見た。



「兄さん…1人は倒すんじゃなかったのかよ?」


「…チッ!つくづく嫌な雰囲気だ」



そこには、飛びながら会話をする2体の竜獣がいた。


「シン。あれは?」



「あれは…五槍の『二先』と『五先』だ」



その目の前にいたのは、竜獣の最高戦力の一つ、「五槍」のうちの2体だった。


「兄さん。どうやら、俺達のこと知ってるみたいだよ?」

「…そうか」

「名乗るのが礼儀じゃない?」

「…そうだな」


そう言うと、2体の竜獣は床に足をつき、こちらを向いた。


「どうも。僕は五槍の五先『ファズマ・ドン』といいます」

「………」

「ほら!兄さんも!」

「…五槍の二先『アイズ・ドン』」


奴らはそう名乗った。


「君たちは…侵入者ってことでいいのかな?」


「答えるとでも?」


ファズマの質問に対し、シンは冷たく返した。


「冷たいな〜。こっちは会話がしたいのに」


「俺はしたくないね」


そう言うと、両者の空気が段々と重くなっていく。

…マズいな。


「落ち着け。シン」


「あん?」


「ここで指揮官が崩れれば、終わりだぞ?」


「…あぁ」


俺の呼びかけにより、シンは冷静さを取り戻した。


「あれ?冷静になっちゃった?」


シンの様子を見て、ファズマは「おや?」という顔をした。



「…もういい」



その様子の中、最初に口を開いたのはアイズだった。


シュン!!


アイズが口を開いた瞬間、龍庭全体が冷えた空気に包まれた。

いや…気温が急低下した。


「やるぞ…」


「…はい。兄さん」


ファズマがそう言うと、今度は気温が急上昇した。

そして、2人は軽く詠唱をし、魔術を発動した。


「氷獣(アイスビースト)」


「溶岩獣(マグマビースト)」


奴らの背後から、2体の巨大な龍が出現した。

一体は氷。

もう一体は溶岩だった。


「…なるほど」


「集団戦は不利だな」


俺とシンは被るようにそう言った。

そして、シンは指示を出した。


「全軍!ここを無視して王室に迎え!」

「え!?」


その指示を聞いた軍は驚いた。

「ですが!ここはどうするのですか!?」


「ここは俺が引き受ける!!」


そう言って、シンは前に出た。


「我も残ろう」


そして、俺も前に出た。


「ドーラ殿?」


「お前は指揮官だが、戦闘経験なら我のほうが上だ。ここは2人でやろうではないか?」


そう言うと、シンは笑みをこぼした。


「…では…頼もう!!」


俺とシンを見て、軍は迷わずに王室に駆け出した。


「あれ?兄さん?逃げたよ?」


ファズマの声に、アイズは答える。


「構わん…それに」


そうして、俺達を見て、言葉を放つ。



「コイツラのほうが…よっぽど厄介だ」



俺とシンは剣を抜き、技を出す。


「断地!!」


「周花・開花!」


こうして2対2、竜対竜の戦いが幕を開けた。

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