98話 ファジサイトの戦士と龍 1
ーリュー・ダリウス視点ー
三世界共同戦線が結成されて2ヶ月が経った。
俺はこの日、ファスト様に呼ばれ王宮にいた。
「リューよ」
「なんでございましょうか、国王」
俺は膝をつき、頭を垂れた。
「お前に、この国の防衛の指揮を頼みたい」
「え?俺がですか?」
俺は驚いた。
俺は神級になってまだ数年しか経っていない。
それに、俺はまだ19歳。
剣術使い、体術使いとしてはまだ若すぎる。
そんな俺が、防衛の指揮…
「俺以外に適任がいるのでは?」
「いや…我はお前に頼みたいのだ」
「なぜでしょうか?」
「一番信用しているからだ」
俺は、その言葉がとても嬉しかった。
なので、俺は密かにガッツポーズをするのであった。
「もうすぐ竜獣が攻めてくる。今日呼んだのは、その作戦を練るためだ」
「なるほど…分かりました」
俺は姿勢を直し、ファスト様の話を聞いた。
「とは言ったが、お前に言いたいことは一つだ」
「一つ…ですか?」
「我の範囲内に敵を納めろ。それだけだ」
俺はそれを聞いて、作戦を理解した。
「では、あとは自由に?」
「あぁ。お前に任せる」
俺はその後、話を終え、国門に向かった。
「敵が襲来しました!」
「全員!敵を囲め!!」
戦いが始まったのは、その数時間後だった。
「戦況は?」
「現在、敵の2割ほどを殲滅しました」
「被害は?」
「5名ほどが死亡。100名ほどが負傷しています」
「…戦況は五分五分か…」
それを聞いて、俺は一歩前に出た。
「俺も行こう」
そうして、俺は戦場に出ようとした。
その時だった。
「報告します!竜獣が動きを停止しました」
「何?」
それは、竜獣が突如として動きを止めたというものだった。
そして、知らせはこれだけではなかった。
「報告します!上空から1体の竜獣の接近を確認!とてつもない速さです!!」
それは、敵の増援の知らせだった。
俺はそれを聞いた瞬間、即座に双剣を抜き、飛び出した。
俺が戦場につくと、そこには大きなくぼみが出来ていた。
そして、こちら側の戦力が半分になっていることに気づいた。
「どういう状況だ!?」
「現在、空から降ってきた敵が大爆発を起こし、双方の戦力の大半を持っていきました」
「味方諸共!?」
俺がくぼみの方を向くと、そこには一体の竜獣が立っていた。
俺はそいつを確認した瞬間、すぐに構えた。
「月光斬!!」
「ん?」
キーーンッ!!!
俺の剣と、相手の剣はとてつもない音をたてて衝突した。
「骨のあるやつがいるようですね」
そう言うと、相手は俺を弾き飛ばした。
「貴様か!このくぼみを作ったのは!」
「う〜ん…そうとも言えるな」
そう言うと、相手は俺に軽く礼をした。
「私は竜獣王直属『双翼』が1人『左翼のユダ・ハンドラ』」
双翼…
ファスト様が言っていた、竜獣の精鋭の1人か。
「君の名前を聞いても?」
「名乗るとでも?」
「女が先に自己紹介をしたんだ。男もやるのは常識ですよ?」
え?
こいつ女なの。
「はぁ…リュー・ダリウスだ」
俺はやつを睨みながら言った。
「リュー…なるほど。あの人から聞いた「逆手」という剣士ね」
あの人?
誰のことだ。
「まぁいいわ。では…」
すると、奴…ユダは俺に飛んできた。
キンッ!
そして、再び剣がぶつかる。
「始めますか」
俺はユダに剣を振り続ける。
生き残った防衛軍は、周りの竜獣の掃討に努めた。
竜獣の軍勢はあれから動くことはなく、ただ切られ続けた。
「…くそっ!」
「ふふっ…遅いですね」
俺は、劣勢だった。
圧倒的実力差とかではない。
技が破格な訳では無い。
ユダは基本的に真剣術と戯剣術のみを使ってくる。
普通の剣士だ。
問題は、こいつの速さだ。
速さだけが破格だ。
影纏と戦っている時、俺は奴の無詠唱に遅れを取らずに魔術を捌く。
なんなら、それでも速さを上回る。
スピードは他の者よりも速い方だ。
けれど、ユダはそれよりも速い。
俺が1手出す時、ユダは5手出してくる。
それだけだ。
それだけなのに…捌けない!
「どうやら、そこまで強くもなさそうですね」
俺の体は切り傷でいっぱいだ。
途中で体術も入れたが、技をいくら流しても次の1手が来る。
一方的な攻撃だ。
俺は膝をつき、相手を睨む。
「もう…体力の限界のようですね」
そう言うと、ユダは笑みを浮かべた。
「さて…さっさと終わらせて、この国を落とすとしましょうか」
そう言って、ユダは飛び去ろうとした。
「まだ…だ…」
俺は血の滴る頭を上げ、立ち上がった。
「まだやるの?もう限界でしょ?」
「誰が…もう終わりだと言った?」
そうして、俺は双剣の持ち手の先にあった鎖をもう片方に繋いだ。
「は?」
それを見たユダは、俺の警戒を強めた。
「ここで、ファスト様の命を降りるわけには行かねぇんだ!」
そうして、俺は久しい構えをするのであった。
これをするのは、この技が神級に認定されて初めてのことである。




