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緑夢童話~三人の木偶娘~  作者: 阿礼 泣素
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千山万水、青い血VS青い血‐④

――力がみなぎってくる。


――血がたぎってくる。

――そして、心がほとばしる。

「ヴオオオオオー!!」

緑人が現れる。晒菜はいつものように緑人からの攻撃を避けようとした。

――その時だった。

「え!?」


晒菜の体が予想以上に動いた。まるで自分の体じゃないみたいだ。晒菜はそう感じるほどに、身体能力が飛躍的に上昇していた。


ついさっきまでは頭では分かっていても体がついてこないということばかりだったのだが、その構図が完全に逆転した。考える前に体が動く。緑人の攻撃モーションもずいぶん遅く見える。どうやら筋肉の力だけではなく、動体視力も上がっているようだ。



今回の晒菜は緑人相手に後れをとることはなかった。むしろ圧倒していた。あれほど苦しめられたはずの緑人を凌駕している。それを感じると晴れやかな気持ちになった。それと同時に、俺はどうして今までこんなやつにやられていたんだろうという気持ちになった。


全てが馬鹿馬鹿しく、全てが空しく思えた。


それほどに晒菜の力は怪物的で凄まじい力だった……


「これは今までの分だ!」


渾身の一撃。晒菜の拳が緑人の土手っぱらに思い切りめり込んだ。そうするとあろうことか、緑人の体が宙を舞った。緑人の大きな体は、今まで晒菜がそうしてきたように、二メートル近く吹っ飛んでしまった。


これには晒菜自身も驚きを隠せなかった。緑人はそのままノックアウトしてしまったようでその場から動くことはなかった。


「俺が、やったのか……」


自分でやったのに自分の行動が、自分の力が信じられなかった。晒菜は自分の桁はずれな力に恐怖し震えあがった。だが、それ以上に晒菜の脳内を支配していたのは、興奮だった。


これを、自分が……


やはりそう考えるとわくわくせずにはいられなかった。


晒菜は切り傷のある方の手をしばらく不思議そうに見つめていた……




次回は8月22日(火)7時更新です☆

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