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異世界冒険譚  作者: 夜月
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16/22

15.地下遺跡2

(あれ……なんか冷たい……)

 石レンガの床の冷たい感触で目を覚ます。座って寝ていたが、いつの間にか寝転がってしまっていたようだ。

(今の見張り番はリヒトさんか……何か考え込んでるみたいだけど)

 まだ、見張り交代には早かったらしく、もう一度寝てみようと試みるが……

(寝れない……)

 リリーナと瑠雨の方を見ると、二人共ぐっすり寝ていた。

(はあ……寝れないし、見張り交代まで本読んでようかな……)

 レスティアは、なるべくリヒトと会話をしたくないし、そもそもリヒトの方だって望んでないだろう。

それならば、一人で暇をつぶせるものがいいだろうという結論だ。

 リュックから出した本を広げて目の前の文字を追いかけていくも、集中できなくて……

(だめだ……全然集中できない……好きなことをしてても、胸のモヤモヤが全然消えなくて……)

 その上、ここ最近のレスティアは寝不足だ。

 言うまでもなく、リヒトのあの言葉が頭に残って離れなくて、その時から抱き始めた感情がノイズになっているからだ。

(どれだけ考えても解決方法は見つからなくて……考えれば考えるほど足元がグラグラとぐらつくようで、これ以上考えるのは怖くて……ふとした時に足元が崩れるような感覚に陥る…………私は本当にこのままでいいの?……でも、私はそれ以外の生き方を知らない……)

〈どうしたら解決するのか?〉

 その解を、本当は心のどこかで分かってる。

だけど、今のレスティアには、その一歩を踏み出すのはすごく難しくて……

 無意識のうちに知らないフリをして、必死にそれ以外の方法を探して……

【怖い】

 その時、レスティアの胸を締めていたのは、そんな感情だった。

 そんなことを延々と考えこんでいたら、いつの間にか見張りの交代時間になったのか、見張り場所に座り込んでいたリヒトは、立ち上がったかと思うと、寝袋に潜り込んで本を読んでいるレスティアの横を素通りして、さっさと自分の寝袋に潜りこんでしまった。

(確かに起きてたけど、一言ぐらいくれても……)

自分はどうやら、リヒトに大分嫌われているらしい。

 そんなことを思いながら、瑠雨を起こして一時間程、見張り番をしていると瑠雨が眠そうに目を擦っていることに気づく。

「出発まで、そんなに時間ないけど、それでもいいなら寝ても……」

ゴゴゴゴゴッ!

「……!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 突如聞こえてきたその音は、ますます大きくなっていて……

「なに!?なに!?」

「なんで揺れて……」

 リリーナ達も起きたようで、荷物を持って急いで撤収しようとしていると、後ろから大きな石のボールがすごい音を立てて、迫ってきたのだ……!

なんとか、迫り来る前に横の道に反れることができたものの……

「今のはさすがに命の危機を感じたわね……今までの罠は警告みたいな感じだったけど……」

 リリーナがそう言うと……

「さすがにしびれを切らして、本格的に僕達を排除としようとしてるのかも……」

 リヒトがリリーナの言葉につづくようにそう言う。

少しでも反応が遅れていたら、ぺっちゃんこになっていたのかもしれないと思うと、この先は警戒した方が良さそうだ。

 ひたすら、危険度高めの罠が続き、疲れてしまったレスティアが一息つこうと壁に手をつけた時だった……!

 ピカッ!

「へっ?」

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

「へっ?」

「レスティアちゃん!」

 後方でレスティアの驚いた声が聞こえて……

 それに反応したリリーナは、突如、魔法陣が出現した壁に手をついているレスティアの方に手を伸ばすも、その手は虚しくかすめてしまって……

ピカッ!

「……!。魔法陣の色が変わった……?」

「それに、私達は壁に触れてないのに……」

ら三人が驚いている間にも吸い込む力は強くなり、壁をすり抜けるような奇妙な感触とともに三人は通路に投げ出されてしまった。

「今のなんだ?」

瑠雨がそう呟く。

「分からないわ……でも、一つ分かることはレスティアちゃんとはぐれたってことかしら」

 そう言ったリリーナの言う通り、魔法陣のようなもので飛ばされたこの通路には、リリーナ、リヒト、瑠雨以外の姿が見つからない。

「レスティアは大丈夫なのか!?」

 状況が分かったらしい瑠雨がそう言って焦り始めたので、きっと大丈夫だと諭したリリーナは、自分達がすり抜けた魔法陣のようなものがあった方を確認するも……

とっくのとうに消えていた。

「歩いて、元の道に戻るしかないわね」

 さっきの魔法陣のようなものが見つかれば、手っ取り早いのだが見つからず、その後も歩き続けるが……

「だめね……戻れないわ」

 いつまでたっても元の道には戻れないし、歩くうちにどこにいるかも分からなくなってくる。

「これ、出口を探した方が合流できる確率上がるんじゃ……」

 リヒトがそう言う。

 リリーナ達がこんなふうに迷っているので、レスティアの方も同じだと信じて出口を探すことにフェーズを変更した。

「風の向き的にこっちじゃないか!」

 レスティアのことが心配で、誰よりも先行して歩いていた瑠雨の声が聞こえた方へ行ってみると上へ続く階段のようなものが見えてきたので、登ろうとした時だった。

ピカッ!

 とつぜん床に魔法陣のようなものが現れ吸い込まれてしまって……

「あれ?ここって……」

 気がついたときには、三人は広間のような場所に座り込んでいて……

 周りを見渡すと、そこはひたすらがらんどうとした広い空間だった。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

「へっ……?」

 レスティアの手が触れた壁に魔法陣のようなものが現れ、壁をすり抜けるような奇妙な感触とともに、レスティアは通路に投げだされる。

「いたっ……!」

(あれ、ここって……)

 レスティアが周りをみると三人の姿はなく、一人ポツンと自分がいるだけだった。

「どっ……どういうこと……?」

(あれ?もしかしてはぐれた……?落ち着け、それなら来 た道を戻ればいいはずだ……)

 普通に考えるならば、あの奇妙な感覚は、壁をすり抜けて一個隣の通路に来てしまったと言うことだろう。

それなら、またあの魔法陣で戻ればいいはず。

 レスティアはそう思い、投げ出された壁の方を見ると、まるで最初からなかったかのように魔法陣は跡形も無く消えているのだった……!

 そのことに気づいた途端、レスティアの顔からサァァァと血の気が引く。

「まっ……まずい……。本格的にはぐれた……」

(壁をすり抜けて隣の通路にきたってことは、あの通路の横の通路から行けばもどれるはず……なんとかしてリリーナさん達と合流しないと……)

 ふと、レスティアの頭に、あの魔法陣ですり抜けたのは一つの壁だけではないという、嫌な考えが思い浮かぶが速球に頭から追い出す。

 レスティアは、その後も歩き続けたものの、中々合流できなくて……

「だめだ。全然元の道に戻れない……」

それどころか今、自分がどこにいるかさえもわからず、遺跡の中で再会するのは諦めた方が良いかもしれないという結論に至る。

「むしろ、遺跡から出たほうが合流できる確率は上がるかも」

 そう思い、リリーナ達とやっていたように風の吹く方向へ向かっていく。

「こっちから、流れて来るってことは……」

その時だった……!

キィキィ!

「ひっ!」

 嫌な予感がしながら、レスティアが音がした方を見ると、コウモリのモンスターが、通路を埋めるほど群れをなしていて……

たくさんの赤い目がレスティアを捕らえていた。

(……!。こわい……うっ……動けない……)

 その赤い目達に、また迷いの森でのトラウマが想起させられ、レスティアが金縛りにあったように固まっていると、コウモリ達が一斉にこちらへ向かって来て……

(逃げなきゃ……!)

 本能的にそう思い、走り出す。

「はぁ……はぁ……なんとか逃げきった……」

 疲れてしまい、半ば倒れこむように座り込むと急に心細くなってくる。

「リリーナさん達といた時も怖かったけど、なんとかなる気がしてたのにな」

 そうぼやいきながら、ひたすら風の向く方向へ向かっていると上へ続く階段のようなものが見えてくる。

「地上に出られるかも!」

 そう思い、疲れを忘れて一気に上まで上った時だった。

「へっ?」

 また、フッと一瞬、体が軽くなったような、あの嫌な感覚がして……そちらを見たレスティアの視界に入ってきたのは、足元に暗い空間がぽっかりと空いてるだけの景色だった。

予約投稿を忘れておりました。申し訳ごさいません。

次からはこうならないように、気をつけます。

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