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第28話 第5章 話さない人形 5 不信

太郎:「何言ってるんだ! 君たち!!」


よし子の夫・太郎は、あまりの理不尽さに激高した。


モチオ:「なんだなんだ? 逆ギレか? この浮気男め!! 早く証拠の写真を撮らせろ!」


太郎:「よし子……まだそんなことを言っているのか。はあぁ……」


太郎は怒りを通り越し、心底呆れ果てた様子でため息をついた。


モチオ:「なんだ、観念したか!」


モチタ:「さすがだよ! モチオの限界突破!!」


太郎:「……どうぞ、根掘り葉掘り調べてください」


太郎は諦めたように携帯を差し出した。


モチオ:「ふん! 携帯二個持ちの男がよくやる手ニャ! 騙されるか!」


太郎:「……じゃあ、どこまでもついてくればいいでしょう」


モチオ:「モチタよ、見ろ。これが限界突破。尾行されている人間公認の『公認尾行』ニャ!」


モチタ:「さすがだよモチオ! 尾行も公認なんて天才だよ!!」


こうしてモチオとモチタは、堂々と「公認尾行」を開始した。


……ついでに太郎の家に上がり込み、夕食までご馳走になっていた。


***



モチオ:「太郎は男なのに料理も上手だな……。よし、調査は終了ニャ!」



戻ってきたモチオの報告に、よし子が色めき立つ。


よし子:「なんですかそれは!! あの男、絶対に浮気してるわ!!!」


モチタ:「でも、女の人なんていませんでしたよ。アパートで一人暮らしだし、移動

も会社とスーパーと家の往復くらいで……」


よし子:「じゃあ、スーパーの女だわ!!!」


モチオ:「うるせー! 以上ニャ! 帰れ! そんなに疑うならなぜ別居してるんだ。一緒に住めば調査し放題だろうが!」


よし子:「別居だってあの人が悪いんだから! そもそもね……」


モチタ:「……僕、ゲームしてこよーっと」

モチタは飽きて去ってしまった。


よし子:「あの人は10年前もそうだったのよ……」

止まらない愚痴をよそに、モチオは無関心に爪を切り始めた。


一方、診察室では——。


コツ勉猫:「モエちゃんのお家は、どんなお家なのかな?」


モエ:「うん。優しいパパと、優しいママ。モエは毎日『かわいいね』って言われるよ。ママはお料理が上手で、パパは毎日『おいしい』って食べてる。パパはママのことが大好きみたいで、ママもパパが大好きだってモエに言うんだよ。でも、モエが一番だって……」


モエ:「毎日ね、パパとママと一緒にいられて、たのしーよ……」



モエの無邪気な嘘が、静かな診察室に響いていた。

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