表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/104

第26話 第5章 話さない人形 3 症状

診察室にて、がり勉猫はわざとらしく重厚な聴診器を人形のナナにあてた。


深刻な顔で異変を探るふりをしながら、隣のネコロボに声を潜める。


がり勉猫:「……どうですか、ネコロボ。この個体、内部チップの回路に断線や故障は見られますか?」


ネコロボ:「がり勉猫さん。そもそもこの人形、音声装置すら入っていません。綿が詰まっているだけです」


がり勉猫は一瞬、絶句した。だが、プロ(のお医者さんごっこ)としてその動揺を完璧に隠し、モエに向き直る。


がり勉猫:「モエさん、これは深刻です。ナナさんは……『モフモフ病』にかかっています」


モエ:「先生、ナナちゃん治らないの? 死んじゃうの……?」


がり勉猫:「いいえ。私に治せない病気はありません。ご安心ください」


自信たっぷりに告げたものの、がり勉猫の観察眼がナナの異変を捉えた。


がり勉猫:「ナナさん、手足にひどい怪我をしていますが……お尻も。いつからお話しできなくなったんですか?」


モエ:「クリスマスの前くらいから……元気がなくて、お話しできなくなったの。怪我は、私がテープでお手当してあげた。お尻はママが縫ってくれたの……」


ナナの右手と左足は、溢れ出した綿を隠すようにテープでグルグル巻きにされている。お尻には、お世辞にも上手とは言えない歪な縫い目があった。


がり勉猫:「看護師さーん! ナナさんに至急お手当を!」


奥から現れたのは、ナース服を完璧に着こなしたコツ勉猫だ。


コツ勉猫:「はいはーい! 先生……あらあら、ナナちゃんがこんなに! すぐに処置室へ運びますね!」


モエ:「先生……治る?」


がり勉猫:「ええ。待合室でネコロボと待っていてください」


ネコロボ:「さあ、お姫様。オレンジジュースでも飲んで、ゆっくり待ちましょう」


ネコロボと手をつなぎ、安心した様子でモエが去っていく。


一方、一階の「モチオ相談所」では、ゲームの休憩に降りてきたモチタまでが加わり、異様な熱気に包まれていた。


モチオ:「なにッ! 旦那が浮気だと!!」


よし子:「そうなの! だから尻尾を掴んで、証拠を突きつけて、離婚して、慰謝料をごっそり取ってやりたいの!」


モチタ:「おもしろそー! 探偵ごっこみたいじゃん! よっ、名探偵モチオ!」

おだてられたモチオが鼻息を荒くする。


モチオ:「フン、この名探偵モチオに任せるニャ! 必ずや浮気男の尻尾を掴み、ジャイアントスイングでお見舞いしてやるニャ!」


実験室でナナの「手術」に集中するがり勉猫は、まだ気づいていなかった。




モチオとモチタ。この二つの混沌が交わるとき、それは最悪の事態を招く予兆であることを……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ