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蝦夷転生コンサル、松前藩の支配構造を現代知識で塗り替える――まずは実家の隙間風を何とかする  作者: 一月三日 五郎
第三章 松前編

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第90話:むき出しの本音――崩れて、初めて立つ

 宝暦十四年(一七六四年) 初夏 蝦夷地・松前


 屋敷に戻った俺は、部屋で一人、自分の手を見つめる。  

 

 次期藩主。

 

 松前道広。  

 

 その肩書きを守るために、俺はどれだけの嘘と虚飾を積み上げてきただろうか。  

 

 父に認めてほしい。

 

 ただその一心で、勘太の知恵を利用して手柄を持ち帰ることばかりを考えていた。


 だが、勘太にはすべて見透かされていた。


「……本音、か」


 あいつは、俺の嘘など興味がないと切り捨てた。


 なら――どうする。


 港で出会った、あの不遜な少年の言葉が、頭から離れなかった。


 ――拳と拳で分かり合う。

 

 ――男と男の儀式だ。  

 

 そんなやり方は、知らなかった。


 だが、今は他に打つ手がない。

 

 ならば、本音でぶつかるしかない――。

 

 俺は立ち上がり、そのまま町へ駆け出した。


---


 若松屋の前に着くと、そこには普段の煮炊きの匂いとは違う、不思議な香りが漂っていた。  

 

 柔らかく、甘い香りだった。

 これまで嗅いだことのない匂いだ。


 店内に客の姿はまばらだったが、奥の方から、弾けるような笑い声が漏れ聞こえてきた。  

 清二と、いつものように次の算段でもしているのか。  

 俺は裏口へ回り、襖のすぐ外で足を止めた。  

 

 息を整え、声をかけようとした――その時だ。


「――うめえ、なんだこれ」


 どこか聞き覚えのある、少年の声。  

 そして、それに応える涼やかな少年の声。


「確かに美味いな――」


「――言いすぎだろ」


 心臓が、冷たい氷を飲み込んだように凍りついた。


 勘太の声だ。  

 だが、俺の知っている勘太ではない。  

 計算も、冷徹さも、そこにはなかった。

 

 心から安らぎ、笑っている。

 そんな声を、俺は知らなかった。


 襖の向こう側では、親密な空気が渦巻いている。  

 

 知らない連中。

 

 いや、勘太にとっては、俺よりも遥かに親しいもの達。    

 

 生まれてこのかた、城でも、こんなにも温かな空気を感じたことはなかった。  

 

 そこには嘘も、身分も、駆け引きも存在しない。  

 

 ただ、互いを信じ切った者たちだけの、空間。


(……なんだ、これは)


 猛烈な嫉妬が、ドロドロとした黒い泥のように胸の底から湧き上がってきた。  

 

 俺は今日、すべてを捨てて、恥を忍んで本音をぶつけに来たのだ。  

 

 それなのに。  

 

 俺がこれほど苦しみ、のたうち回っているというのに。

 あいつは、知らない場所で、知らない連中と笑っている。


 人の気も知らないで。  

 

 俺の葛藤も覚悟も、あいつにはどうでもいいのか。

 あいつの本当の姿は、あの笑い声の中にしかないのか。


「……っ!」


 激情が、理性を焼き切った。  

 気づけば、俺は目の前の壁を、殴りつけていた。


 ――ドン


 思いのほか大きな打撃音が響き渡る。  

 

 中での談笑が一瞬、止まった気配がした。


 その瞬間、俺は我に返った。  

 

 今の自分は、一体何だ。  

 

 本音をぶつけに来たのではないのか。  

 

 これでは、ただの嫉妬に狂った、惨めな子供ではないか。


 見られたくない。  

 

 この歪んだ顔を、あいつらに晒したくない。  

 

 俺は脱兎のごとく、裏路地へと駆け出した。  

 背後から漂ってくる、あの甘い匂いが、今は毒のように鼻を突いた。


---


 気がつけば、誰もいない屋敷の板間に座り込んでいた。  

 

 守屋は気を利かせて外しているのか、人の気配はない。    

 

 日は傾きかけ、屋敷の中はうす暗かった。  

 

 暗く、静かだ。

 

 つい先ほど耳にした、あの楽しげな笑い声が、呪いのように耳にこびりついて離れない。  

 

 俺の居場所は、どこにもなかった。


 次期藩主としても。

 

 勘太の友としても。


「……はは、は……」


 渇いた笑いが漏れる。  

 

 殴りつけた右拳が、ズキズキと熱を持って疼いていた。  

 

 その痛みだけが、かろうじて現実をつなぎとめている気がした。


 本当に、自分は何をしているのか。


 自分で自分がわからなかった。


 俺は松前藩の次期藩主。

 この蝦夷地で、皆がうらやむ立場のはずだ。


 ……なのに。


 なぜこんなにも苦しいのだ。


 いや、違う。


 あいつらが、妬ましいだけだ。


 宗谷で感じた勘太と三吉の絆。


 それと同じものがあの場にはあった。

 

 ――俺は、そこにいない。


 胸の奥が、ひどく冷えた。


 ……寂しいのか。


(もう、嫌だ)


 自分には誰もいない。

 何もない。


(消えてしまいたい)


 本当は、何のために、何がしたかったのか。


 思い出せなかった。


(もう、どうでもいいか)


 どうせ誰も俺のことなど気にしない。


 俺が何を思い、何を望んでいようと、誰も気にすることはない。


 ……当たり前だ。


 俺だって、他の誰かのことを、そんなふうに気にかけたことなどないのだから。


「勘太さんは、人を映す鏡みたいな人です。」


 不意に、清二の言葉がよみがえる。


 ――鏡。


 あいつが俺に興味がないように見えたのは。


 ……違う。


 俺が、あいつを見ていなかっただけか。


「はは……」


 また、乾いた笑いが漏れた。


 さんざん人のせいにしておいて、今さらだ。


 俺は結局、自分のことしか見ていなかったのだ。


---


 俺は、勘太が仲間を連れて屋敷に戻ってくるのに耐えられず、書置きを残して出た。


 日が落ちかけた町は人通りもまばらだった。


 そんな中でも家々には明かりがともり楽し気な声が響いていた。


 勘太たちの談笑が思い出されまた胸が苦しくなった。


「おい、坊主。どこ行くんだ。もう暗くなるぞ。家に帰んな」


「……ほおっておいてくれ」


 見知らぬ男の声を振り払いながら歩いた。


 すれ違う大人たちが、じろじろとこちらを見てくるのが不快だった。


(そんなに俺の弱った姿が面白いか......)


 視線から逃げるように人通りの少ない方に向かう。


 ふらふらと歩くうちに港に着いた。


 またあの小舟のところに行こうかと思い、やめる。


(……また、あいつが来るかもしれない)


 漁師の子供。


 勘太の親友。


 別れたときはまた会いたいと思ったが今はもう会いたくなかった。


 桟橋の袂に座り込み、波間を眺める。


 寄せては返す波を、ぼんやりと眺める。


 ……また同じだ。


(これからどうする。

 城に戻るか。

 屋敷には戻りたくない。

 泣いてあやまれば、父上も許すかもしれない。

 門前払いにはならないはずだ――)


「はあ……」


 情けなくてため息しか出ない。


 自信満々に聞きかじりの知恵を披露し激怒され謹慎を言い渡されたのに

 おとなしく屋敷に引っ込んでいることすら嫌になって泣きつくとは……。


 自分が親だったら泣きたくなるだろう。


 こんな息子に家督を譲らなくてはならないなんて。


 それでも、他に選択肢は思いつかなかった。


(そうだ。城に帰ろう。そもそも余計なことをせずにおとなしくしていればよかったのだ。

 そうすればこんな嫌な思いなんてせずに済んだんだ。

 

 これなら城で武芸や勉学に励んでいた方が数倍ましだ)


「守屋はなんていうかな」


 あいつも喜ぶかもな。

 これで町民の真似事をせずに済むと。


 思えばあいつにも悪いことをした。

 俺の守役になったがためにいらぬ苦労を掛けた。


 俺が真面目に城で励んでいれば奴も肩身の狭い思いをせずに済んだだろうに。


 そう考えてはっとした。


 俺にとって、唯一味方といっていい存在。


 そんな守屋のことさえ俺はろくに考えてこなかった。


 物心つくころにはそばにいて、どこに行くにも一緒だった。


 なのに俺はいつもうっとうしいと言い迷惑そうにして無下にしていた。


 ことここに至るまであいつの思いなど一度も考えたことがなかった。


 いまごろ心配して俺を探しているだろうか。


 町中を走り回っている姿が容易に想像できた。


 カネクルではぐれたときもそうだった。


 あの時もこんな夕暮れだった。


 俺は腹をすかして宿屋をのぞき込んでいた。


「見つけましたよ、道広様」


(……この声は)


 背後から子供の声がかかった。

 

(そう、あの時もこんな風に現れたんだ)


 振り返るとそこには勘太が立っていた。


---


 勘太の後ろには守屋や清二、勘太の連れの姿もあった。

 皆、着物が乱れており自分を探し回っていたのが見て取れた。


(少し待てば戻ったものを、無駄に騒ぎおって……俺にそんな価値はないというのに)


 戻らぬと書置きを残せば探しに来るのはわかっていた。


 自分で探させておいて、大騒ぎすると貶めてしまう。

 ……その内心の醜さに、辟易する。


「さすがだな。こんなに簡単に見つかるとは。

 ご自慢の友達が教えてくれたか?

 俺なら、この辺りにいるだろうとでも?」


 口をついて出たのはこの期に及んでろくでもない嫌味だった。


「はあ、第一声がそれですか。

 まったく、何を考えてこんなことをしたのか知りませんが、いい加減にしてください

 心配してるのは、俺達だけじゃないんですよ」


「は、誰が俺のことなど心配する。

 俺などいなくとも楽しそうにやっていたではないか」


「何もわかっていないんですね。

 そして、何も見えていない。

 ……いえ、見ようとしていない。

 あなたの目は節穴です」


「……何だと」


「あなたがここにいると教えてくれたのは、街の人です。港の人も。

 みんな、あなたがふらふら歩いているのを見ていました」


「そんな、まさか。なんで……」


 意味が分からなかった。

 町の人間が、なぜ俺のことなど気にする。

 一度も話したこともない。

 赤の他人だろう。


「あなたはこれまで何人の人に握り飯を売ってきました?

 何人の人から笹を受け取ってきましたか?

 みんな、あなたのことを覚えてますよ。

 不愛想だけど、一生懸命、店を手伝っていた子だと」


「っ……。」


 握り飯?

 そんなの仕方なくやってただけだ。

 笹の回収も、面倒だからやってただけだ。

 今日だって途中で勝手に切り上げた。

 

 それが、なんだ、みんなおぼえてた?

 俺が店の手伝いをするいい子?

 意味が分からん。


 俺の困惑を見た勘太はため息をつきながら続けた。


「あなたは、人を何だと思ってるんですか。

 風景なんかじゃない。

 言葉を交わさなくても、顔を合わせれば、関係は残るんです。

 

 見知った子供が、一人で浮かない顔をして歩いていれば……気にもなります。

 それくらい、わかりませんか。」


「そんなこと急に言われても……」


「じゃあ、守屋様のことはどうなんですか。

 あんな書置き一つ残して飛び出して……どれだけ心配かけたら気が済むんですか。

 誰のために、町民の真似事までしてると思ってるんですか」


 勘太の声は、港の空気に鋭く刺さるように響いた。

 普段の落ち着いた調子はもうない。

 怒りというより、押し殺してきたものが一気に溢れてきている声音だった。


「勘太。私のことはいいんだ」


 静かにしていた守屋が口を開きかけるが、勘太は止まらない。


「いいわけがありません!

 人を人とも思わず、

 自分に忠義を尽くす配下すら顧みない……

 そんな人を藩主にするんですか!」


「勘太」


 矛先を向けられた守屋はそれ以上言葉を続けられなかった。

 守屋が黙ったのを見て、勘太がこちらをにらみつけ、吠えるように叫んだ。


「――いい加減にしてください、道広様!!」


 港に、これまでにない激情を孕んだ叫びが響き渡った。


「あなたは、一体何がしたいんですか?

 嘘をついて人を試し、任された仕事は放りだして。

 挙句の果てに、当てつけみたいな家出で、皆の時間を奪っておいて、第一声が皮肉?

 それが、次期藩主のやることですか!」


 勘太が胸ぐらを掴まんばかりに詰め寄ってくる。


 感情を剥き出しにした勘太の言葉に、俺は思わずたじろいだ。

 

 だが、俺の中でも抑えていた感情が爆発する。

 

「お前に何がわかる!

 生まれながらに『主君』であることを求められ、

 失敗すれば、ただ嘆息される。

 

 せめて次期藩主として認められたいと進言すれば、謹慎だ。

 

 まじめにやったところで、報われない。

 ならば少しぐらい好きに動いて、何が悪い!」


 俺の言葉に勘太は少しもひるまなかった。


「悪いに決まってるでしょう!

 まじめにやって報われないから好きにやる?

 

 甘ったれるな!

 こっちは命がけでやってるんだ。

 みんなの命がかかってるんだよ。

 

 まじめにやるのなんて当たり前だろうが!

 藩主の肩にどれだけの命が載ってると思ってるんだ!」


 勘太の言葉に父に謹慎を言い渡されたときの記憶がよみがえる。

 

 藩を背負う者としての気構えを問われた。

 父の顔には疲労と苦悩が刻まれていた。


 あの時の俺はただ腹を立てただけだった。


「そんなの、俺が望んだわけじゃ……ない」


 そう言い返すのがやっとだった。

 俺の熱が冷めていく様子に勘太も落ち着きを取り戻していった。


「それが、あなたの本音ですか。

 本当にあなたという人は……。

 

 俺にあなたの立場があればどれだけ――」


 勘太の声にはすでに熱はなく、冷え切っていた。

 急速に場の空気が冷えていった。


 誰も口を開かず、ただ静かに見守っていた。

   

 やがて、呼吸を整えた勘太が、底冷えのするような声で問うた。


「……これが最後です。もう一度だけ聞きます。

 あなたは、何がしたいんですか? 俺に、どうしてほしいんです?」


---


 ――これが、最後だ。


 その言葉が、熱に浮かされていた頭の奥に沈み込み、ゆっくりと現実へと引き戻していく。


 ここで間違えれば、勘太は本当に俺のもとを去る。


 それだけは、分かっていた。


 考える時間が欲しかった。

 誰かに背中を押してほしかった。


 だが――それを口にすることすら、今は許されない気がした。


 俺は一瞬だけ、守屋を見た。

 守屋は何も言わず、ただ深く頷く。


(……本当に、俺には過ぎた配下だ)


 その頷きに甘えることはできなかった。


 自分で、答えを出すしかない。


 これは、進退どころの話ではない。

 俺という人間そのものを、問われている。


 失敗すれば終わる。

 そう思った瞬間、喉の奥がひどく乾いた。


(俺は、何がしたい?)


 なぜ、こんなことになった。


 ここ最近ずっと、同じ問いに戻っている。

 出口のない場所を、ぐるぐると回っているだけだ。


 ――逃げているのだ、とどこかで分かっていた。


 口に出すのが怖かった。

 言ってしまえば、もう戻れない。


 笑われるのが怖かった。

 失敗するのが怖かった。

 できないと突きつけられるのが、何より怖かった。


 だから、誤魔化してきた。


 嘘をついて、演技をして、少しでも大きく見せようとした。

 本音でぶつかるなどと言いながら、その実どこかで計算していた。


 結局、ここまで追い込まれなければ、言わなかっただろう。


 そう思った瞬間、自分の浅ましさがはっきりと形になった気がした。


 だが――


 ここで言わなければ、もう本当に言う機会はない。


 俺は、震える拳を握りしめ、勘太をまっすぐに見据えた。


「……俺は、立派な藩主になって、この死にかけた松前を立て直したい。

 それだけは、嘘じゃない」


 言葉に嗚咽が混じる。


「お前には……その手助けをしてほしい。

 俺一人じゃ、できない」


 ほんの一瞬、視線が揺れる。


「だから――力を貸してくれ」


 視界がにじむ。


 だが、言い切った。


 次の瞬間、力が抜けたように膝が折れる。


 自分の口から出た言葉が信じられなかった。


 そうだ。


 俺は、父上が必死に支えているこの松前を。


 いずれ自分が背負うはずだったこの地を、守りたいと思っていた。


 それが、いつの間にか見えなくなっていた。


 嘘や見栄で塗り固めていたつもりのものの奥に、

 本当はずっとあったはずの思いが、

 今さらのように浮かび上がってくる。


 勘太は何も言わなかった。


 ただ、俺の目をじっと見ていた。


 やがて、勘太の表情から険がふっと消え、静かに膝をついた。


「……承知しました。お手伝いします、道広様」


 その言葉には、先ほどまでの熱はもうなかった。


 ただ、どこか確かめるような静けさがあった。

 

 その姿を、皆が息を呑んで見守っていた。


 守屋の目には光るものがあった。


 清二は口を抑えて目を押さえていた。


 勘太の連れは……珍しいものでも見たような反応だった。


 俺の方はというとこれまでにないほど心が凪いでいた。


 胸の奥で渦巻いていた、どす黒いものが洗い落とされたかのようだった。


(これが本音でぶつかるということか、だとすれば俺はいままで何を――)


 言葉になりかけた思考が、途中でほどけていく。


 生まれて初めての感覚に戸惑いながらも、不思議と嫌な感じはしなかった。


(……そうか)


 俺は、勘太と――


 その先を考えかけた、その瞬間だった。


 顔を上げた勘太の瞳には、すでに冷徹な光が宿っていた。


「全く。最初から素直にそう言えばいいものを。

 時間の無駄です」


「あ、ああ……?」


「これからは、この無駄にした時間の分、厳しく行きますからね。

 松前の財政再建は茶屋みたいに甘くないですから」


 豹変した勘太に、俺はたじろぎつつも、力強く頷いた。


「雨降って地固まるってやつだな」


「しっ、空気を読め。だが、ようやくこれで話が進められるな」


「ううっ、よかった。お二人とも……。」


「若……ご立派でしたぞ」


「じゃあ、帰って今後の打ち合わせを兼ねた決起会と行きますか。

 道広様、帰りますよ」


 勘太が差し出してきた手を、俺は一瞬だけ見つめる。


 そして、その手を取り立ち上がった。


 その瞬間、ようやく理解する。


 これは“仲直り”ではない。


 ――始まりだ。


 この日、俺たちは初めて、対等な関係として向き合った。

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