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太陽と祝福の光

少女は門を押し開いた。


まばゆい光が、視界いっぱいに広がる。


一瞬、目を閉じる。

柔らかくて、温かい光。

肌を撫でる風は、心地よく、包み込むようだった。


——ようこそ。


耳に届いたのは、懐かしい声。


ゆっくりと目を開ける。


そこには——


少女にそっくりな、少し年上の女性が立っていた。


「……!」


少女は息をのむ。


彼女は、少女より少し背が高く、

どこか落ち着いた雰囲気をまとっていた。


同じ髪、同じ瞳。

でも、その表情には 温かさと、深い安心感があった。


彼女は、少女を見つめて 優しく微笑んだ。


「おかえり。」


——おかえり?


少女は一瞬、戸惑う。


でも、その言葉は、どこか胸の奥を温かく満たした。


ここは、どこ?

私は、誰に迎えられているの?


問いが浮かぶ。


けれど、それを聞く必要はないように思えた。


なぜなら——


「……あなたは?」


少女が尋ねると、彼女は少し笑って、


「私は、あなたよ。」


そう言って、ゆっくりと手を伸ばす。


少女も、同じように手を伸ばした。


ふと、少女は気づく。


手首に、赤く薄く残る跡。


「……!」


——これは。


悪魔の世界でつけられた縄の跡。

少女が、迷い、囚われかけた証。


それは、彼女の手首にも 同じように残っていた。


少女が息をのむと、彼女はそっと手首を撫でながら微笑んだ。


「大変だったでしょう?」


「ここまで、よくがんばったね。」


——私の旅は、ここまで続いてきた。


涙が込み上げそうになる。


でも、少女は泣かなかった。


ただ、微笑んだ。


「……ありがとう。」


その瞬間——


太陽が、いっそう輝きを増した。


光の中で、少女と彼女の影が重なり、


ひとつになる。


——祝福の光に包まれて。

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