第十話 壊れた心
目の前には地獄が広がっていた。人間の死体串刺にされ放置されていた。腐臭と血の匂いが広場に充満している。
『酷い光景です。マスター大丈夫ですか?』
「おう・・・」
俺は吐くのを必死で堪えながら先ず死者に手を合わせた。
スキルで出したガスマスクを着用し、一人一人串刺にされた人を解放して行く。
全部で359人の遺体をメカゴリ君と共に棺に埋葬し、メカゴリ君に掘ってもらった穴へと埋葬して行く。
顔が分かる人の似顔絵は描き残した。いつか遺族に会う事が有れば渡そう。
所持品で名前が分かる人には墓跡に名前を記した。
腐敗が酷く回収が出来ない遺体の方が多く、ピクチャークラフトで聖なる白き炎をイメージし火葬していく。
「すまない・・・。俺にはこんな事しか出来なくて」
涙を流しながら手を合わせる。
『マスターは悪くありません。報告があります、マスター城の方に生態反応が1つあります。生き残りか主犯の可能性もありますが、行きますか?』
「生き残りだったら良いな・・・・。主犯なら捕まえて裁きを受けさせてやる」
俺は強い決意を胸に城へと歩き出す。
『マスター気をつけて下さい、生態反応は地下からです』
「ああ。行くぞ! メカゴリ君前衛は任せた。ナガレは後衛件、ピクチャークラフトを描いてる間のガードを。ゴリドラさんは万が一敵が逃げ出した際には遠慮なく攻撃してくれ」
『『ウホッ!』』
『了解』
俺達は城内に入り地下を目指す。ナガレが生態反応を正確に捉えているため、迷う事なく地下に辿り着く。そこで地下牢を発見する。
「おい、お前そこで何をしている?」
「・・・・・・ダレ」
「俺は通りすがりの絵描きだ。何故この街はあんな悲惨な状態になっている?」
「・・・・・・街の今の状況はわからないけど予想ならつく」
「予想だと⁉︎ 外は大変な騒ぎだったはずだ! 沢山の人が死んでいたんだぞ!」
ガンッ
口調が荒くなり思わず檻を殴る、檻を殴った拳からは血が出ていた。
「お前が、お前がやったんじゃないのか?」
「私にはできないし民を傷つける理由も無い。見ての通り結界を貼られた檻の中に居るし、スキルと魔封じの枷をつけられている」
女は淡々と語った。
「メカゴリ君檻だけ壊せるか?」
『ウホッ!』
バギッ。腕力だけで檻を破壊したメカゴリ君を見て牢の中に居る女が動揺する。
「檻は壊してやった。念の為、枷は外さない。お前は何故ここに居る?」
「結界が腕力だけで壊せるなんて・・・・・・。私は父になりかわっていた魔族を糾弾しようとした。だけど遅すぎたの。魔族はこのライム領の民全てを生贄にすると言っていた」
「それなら尚更何故ここに居る? ライム領の民にお前は入らないのか?」
「私は・・・・いや私の力が邪魔だった魔族に捕まったのよ。私の真実の魔眼は偽りを見抜く、加えて正神の加護を持って居るの。だから魔族や魔族に魅入られし物には私を殺す事は不可能なの。だから・・・幽閉された」
「成る程な、それが事実だと示せるか?」
「最初から信用されていない、加えてこの状況で生き残りは他に居ないなら厳しい」
「助かる為の打算を交えて喋ってはいないようだな・・・とりあえず外に出るぞ状況を見せてやる」
「ごめんなさい」
「謝るな行くぞ」
「歩けないからおんぶして・・・・」
灯りを照らしよく見ると女はガリガリに痩せ細りとても歩ける状況では無かった。
「わかったよ、ほら行くぞ」
女をおぶり、地下を出る。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
淡々と喋っていた女は俺の背中で謝罪をしながら泣いていた。俺はやり場の無い苛立ちを歯を食いしばりながら耐えて歩いた。





