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突破口

アンデッドの硬い外殻に悪戦苦闘の朱里。

いくらアンデッドを倒す為に作られたS.A.U.Wのチェーンソーでも刃が劣化していく一方。

勝機は訪れるのだろうか?

チェーンソーを寄せ付けぬ強固な外殻に難儀する朱里ちゃん。

朱里『このチェーンソーがいくらS.A.U.Wでもこれだけ弾かれたらどんどん刃が劣化していく一方だ……』

手応えがなく、突破口すら切り開けない現状に朱里ちゃんは頭を抱える。


ザシュッ!!!


鈍い斬撃が目の前を走る。

それも物凄い速度で。

アンデッド『グァァァ!!』

アンデッドが雄叫びをあげる。

よく見るとアンデッドの体節、それも右足部分に深い切り傷が出来ており、そこから紫色の血液が垂れている。


挿絵(By みてみん)


迅『全く…こういう節足動物タイプの奴には体節を狙って取っ掛かりを作ってから攻撃しろと教わったんじゃなかったのか?』

赤鎌(レッドサイス)の迅(じん)こと藍沢迅(あいざわじん)が現れた。


朱里『フッ……うっせぇなぁ。でも、ありがとね。迅君。』

朱里『礼はその後だ。』

アンデッド『妾の身体に……よくも!』

アンデッドが激昂する。

迅『呉飛雲(ウーフェイユン)、ちっこい雑兵は任せてもいいか?』

飛雲『いいだろう。その態度がデカい女王様はお前達がやれ。』

迅『よし。』

朱里『雲姉様…いくよ!迅!』

朱里ちゃんと赤鎌の迅はアンデッド本体を、フェイはアンデッドが絶えず飛ばす小さな働き蜂に挑む。

飛雲『働き蜂は容赦が無いと聞くが、どうやら本当のようだな。』

フェイ目掛けて特攻してくる働き蜂、しかしフェイは冷静に対処する。

迅『おい朱里、俺が体節をやるからお前はそこを狙え。』

朱里『わかってるって。』

迅君はアンデッドの体節を狙い、そこに朱里ちゃんがチェーンソーで切りかかる。

アンデッド『妾にこんな仕打ちを……生きては帰さない!!』

ボロボロになったアンデッドの怒りの怒号が響き渡る。

迅『体節狙ってバラバラしてやれば黙ってくれるかな?』

朱里『じゃ、それで行こ。』

迅君の後に続く朱里ちゃん。

迅君が体節に一撃を与えるとその上から朱里ちゃんがチェーンソーでぶった斬る。

朱里『右腕と背中の翅、お陀仏だ。』

アンデッド『おのれ人間!!』

右腕と背中の翅を失い、一気に動きが鈍りだすアンデッド。

それでも二人は容赦無く攻め続ける。

迅『朱里、両脚だ。』

朱里『任せて!』

両脚が切断される。

飛雲『中々、連携が取れてるようだ。』

フェイも二人の活躍に感心している。

アンデッドは最早身動きが取れない。脚を失ってしまったら歩くことすら出来ないのだから。

迅『頭と胴、これで最後だな。』

朱里『終わりだぁ!!』

頭が飛び、胴体が真っ二つになり、アンデッドはバラバラになってしまった。

周辺は紫色の血液で汚れ、何とも無惨な光景になっていた。


挿絵(By みてみん)


朱里『はぁ、終わった。』

世莉奈『お疲れ様皆。』

迅『やれやれ、真正面から突っ込む癖は相変わらず直ってないな…もう少し相手を観察する力を身につけろ。』

朱里『フンッ、うっさい。あんたがもうちょっと速く来てくれればあたしはこんなに苦労しなかったっての。』

迅『俺が速く来てたらとっくにこのアンデッドは封印してたんだがな。つまりお前の出番は無かったことになる。』

朱里『ハァ?言いたいこと言いやがって!』

二人が口喧嘩をしだす。

世莉奈『まぁまぁ二人とも。』

私はこの場を宥めた。

飛雲『さて、身体が引っ付く前に確実に殺しておくとしよう。

後ろを振り返るとフェイはアンデッドの心臓に刀を突き刺す。

迅『あ…』

迅君は何を思ったのか、口を開けて固まっていた。

迅『おいおい、せめて封印だけでも。』

朱里『それもそうだけど、確実に殺しておいた方が安全でしょ?ここは雲姉様に任せなよ。』

迅『全く、俺達にない力を持っててズルいよアンタ。いや、アンタだけじゃなくてエルフリーデ・シュナイダーもそうだが…』

飛雲『迅、シュナイダーは奴の旧姓だぞ?今は比嘉(ひが)エルフリーデだ。』

迅『フン、俺は旧姓の印象の方が強いから旧姓で呼ぶだけだ。』

飛雲『最も、私も奴が結婚して名字が比嘉に変わってたのも比較的最近知ったことだがな。あんな奴でも結婚出来てしまうとは…』

迅『アンタはそこの彼女といるんだからそれで満足じゃないのか。名前は…えーっと…』

世莉奈『世莉奈、杉山世莉奈。』

迅『あー、覚えておく。俺のことは迅でいい。』

朱里『何、迅君にはあたしがいるんじゃないの?』

世莉奈『ん?』

迅君と朱里ちゃんは関係はどういった関係なのだろうか?気になって詳しく聞いてみた。

世莉奈『二人はどういう関係なの?』

迅『朱里は俺の彼女だが…』

世莉奈『そうなの?』

朱里ちゃんに聞くと顔を赤らめながらもちょっと嬉しそうに頷く。

朱里『うん、迅君はあたしの彼氏っす。』

飛雲『ほお?お前達がそんな関係だったとは。』

朱里『雲姉様、皆には内緒で。』

迅『もうバレてるぞ?周りの奴等も俺達が付き合ってることも知ってる。』

朱里『チェッ、バレないようにしてた筈なのに。』

男女間の関係、それだけじゃなく恋愛に纏わることは案外周りに広まりやすいもの。

私とフェイの関係も今やエルフリーデさんも朱里ちゃん、そして迅君や綺瀬ちゃんにも知れ渡っている。

付き合っていることがバレることより別れたことがバレる方が個人的には痛いダメージな気がするから私とフェイの関係が知られた時は思ってたより恥ずかしい気持ちは込上がってこなかった。

何故なら私もフェイのことを本気で愛しているから。


迅『そろそろ撤収だな。』

朱里『ねぇ、今日迅君の家に行ってもいい?』

迅『好きなようにしろ。』

さっきまでの二人はあんなに口喧嘩してたのに嘘のように仲良くなっていた。


昆虫を始め、節足動物は体節ごとに生きた生物なので今回のアンデッドは比較的柔らかい体節にダメージを入れ、そこを取っ掛かりに外殻を壊していくという戦法に至ります。

実際のスズメバチも外殻はキチン質の外骨格で守られていて非常に硬いですが、各体節(特に腹部)は比較的柔らかいのでそこを狙ってから本体に痛手を負わせるのは理に適っているのではないでしょうか?

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