再開
協議が終わり、帰路へ向かう。
そんな中でこちらへ走ってくる気配がした。
協議が終わり、私達は部屋から出て廊下を歩いている。
タッタッタッ
後ろから誰かがこちらへ走ってくる音が聞こえてくる。
世莉奈『ん?』
朱里『雲お姉様ー!!』
同じ席にいたあの実力派アンデッドイーターの一人、鎖鋸の朱里こと茅原朱里がフェイに向かって飛び付いた。
飛雲『ん……朱里か。何をそんな嬉しそうに…』
世莉奈『フェイ、顔見知りなの?』
飛雲『そうだ。コイツは高校の後輩だ。』
鎖鋸の朱里とフェイが先輩と後輩の関係だったとは……
すると鎖鋸の朱里は私の方を見る。
朱里『貴方は?』
世莉奈『えっと…私は…』
飛雲『私の彼女だが。』
フェイがそういうと鎖鋸の朱里は私のことをずっと見つめる。
朱里『負けた……私より可愛いんだもん……』
何の勝負かはわからないが勝手に項垂れ始めた。
と思った矢先、鎖鋸の朱里は頬をプクーっと膨らませてフェイの方を見る。
朱里『ブーッ!お姉様!あたしが本命じゃなかったんすか?』
飛雲『そんなこと言ってないが…』
鎖鋸の朱里は突然拗ねだした。
そして再び私の方に身体を向ける。
朱里『あたし、茅原朱里。名前聞いてもいいすか?』
世莉奈『え、えぇ…世莉奈……です。杉山世莉奈。』
朱里『もうそんな、敬語なんて使わなくていいすよ。』
世莉奈『で、でも…』
飛雲『セリ、コイツは私と君よりも年齢は一つ下だ。然程気を使わなくてもいい。』
朱里『ほらお姉様もこう言ってるんだし。ね?』
世莉奈『じゃ、じゃあお言葉に甘えて…よろしくね朱里ちゃん。』
朱里『うん、そっちの方が丁度いい!ね、先輩って呼んでも…いいっすか?』
朱里ちゃんは私の手を握っている尋ねる。
世莉奈『……うん。私は良いけど。』
朱里『じゃあ、先輩で決定!』
エルフリーデ『何だか賑やかだな。』
綺瀬『朱里、いつになくご機嫌ね。』
エルフリーデさんと地獄強襲の綺瀬が一緒にいる。
世莉奈『あれ?お二人はどういったご関係で?』
エルフリーデ『綺瀬は私の……まぁ、弟子みたいなものかな。』
綺瀬『私の射撃の腕はエル様から直々に教わったものよ。』
エルフリーデ『綺瀬も私と同じく銃撃主体の戦闘を得意としている。ただ、私と唯一違うのは彼女が使っているのはサブマシンガンというところだが。』
エルフリーデさんと地獄強襲の綺瀬が師弟関係だったとは…
綺瀬『もしかして、貴方フェイ様と付き合ってる人でしょ?エル様から聞いてるわ。』
飛雲『エルフリーデ、お前は他の奴にまで私達の関係を吹き込んでいるのか。』
エルフリーデ『隠していわけではないのだろう?なら問題はないだろう。』
私とフェイの関係は地獄強襲の綺瀬にも伝わっていたようだった。
綺瀬『東久世綺瀬よ。堅苦しいのは好きじゃないの。多分この先ばったり遭う機会が多くなると思うからよろしくね。』
世莉奈『よ、よろしくね…綺瀬ちゃん。杉山世莉奈。世莉奈でいいから。』
私と綺瀬ちゃんは握手を交わした。
一通り会話を終えると4人で廊下を歩き出す。
歩いている最中フェイは煙草を取り出す。
飛雲『すまないが、煙草を吸いに行ってくる。』
世莉奈『わかった。すぐそこで待ってるね。』
エルフリーデ『はぁ…仕方ない。私達も待ってるか。』
フェイが喫煙所に向かう。私達3人は喫煙所の扉の側の壁にもたれかかって待っていることにした。
飛雲『おい、エルフリーデ。セリに手を出したら容赦はしないからな。』
エルフリーデ『そんなことするわけないだろう。』
そう言って扉を閉めた。
エルフリーデ『世莉奈ちゃん。呉と暮らしてどうだ?』
世莉奈『特に変わりなくってところです。』
エルフリーデ『そうか。』
世莉奈『どうしてですか?』
エルフリーデ『何だか、君といる時の呉は何だか昔では想像できないくらい穏やかな表情だと思っただけ。』
世莉奈『あまり意識したことは…ないです。』
何てことのない会話が始まった。
エルフリーデ『すでに知っていると思うが私と奴は普段啀み合っているような間柄だが、もっと昔は普通に喧嘩もしていたし碌に会話もしなかったような犬猿の仲だった。』
世莉奈『腐れ縁だったんですよね。』
エルフリーデ『そうだな。同時期にアンデッドイーターになってそれからも喧嘩こそは減ったが啀み合いながら共に仕事をしたりとかはしていたが、2年と半年前ぐらいのことだったかな?私が右腕を失ったのは。』
世莉奈『フェイと私が同棲し始めたのも確かそのくらい。』
エルフリーデ『…そっか。なら辻褄が合う。』
世莉奈『というと?』
私とフェイが同棲し始めた年とエルフリーデさんが腕を失った年が同じくらいとのこと。
しかし、それが何と関係しているのか詳しく聞いてみた。
エルフリーデ『他人に干渉もしなければ情けの概念すら無いような奴が腕を失った日に本気で私を心配してくれたのが呉だ。あの時意識が朦朧としていたにも関わらずそれだけは何故か覚えている。あんな奴でも悲しい顔するのかと…』
フェイは私の前でも絶対に悲しい顔はしない。
そんなフェイがエルフリーデさんを本気で気に掛ける姿なんて尚更想像できなかった。
エルフリーデ『さっき奴に昔と変わっていないとは言ったが一番丸くなったのは呉の方だと私は思っている。正直なところ、良くも悪くも奴と会話が出来る程になっている点は内心私も嬉しく思っている。世莉奈ちゃん、きっと君のお陰だ。』
世莉奈『そ、そんなこと…私は何も…』
嬉しいのやら恥ずかしいのやら、照れ臭くなってしまった。
すると喫煙所の扉が開き、フェイが顔を覗かせる。
飛雲『全部聞こえているぞ?』
エルフリーデ『何だ、聞いていたのか。心外だ。』
フェイは再び扉を閉める。
この時、薄っすらとだけれどフェイの顔がどこか嬉しそうにも見えた。
別に私は特別なことはしていないけれど、このまま関係が良くなる方向に進むのなら私としても何だか嬉しい気がするのだった。
前回新たに登場した民間のアンデッドイーターの内の二人が実は顔見知りの間柄だったという意外な展開。




