私の初めての不義理~あの本の感想?!申し上げられません!~
こんにちは。
いつもありがとうございます!
今回もよろしくお願いします。
~深夜、使用人の部屋
私、全く眠れないのです。
明日は休暇の5日目ですので、夜更かししたところで全く問題はないのです。
ですが、寝る準備も終えて、さぁ寝ましょう!となったときに、借りた本の3冊のうち1冊を読んで寝ようと考えていたのです。
3冊とも私の乳母になる計画には全く参考にはならないと思いますが、お薦めしていただいた男性が感想をお求めのようでしたので読むしかなく、枕元に準備いたしました。
改めてタイトルを確認しますと、
・淫らな奥様は騎士と朝日を見る♡
・絶倫旦那様は夜まで待てない♡
・侍女は旦那様に一晩中指導される♡
という3冊でして、どの本から読んでも心臓が爆発しそうなほど鼓動が早くなるだろうなと思いました。
どの本からでも一緒ですので、選ぶのをあきらめて一番上にあった本の1ページ目を捲ったのです。
それが大きな間違いだったのです。
私、なんと、3冊一気に読んでしまったのです。
時間にして3時間30分。
只今の時刻は深夜の2時。
心臓は暴れまわり、体をベッドに預けて目を閉じても男女の濃厚な性交渉が脳裏にちらついて落ち着けません。
しかも3作とも出会ったその日から性交渉をしており、確かに乳母になる使命を果たすには一番効率が良くてその点では参考になりましたが、ただこれを実践するとなるとただの痴女になってしまいます。
布団を頭までかぶって、大きく深呼吸をいたしましたが、高鳴る鼓動は簡単には落ち着いてくれません。
こんな内容の本を薦めてくるとは、あの男性は私を何だと思っているのでしょうか。
挙句に感想などと私にはとても申し上げられるものではございません。
人の好意だとしても、受け取るべきではございませんでした。
“知らない人には物を貰ってはいけない““簡単に信用してはならない“と子供の時分に教えられたはずですのに、なぜ私は素直に本を借りて読んでしまったのでしょう。
あの男性は恋愛小説のお部屋にいらっしゃって、しかも顔は髪で半分見えなかったのです。
無精ひげで身なりだって高級そうでもだらしなかったのです。
絶対に信用してはいけないタイプの男性でしたのに、私としたことが焦っていたのでしょう。
男性は毎日あの部屋にいるとおっしゃっていましたし、感想だけささっとお伝えしてから、その後に参考となる本を明日こそ探して、実践いたします。
明日からは確実に進めて参らねばと、心に決めて目をきつく閉じました。
~翌日のお昼過ぎ、図書館
本日はやはり寝坊をしてしまいました。
あの後もなかなか眠れなくて、何度も寝返りを打ちましたが朝方にやっとウトウトし始めて、はっと目が覚めましたらお昼前でございました。
貴重な時間をロスしてしまったことに、肩を落としましたが、悩む時間も惜しくなって超特急で支度を終わらせます。
寝不足でクマがくっきり出てしまった顔に化粧を施しますが、化粧のノリが悪くて結局疲れた顔に仕上がってしまいました。
やはり本など読まずに睡眠をとればよかったと後悔するも後の祭りなのです。
足早に図書館のカウンターまで行きますと昨日借りた3冊の本を差し出しました。
「返却でお願いいたします。」
「承知いたしました。少々お待ちください。」
カウンターには、昨日と同じ女性の司書さんがいらっしゃいました。
司書さんは帳簿を出して、本からカードを取り出すと、両方に日付を記入しておりました。
「この本よかったでしょ?私この作者大好きですの!」
作業をしながら早口で司書さんは私に声をかけてくださいましたが、こんな清楚な司書さんがあんな濃い性表現のある本が好きだなんて目が飛び出るほど驚きました。
「えっ…ええ…。」
「ありがとうございます。返却確認できました。あの作者さんの本、まだまだあのお部屋にありますから!楽しんでください!」
「あ、ありがとうございます…。」
本当に心からお薦めしているのでしょう。
司書さんのお顔は目じりが下がり、口角がきゅっと上がっておりました。
その後もカウンターから去ろうとしたら、司書さんは大きく手を振ってくださいました。
おそらく私をあの作者が好きな同志だと思われているのでしょう。
違いますのに…。
私は、ひとまず手を胸の前で小さく振り返して昨日に引き続き2階の奥のお部屋を目指しました。
階段を上ると、今日はあまり人がおらず少しほっとして奥の部屋へ足を運びます。
あの部屋は恋愛小説専用のお部屋ですので、悪いことはしてないのですが、人から私がそういう趣味なんだと思われるのがなんだか恥ずかしくて早足になってしまいます。
私、情報収集を目的にしてますのに…。
それはさておき、ドアの前までやってまいりましたので、一度足を止めました。
あの男性は毎日いると言っておりましたが、本日会えなかった場合は、明日もここに来なければなりません。
約束したかといえば怪しいですし、感想をお伝えする程度だといえど、そんな義理はありません。
しかし、約束をすっぽかすような気がして、私は男性に会わずに隠れて本を探すことが嫌だったのです。
呼吸を整え、ゆっくりドアノブに手を掛け、ドアを開けたのです。
キィ…
古びたドアの蝶番がすれる音がシンとした部屋に響きました。
ただドアを開けるだけですのに、私の手は湿り、鼓動が早くなっていました。
部屋を覗きますと、奥の方で本棚にもたれ掛かった例の男性がピンク色の本を読んでおりました。
相変わらず、上等な服をお召しですがシワシワで前髪で顔は半分隠れておりました。
恋愛小説の部屋にこの身なりで男性といえば、完全に不審者ですが、私は感想をお伝えするために男性に向けて足を踏み出しました。
短い距離であるはずですが、スローモーションがかったように体がなかなか動かないのです。
もうお休みは1日しかなくて、急がなくてはお嬢様をがっかりさせてしまうことになってしまいます。
それはどうしても避けたいのです。
一歩ずつ一歩ずつなんとか男性の近くまで足を運んでいきます。
早く…、そう一刻も早く…、あの男性に感想をお伝えするだけなのです。
「あっあの…。」
やっと近くまで足を運ぶことができ、手を強く握りながら男性に声を掛けますが掠れた声になってしまいました。
なんでもないことですのに、なにをこんなに緊張する必要があるのでしょう?
「あ!昨日のお姉さんだね!本よかったかな~?」
ここは図書館で静かにしないといけないのですが、男性は声を潜めることなくお構いなしにお話されたので、思わず私は男性の口に手を押し付けて注意したのです。
「シーッ、ここは図書館です!」
咄嗟とはいえ、昨日出会った名前も知らない男性にこのようなことをしてはなりません。
私は急いで飛び退きました。
「しっ失礼しました!!!」
大きな声で謝罪をしてしまった挙句、大きく飛びのいたため、後ろに本棚があることを失念しておりました。
気付いた時には遅く、ぶつかる!と目を閉じた時、強い力で抱き寄せられたのです。
本棚にぶつかることは回避できましたが、目を開けると男性のシワシワの服が間近に見え、そのまま目線を上げると長い前髪の隙間から目が合いました。
瞳の色は分かりませんでしたが、恐ろしくお顔が整っており、体が硬直してしまいました。
ハッとした時には、一気に頭に血が上り、顔から火が噴き出すのではないか?というくらい熱くなりました。
「ああああああああありがとうございます!!!!」
再び飛びのいてどうにかお礼を言えましたが大声になってしまいました。
30歳も過ぎた人間がなんとおろかな態度をとってしまったのでしょう。
私はいたたまれなくなって、逃げるように図書館を飛び出したのでございます。
最後までありがとうございます。
私のイメージでは、恋愛小説の部屋はピンク多めです笑
きっとカラフルで、キラキラしていると思います!
そんな図書館あれば行きたいです笑
次回もよろしくお願いします。




