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乳母になりたいので子宝ベーグル片手に婚活した件について。  作者: あゆま3


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私の初めての出会い①~出会ってどこに転がっていますでしょうか?~

こんにちは。

いつもありがとうございます!

今回も楽しんでいただけたら嬉しいです。

~早朝、使用人の部屋


まずい。

非常まずいのでございます。

私、お嬢様に一週間のお休みをいただいて、もう4日目なのでございます。

しかしながら、出会うどころかただ人の多いところをウロウロしていただけ。

殿方から声もかけていただけないのでございます。

そう、成果が全くないのです。

このままではお嬢様の期待を裏切ってしまうのです。

私は鏡台の前に座り、鏡に自分の顔を見て思わず眉間にシワを寄せてしまったのでございます。

なぜこうなってしまったのか。

ここ数日を反省いたします。


~1日目 温泉街

初日はせっかく温泉で有名な観光地であるトリティクムにきましたので、温泉に行くことにいたしました。

お嬢様も人が多いところが良いとおっしゃってましたので、この地で一番人が多そうな温泉街を選びました。

そして、出会えたらすぐ結婚できるよう例の"子宝ベーグル"を忘れずに購入いたしました。

これで準備は万端なのです!


温泉街には、観光客であろう老若男女が銘々に楽しまれておりました。

足湯でリラックスされている方や食べ歩きを楽しまれている方、温泉めぐりを楽しまれている方などみなさんは一様に笑顔でございました。

私は、いつもの制服ではなく、制服に似た紺色のワンピースを着て出掛けました。

このワンピースは急なお嬢様の呼び出しでも、エプロンさえ掛ければ制服の様になるところが気に入っております。

まぁ、他の服も同じようなものばかりで、これしかなかったというのが正しい表現なのかもしれないのです。

実は、温泉街では私は沢山の方に声をかけられました。

地味なワンピースにメガネ。

髪はいつものお団子。

その姿のせいか、お店の人だと思われてしまい道を訪ねられたり、値段を聞かれたり…。

温泉に行くも、男女分かれているので結局条件にあうような殿方との出会いはございませんでした。


~2日目 カフェ

2日目はカフェにやってきました。

この地は観光地になったことで、おしゃれなカフェが多く若い方が沢山訪れる場所だとライラから聞いてやってきました。もちろん、ベーグルも忘れておりません。

確かに若い方々が多く、出会うチャンスがあるかもしれません!と思いましたが、カフェを覗くと仲睦まじい男女がケーキを食べさせあっているではないですか…。

よく周りを見渡すと、カップルか女性のグループだったのでございました。

これでは出会えないと早々に判断いたしましたが、お嬢様が好きそうなケーキを売ってあるお店がありそうでしたので探索して屋敷に帰りました。

お嬢様にお土産のケーキを渡すと、最初は喜んでいただけましたが昨日までの報告をしますと、場所と洋服が悪いとご指摘いただきました…。

仕方なく、明日は洋服を買いに行くことにしました。


~3日目 商店街

3日目は商店街にやってきました。

本日も念のためベーグルを用意して、まずは洋服の調達に向かいます。

吊り下げの洋服を見て回りますが、手に取るのはいつも紺色ばかり。

これでは、いけません。

試しに真っ赤なワンピースを選んで鏡の前で当ててみますが、しっくりきません。

この後も違う色を当てては選びを繰り返しましたが、とうとう何がいいのか分からなくなってしまったのです。

何着も何着も商品を自分に当てたため、店員さんに申し訳なくて結局いつも通りの紺色のワンピースを買ってしまったのです。

服選びさえできない私はやっぱりダメなのでしょうか。

店の外を出ると丁度お昼時で、周りを見ますとおいしそうなパン屋が沢山並んでいたのです。

トリティクムは昔から小麦の町として知られているため、味は保証されています。

少し先にかわいらしい赤い建物のパン屋さんがございました。

試しに覗いてみるとお嬢様が大好きなクルミのパンが輝いており、目に飛び込んでまいりました。

お嬢様が喜ぶ姿を想像すると先ほどのうじうじした気持ちは一瞬で吹き飛び、気が付くとパン屋さんのドアを開けておりました。

目の前には少し大きめで拳二つ分くらいの大きさのくるみパン。

プリップリでつややかな表面に大きく砕かれたクルミがゴロゴロとトッピングされていました。

パンの焼けるいい匂いを肺いっぱいに吸い込み、おいしそうなパンを選ぶのに苦労いたしました。

結局お嬢様にクルミのパンと自分用にレーズンたっぷりのパンを購入して店を後にしました。

その後も商店街を回りましたが、気が付くとお嬢様が好きそうなものばかりを選んでは購入し、殿方どころではなくなっていたのです。


~4日目、使用人の部屋

以上、3日目までの私の行動でございます。


…。


初日は普通にリラックスして、2日目、3日目は結局お嬢様のことを考えて行動してしまいました。

このままのペースでは1週間なんですぐ終わって、またお嬢様に叱られます。

困りました。どうしましょう。

紹介もダメ。

婚活パーティーもダメ。

出会える場所すらわからない。

私は頭を抱えてうんうんと唸りますが、いい解決策は一切思い浮かびません。

ふがいない自分にじんわりと涙が浮かんでまいりました…。

お嬢様が期待してくださっているのに、これではいけません!

拳を握り、顔を上げると鏡台の後ろに写る本棚が目に入りました。


そういえば!

お嬢様がよく読む恋愛小説に参考になるものがあるのではないか!と閃いたのでございます。

私の周りは大体がお見合いで結婚したので参考にはならなかったのです。

しかし、小説の中では様々な出会いがあって、恋愛に発展していくので参考になると考えたのです。

残念ながら、今回のお見合いはすぐお暇する予定でしたので、お嬢様の恋愛小説は持ってきておりません…。

置いてあるかどうかは分かりませんが、ひとまず図書館に行くことにしたのでございます。



~図書館の前


本日は情報を集める日として、ベーグルは持たずに早速図書館に足を向けました。

いつも通り紺色のワンピースにお団子。

いつ仕事に呼ばれても駆けつけられます。


図書館は意外にもお屋敷の近くにありました。

役場はおしゃれでお店のようでしたが、図書館はこじんまりとした歴史を感じる建物でございました。

その様子からこの図書館には恋愛小説類が置いてないかもしれないと頭によぎりました。

限られた時間の中で、もうここしかいい情報を得る手段が思い付かないのです。

私は建物を見上げ、手に持つ鞄の持ち手をぎゅっと握ります。

一つ、大きな息を吐くとゆっくりと建物に入っていったのです。


古びた重たいドアを開け図書館に入ると、そこはインクの香りが漂い壁面にびっしり収納された本に圧倒されました。

天井近くまで本が床を狭しと並んでおりました。

私は、先ほどの疑っていたことを反省いたしました。

期待を胸に早速カウンターに向かいました。

カウンターには、壮年の眼鏡をかけた少しぽっちゃり目の女性が1人で座っていました。

次々と来る利用客に本の返却や貸出をせっせとカードに記入しておりました。

ちょうど利用客が途切れましたので、まいりましょう。


「すみません。はじめてなので、本の場所をおしえていただきたいのですが。」


「はじめてのご利用ですか。何の本をお探しですか?」


「恋愛小説などがあれば…。」


「あぁ、それなら2階の奥の部屋にありますよ。当館には詳しいものがおりますので、たくさんご用意しております。きっと素敵な1冊に出会えますよ。」


「ありがとうございます!」


司書さんは本がお好きなのでしょう。優しく微笑まれ、丁寧に案内していただけました。

私は思わず静かな空間ですのに、大きな声でお礼を申してしまいました。

たくさん本があるということは、それだけ出会いの参考になるものがあるはずなのです。

私の使命は乳母になることですので、恋する時間がございません。

ですから全部読む必要はなく、その出会いの部分のみを読み進めていけばいいのです。

そうすれば、明日には出会える場所に伺えるかもしれません。


私は目的の本がある奥の部屋に早歩きでまっすぐ進みはじめました。

完璧に使命を果たした近い将来を想像しながら。


もう少しです。お嬢様。

私、乳母になれます!


最後までありがとうございます。

誰にも渡せなかったベーグルは屋敷でレオン様にあげています。

レオン様は大喜びですが、お嬢様は遠い目をしているはず笑

次回、やっとヒーローが登場ですよろしくお願いします。

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