私の初めての婚活パーティー~素敵なパーティーはどれです?~
こんにちは。
今回もよろしくお願いします!
~翌朝、役場の掲示板前
お嬢様にお休みをいただいた私は、早速役場に行きました。
眠気眼のまま、案内のある掲示板の前に進みました。
昨夜は、仲睦まじい声が聞こえてしまって……眠れませんでした。
一瞬、昨日のお嬢様たちの様子に意識を飛ばしました。
自然と口元が緩みました。
そして、一息つくと掲示板に視線を移しました。
婚活パーティーの案内は全部で3枚。
1枚目 ハイキング♡パーティー
1時間程度の山にハイキングに行くパーティー。
--歩きながら話せば条件を確認できますし、なかなかいいではないのでしょうか。
参加条件:20歳以下の男女
ーー……残念。
私は31歳なので大幅に超えています……
こんな参加条件があるなんて、なんて厳しいのでしょうか……
年齢条件なんてない方が、気軽に申し込みできるのではないでしょうか!
後で役場に言ったほうがいいのかもしれません。
2枚目 チョコdeパーティー!
数人のグループになってチョコの焼き菓子を作るパーティー。
ーー協力し合うので、きっと仲も深められるはずです。
生活能力も確認できますし……
少人数のグループならば、じっくりお話もできます。
このパーティー、いいかもしれません。
参加条件:トリティクムに住民登録している男女
ーー私、まだトリティクムに住民登録していないのです。
近い将来には登録する予定ですが、それでは受付してくれないでしょう……
すぐに参加したいので、このパーティーに申し込みできません……
最後の3枚目 立食パーティー
食事を楽しみながら交流するスタンダードなパーティー
ーーライラが参加したことがあると言っていましたし……じっくりお話できるかもしれません。
でも……条件は?
視線を強めて下ろしました。
参加条件:1年以内に婚姻を希望される男女
ーーこれだ!
1年以内ということは、開催日に結婚してもいいのでは?
年齢制限もございませんし……。
募集の人数も多いようです。
出会う確率が高いかもしれないです!
早速こちらを申し込みましょう!!
私は鼻息を荒くしました。
そして、拳を胸の前で握って足を入口の方へ進めました。
トリティクムの役場はザザリアの役場とは違いました。
小さいながらも、新築で白を基調としたカフェのような建物でした。
大きなガラス張りの庁舎は光がふんだんに差し込んでいました。
多くの人が訪れていました。
早速、案内板を確認しました。
指さしながら申し込み先を見つけ、足を進めました。
窓口には、眼鏡をかけた薄化粧の若い女性が座っておりました。
空いているようでしたので、近づきました。
「すみません、婚活パーティーに参加したいのですが……。」
「はい。婚活パーティーですね?お知り合いかご兄弟が参加されるのでしょうか?」
私は首を傾げました。
女性は私に構うことなく頷きました。
そして、視線を下げて手元のファイルを捲り始めました。
そこから1枚取り出すと、その用紙を差し出しました。
「……いいえ、私が参加したいのです。」
「え?」
職員さんの手が止まりました。
視線を上げると私の顔で止まりました。
口は半開きでしばらくそのままでした。
それから、差し出した紙を戻すと、指先を滑らせました。
そして、別の用紙を取り出して、私に差し出したのです。
「し、失礼しました!こちらに必要事項を書いて、持ってきてもらえますか?記載台は後ろにありますので、そちらで……。記入例もございますので…。」
声は揺れていて、早口で説明されました。
指先は微かに震えていました。
ーー申し込んでもいいはずなのに……不思議です。
差し出された用紙を両手で受け取りました。
振り返って、視線を左右に振りました。
壁面に記載台がありましたので、そちらに足を進めました。
その用紙には住所に名前、年齢、職業にそして、趣味や特技など記入しないといけないことが沢山ありました。
私は、思わず息をついてしまいました。
台にあったペンを握ると、記入例を見ながら一つ一つ埋めていきます。
全て埋めた後、指先で紙を撫でながら視線で追いました。
ペンを戻して、再び窓口に進みました。
先ほどの職員さんの前に立ちました。
職員さんの口元が引きつっていました。
私は、用紙を差し出しました。
「あ、ありがとうございます。」
両手を差し出し、指先で用紙を受け取る職員さん。
用紙が指先の圧力で歪みました。
そして、視線を上から下へ一通り移動させました。
喉元が上下しました。
職員さんは勢いよく椅子から立ち上がりました。
「あ、あのっ、確認してまいりますので、少々お待ちください……!」
軽く頭を下げ、振り返って奥に進みました。
奥に座る男性職員に声をかけ、用紙を見ながら言葉を交わされていました。
ーー記入ミスでもあったのでしょうか……確認はしましたのに……
私はそのまま待ちました。
少ししますと、二人の職員さんが近づいてきました。
男性職員が私の目の前に座り、女性職員さんは後ろで立っていました。
「カミラさん。私、上司のマルクスと申します。今日はご本人が婚活パーティーの申し込みに来られたということで、よろしいですか?」
「はい。そうです。」
--わざわざ出てこられたのは、なぜでしょうか?
私は首をかしげました。
「……カミラさん、実は……このパーティーは、ほとんどの参加者が20歳前後でして……25歳より上の方が参加されたことがないんです。」
「はぁ……そうなのですね。」
--随分年下になってしまいますが……乳母になるためなら、そんなことは言ってられないのです。
私の気の抜けた返事に、マルクスさんは眉間に皺が寄りました。
「大変申し上げにくいのですが……参加人数にも限りがございまして。今回の参加は、見合わせていただけないでしょうか?」
私は息を飲みました。
一瞬理解ができませんでした。
マルクスさんは汗が噴き出し、それをハンカチで拭いておられました。
ーー納得ができません。断られる理由が理不尽すぎます。
「困ります。参加条件を満たしておりますので、参加できるはずです!」
「申し訳ございません。しかし先ほども申し上げましたが……参加者のほとんどは20歳前後ですので……」
眉が下がり、唇を噛んだマルクスさん。
立ち上がって、頭を下げました。
後ろの職員さんも一緒になって、頭を下げました。
「……」
私は、なにも反応できませんでした。
ーー参加条件には年齢のことを書いていなかった……なのに、申し込みできないなんてあんまりです。こちらは、朝から役場にきましたのに……
こうなるなら、来なければよかった……
「わかりました。どうも、お時間を取らせて申し訳ございませんでした。」
私は、表情を無くし、頭を下げました。
立ち上がって、出口に向かって足を出したのです。
お屋敷への帰り道
ーー乳母になる前に相手も探せない、なんて情けない……。
足は進めますが、視界が霞みました。
冷たい風が頬をかすめました。
周囲の視線が集まってきたことが、肌で感じられました。
私は足元に視線を下しました。
近くを動く無数の足が見えました。
ーー今まで、どんな困難な仕事でも必ずやり遂げましたのに……なにもできない……
喉の奥が締め付けられました。
息もうまく吸えません。
頬を伝う涙は、とめどなく流れて行って服を濡らしていきました。
ーー31歳になってなにしているのでしょう。街中で泣くなんて……
私は涙が枯れて出なくなるまで、足を動かし続けました。
近いはずのお屋敷は遠かったのです。
やっとお屋敷の前で足を止めました。
空を見上げると、無数の星が瞬いていました。
最後までありがとうございました。
強い女の人が泣いてるとドキッとしますよね。
次回も楽しんでいただけるように頑張ります!
よろしくお願いします!




