私の初めての告白~私は汚れております~
いつもありがとうございます。
カミラの過去暴きます。
暴力シーンがありますので、苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いします。
「私は……私は……汚れております……」
ーーこの話をする必要があるのでしょうか? この怪しい男に。
お嬢様にも秘密にしている私の過去……
震える体を抱き締めていました。
シワになるほど服を握り締めたのです。
12年前、カミラ19歳
私は仕事が終わって、自分の部屋に向かって歩いていました。
「カミラ!」
背後から駆けてくる足音が聞こえた後に名前を呼ばれました。
私は立ち止まって、振り返りました。
同僚の使用人見習いが近づいてきました。
髪が乱れて、おくれ毛が出ていました。
「よかった!まだ帰ってなかったのね。」
「ええ、どうしたの?そんなに急いで。」
肩で息をする同僚。
丸い目に私が映りました。
「実はね……カミラに会いたいって人がいるの!」
「はぁ……」
「もう、分かってる?騎士様に紹介してって言われてるの!」
ーー騎士様??
「……」
「あらっ、固まっちゃった!カーミーラー!」
「……はい。」
「会ってみない?」
「……はい。」
同僚の顔から目が離せませんでした。
口から言葉が漏れていました。
「じゃあ、2週間後の休みの日ね!」
「え??」
「デートの日。」
「そんな早く……」
「早くしないと、おばあちゃんになっちゃうよ!じゃあ、騎士様に伝えとくから!」
「え?え?」
同僚は、私の返事を聞く前に駆けて行ったのです。
ーーデートなんて……どうしたら……
私は、床に視線を落として胸を押さえました。
手には強く打ち付ける鼓動が伝わってきました。
2週間後
その日は晴天でした。
外は少し歩くだけでも汗が流れました。
視線を下げると、ピンクのワンピースが見えました。
肩が開いていて、そこに光が当たって痛いくらいでした。
約束の時間よりまだ早かったのですが、足がどんどん進みました。
待ち合わせ場所を捉えると、そこにはすでに男性が座っていました。
私は、足を早めました。
「ごめんなさい! お待たせしました!」
「いや、今来たとこだ。楽しみで早く着いてしまってね。」
「いえ……そんな……」
「じゃあ行こっか?」
「はい。」
男性は立ち上がり手を差し出しました。
男性の顔と掌を見比べて、指先に自分の手を乗せました。
握り込まれた手は、少し湿っていました。
私は、顔を上げることができませんでした。
そのまま、二人は歩き始めました。
男性はとても背が高く、私の頭2つ分は大きかったのです。
短い髪に薄い白いシャツからは筋肉が盛り上がっていました。
ーーこんな素敵な方……私のどこがよかったのかしら?
私はそっと手を握り返しました。
レストランに入り、食事をしました。
男性は拳で握り込むようにスプーンを持ちました。
私はそこから視線を外せませんでした。
ーー気になります……直してほしいのです。
「おいしい?」
「はい。」
私は、スプーンを動かして口に運びました。
しかし、味は全く感じませんでした。
帰り際に店先で向かい合った時です。
「もっと話がしたい。」
「……」
男性の目元が朱に染まっていました。
私は、男性を見れなくなってしまいました。
ーー私も……お話したい。
私は、頷きました。
「じゃあ、ホテルでゆっくり話をしよう。」
「……え?」
私は、瞬きを忘れました。
ーー危険?いや、この人は騎士様。そんなことしないはずです。
私は……小さく首を縦に振ったのです。
そうして、男性とホテルに行きました。
私が先に部屋に入りました。
男性が部屋に入って、靴音が止みました。
ドアが閉まる音がした後に、カギを閉める音がしました。
私は振り返りました。
男性は、ニヤリと笑いました。
私の背筋に冷たいものが走りました。
気が付くと、ただ天井の木目をじっと見つめていました。
ベッドの軋む音と水音がして、皮膚が粟立ちました。
自分に部屋に戻った後、私はお風呂で皮膚が擦り切れるくらい布を擦りつけました。
それから私は、休みも取らずに働きました。
デートの誘いも全て断りました。
ただ、大柄な騎士様を見ると震えが止まらなくなってしまいました。
でも、なぜか制服を着ると震えませんでした。
ジグルド様の屋敷、玄関前
私はジグルド様の顔をぼんやりと捉えていました。
事務的に過去の話をしました。
なんの感情もありませんでした。
「ですから、私は……汚れているのです。」
胸が痛くなりました。
ーー私は……なぜ忘れていたの? こんな、こんな……
「それ、だれかに言った?」
「いいえ……だれにも……私の落ち度ですので……」
「じゃぁ、乳母になること止める?」
「……」
やめるとは、言えませんでした。
ーー無理……かもしれません。でも……お嬢様と……お嬢様の……
「止められないのです。どうしても、やめたくないのです。」
地を這うような声でした。
言葉にすると、長い息を吐きました。
ジグルド様の目の辺りに視線を集中させました。
夜風が吹いて、2人の間を抜けていきました。
ふと強い風が吹いて、ジグルド様の前髪が揺れました。
射貫くような視線が私に向けられていました。
震える足を踏ん張り、奥歯を噛み締めました。
ーー私は、私は、乳母になりたい。
ジグルド様はふっと笑いました。
指先が口元に移動しました。
「カミラ、学習能力ないの?ここ、男の屋敷だよ?」
「は!」
ーージグルド様は一人暮らしでした!
私の指先は冷えていきました。
一歩後ろに足を退けました。
振り返って、目に入った門は魔法で閉まっていました。
完全に足が止まりました。
門を睨むように見つめました。
「ははは!そんなに怖がらなくっても、いいじゃないか!」
ジグルド様の方に振り返りました。
すると、手を叩いて笑っていました。
ーー笑うほどのことでしょうか?! 私の過去を聞いた後にですよ?!
冷えた指先は一気にカッカして、頭に血が上りました。
「ひー、面白い! カミラ、俺は君が乳母になれるよう、協力しよう。その代わりに、手伝ってほしいことがある。」
「……」
私の口は縫い付けられていました。
ーー何が協力しようですか?! 信用がなりません!!
私の顔は歪んでしまいました。
ジグルド様は、吹き出し、また笑い始めました。
「ははは!大丈夫だ。とりあえず、中、入る?」
両手を挙げて降参のポーズをとるジグルド様。
「いいえ、結構です!! こ・こ・で、お願いします!!」
「おいおい困ったな! 本の片付けを手伝って欲しかったんだけど……その様子じゃ無理だな。」
ーーまさか、昨日の玄関のような状態が奥まで…?
口が中途半端に開いてしまいました。
「無理しなくていいよ。気が向いたら手伝って。そうだ!シャツ!」
私はシャツをバッグから取り出しました。
そのシャツは、しわくちゃになっていました。
ーーさっき落としたせいで……
シャツを持つ手が一瞬止まりました。
そして、バッグに戻そうとしました。
しかしジグルド様は、私からシャツを奪いました。
「ジグルド様、それでは……!」
「気にしないよ! ありがとう。そうだ、ちょっと待ってて!」
私は反応が遅れました。
ジグルド様はその間に屋敷に入っていきました。
私はバッグの中にある、借りた本を眺めました。
しばらくすると、ジグルド様は本を3冊手に、戻ってきました。
ドアの隙間から見えた家の中は、また元通りになっていたように見えました。
私は瞬きを数回しました。
「これ。また、気が向いたら手伝って。じゃぁ、送るよ。」
「あ、ありがとうございます。でも、結構です。一人で帰れます。」
「女の子が一人で危ないよ?」
「……」
ーージグルド様の方が危険なのです!
私はジグルド様から奪うように本を受け取りました。
バッグの中から借りていた本を取り出すと、胸に押し付けました。
そして、何かを言われる前に門をくぐったのです。
しかし、私が帰ってお屋敷に入るまで、後ろから靴音が聞こえたのです。
最後までありがとうございます。
ジグルドのお屋敷は本の山です。(羨ましいな。)
また次回も楽しみにしていただけたら嬉しいです!
では!お休みなさい…。




