アーチ2:第9章: 金食い虫の逆襲と女神の限界
[第一節:激しい初撃と害虫の反撃]
コンビネーション攻撃が、眩い閃光となって洞窟を照らし出した。
ヴァレイラの結晶は野獣の背中に直撃し……鋭い金属音を響かせて跳ね返された。
ブリナの矢は火山岩の装甲に当たってチリチリと音を立て、無力にも地面へと落ちていった。
怪物は微動だにしなかった。
アルファの個体である、鉄の顎を持つ巨大な塊が、その前脚で地面を叩きつけた。
衝撃波が鉱山の壁を揺らし、天井から無数の石が降り注いだ。
バランスを崩さないよう、ヴァレイラは後ろへと飛び退いた。
彼女の自信に満ちた表情は、完全に打ち砕かれていた。
(…通じないの?
…私の魔法が…あれに通じないわけ?
…なんて…なんてバカな……)
怪物の目が、再び飢えの色を帯びて輝いた。
金属の顎を大きく開き、洞窟の空気を震わせる咆哮を放った。
◆◆◆
[第二節:岩の無敵防御と肉体の消耗]
戦闘は危険な迷宮へと変貌した。
ヴァレイラは連続して呪文を唱え、空中でパチパチと音を立てる切断エネルギーの奔流を放ち続けた。
だが怪物はただ顎を閉じ、装甲の背中を向けて、その衝撃をくすぐり程度に受け流した。
火山岩はかすり傷一つ負わない。
装甲の密度が異常だった。
ソラリアの魔力がすり減り始めていた。
ブリナは影のように俊敏に動き回り、足の関節めがけて矢を連射した。
しかし、狭い空間と突進のスピードが射撃を困難にしていた。
一頭の怪物が突進してきた。
ブリナはギリギリのタイミングで埃まみれの地面を転がった。
背後にあった石の柱は粉々に砕け、砂煙が舞い上がった。
――ヴァレイラ様、効きません!
――分かっているわよ!――ヴァレイラは額に冷や汗をにじませながら唸った。
…こいつら……なんて厄介なの!
(…私の魔法が弱いんじゃない…
…こいつらが耐久特化の設計になっているのよ。
…くそっ……)
◆◆◆
[第三節:追い詰められたヴァレイラと深い闇への落下]
肉体的な疲労が限界を迎え始めていた。
ヴァレイラは荒い息をつき、額を伝う冷や汗を拭った。
防護結界のために魔力を練り上げながら後退するが、その指先はわずかに震えていた。
怪物の1頭が、彼女の足元の洞窟の床を強力な顎で噛み砕いた。
足場となっていた岩が乾いた音を立てて崩れ去った。
ギャラリーの床が抜け落ちた。
ヴァレイラは虚空へと落下し、鉱山のさらに深く、暗い底へと落ちていった。
そのマントが空中で激しく翻る。
――ヴァレイラ様!
ブリナは一瞬だけ弓を手放し、血の気の引いた青ざめた顔で穴の縁を覗き込んだ。
底の見えない暗闇へと、両手を思い切り伸ばした。
――耐えて! 今――!
残りの怪物たちが彼女を取り囲み、退路を塞いだ。
◆◆◆
[第四節:底に潜む危険と貪欲な幼生の巣]
底のくぼみにたどり着いたヴァレイラは、苦痛の表情をこらえながら必死に身体を起こした。
服の埃を払い、頬にできた擦り傷を拭う。
手のひらに小さな魔法の光を灯した。
目の前に広がっていたのは悪夢のような光景だった。
その下層の壁は、数百匹もの怪物の幼生で埋め尽くされていた。
体は小さいが、魔法の熱に引き寄せられて隙間から這い出してきたそれらは、極めて鋭い顎を持っていた。
その目は、成体と同じ飢えの光を湛えていた。
ヴァレイラは一歩退いた。
空間は極限まで狭かった。
範囲魔法を発動しようと試みる。
しかし、幼生たちは歯の波と化して群れをなして飛びかかってきた。
彼女は岩から岩へと跳び移りながら回避を続け、自分の魔力が枯渇しかけていること、そして敵陣の真ん中で完全に包囲されていることに焦りを募らせ、悔しそうに身振り手振りを交えた。
(…ここは鉱山なんかじゃない…
…巣よ。
…そして私は、その真ん中に落ちてしまった。)
◆◆◆
[第五節:ブリナの必死の救出と連携した撤退]
幼生たちがヴァレイラに襲いかかろうとしたまさにその瞬間、上の穴から一本の登はん用ロープが投げ下ろされた。
風の穂先を持つ矢の雨が小さな怪物たちの目に正確に命中し、火花を散らしながら後退させた。
ブリナが驚異的な身のこなしでロープを伝い降り、ヴァレイラの前に着地した。
顔はすすで汚れていたが、その瞳には絶対的な闘志が宿っていた。
――ヴァレイラ様!
彼女はヴァレイラのマントを掴み、奥にある小さな裂け目を指し示した。
――あっちです! 出口があります! 走って!
二人は狭い通路を全速力で駆け抜けた。
背後では、巨大な成体たちが穴を下り始め、その体重で地面がミシミシと揺れていた。
岩を噛み砕く金属の顎音が、猛烈な勢いで近づいてくる。
◆◆◆
[第六節:苦い休戦と闇の中で砕けたプライド]
通路を抜けきった末、ようやく鉱山の安全で人里離れたエリアへとたどり着いた。
最後の魔法の一撃で崩落を引き起こし、ヴァレイラは入口を塞いだ。
岩石がすさまじい轟音とともに崩れ落ち、道を完全に封鎖した。
二人は石の壁にもたれかかるように崩れ落ち、土とすすまみれになりながら、荒い息を整えた。
ブリナは自分の矢筒を確認し、矢がほとんど残っていないことを消え入るような仕草で示した。
――……もうほとんどありません……
…ごめんなさい、ヴァレイラ様……
ヴァレイラは、魔法の酷使で震える自分の両手を見つめ、どうしようもない悔しさから拳を強く握りしめた。
高潔な女神としての彼女のプライドは、あの洞窟の中で完全に粉々に砕け散っていた。
薄暗いトンネルの奥を見つめる。
その表情は、険しく計算に満ちたものへと変わっていった。
(…この害虫たちは…
…あの太った王が思っていたよりもはるかに危険だ。
…生半可な力じゃどうにもならない。
…考えないと…
…ここで私たち、死んでしまうわよ。)
鉱山の静けさが、二人をすっぽりと包み込んだ。
ギルデッドに到着して以来初めて、ヴァレイラは即座の答えを持ち合わせることができなかった。




