アーク1:第13章: 目覚めと帝国の禁忌
[第一節:目覚めと王女の安堵]
ヴァレイラはゆっくりと目を開けた。
最初に感じたのは、城の高級なシーツの柔らかさだった。
二番目に感じたのは、誰かが自分の隣に座っている気配だった。
エララ王女はベッドの端に腰掛け、心配そうな顔をしていた。その目は少し腫れていた。
ヴァレイラが身じろぎしたことに気づくと、エララは安堵の深い震えるようなため息を漏らした。
「……やっと目を覚ましたのね……。
天に感謝を……」
優しく、抑えきれない感情をにじませた声で、エララは説明した。エメラルド色の髪をした魔女が、ヴァレイラの容体を安定させ、神秘的な身体が受けた恐ろしい魔力の消耗を回復させてくれたのだという。
その場の空気は、たちまち親密で無防備なものへと変わった。
二人は、永遠にも感じられる数秒間、じっと目を見つめ合った。
(……近すぎる……。
優しすぎる……。
どうして私の心臓はこんなに激しく鼓動してるの?
くそっ……こんな百合展開、頼んでないんだけど……!)
ヴァレイラの頬に、裏切るような熱が広がった。
---
[第二節:ちびっ子の乱入と女王の敬意]
ロマンチックな雰囲気は、扉が勢いよく開かれたことで一瞬にして吹き飛んだ。
「ヴァレイラさまぁぁぁぁぁ!!!」
ブリナが涙目で、恐怖のあまりすっかり顔をくしゃくしゃにしながら、部屋へ駆け込んできた。
「一人で行かせちゃった……! 殺されちゃうと思ったんだから……! もう二度と私を置いていかないで!」
彼女は必死なコアラのようにベッドへ飛びつき、ヴァレイラにしがみついた。
ヴァレイラは女神としての誇りを取り戻しつつあったものの、ブリナの頭を二、三度撫でずにはいられなかった。
「……はいはい。私は生きてるわ。大げさなのよ、ちびっ子。」
その後、体力を取り戻したヴァレイラは、謁見の間へと案内された。
セラフィナ女王は、最大限の厳粛さをもって彼女を迎えた。
女王は玉座から立ち上がり、はっきりとした敬意ある声で告げた。
「魔女ヴァレイラ……。
黒き悪魔の暗殺者たちを完全に排除したあなたの勇気は、ソラリアをさらなる悲劇から救ってくれました。
あなたはこの国の永遠の敬意を勝ち取ったのです。」
感謝の証として、女王は彼女に永住の庇護を与え、二日間の絶対安静を命じた。
そして母親のような笑みを浮かべると、完全に回復した後、ブリナと共に遂行する特別な任務を彼女に託した。
---
[第三節:商店街の散歩とちびっ子の駄々]
二日間の絶対安静を利用して、ヴァレイラはエララとブリナを伴い、王国の商業地区を散策することにした。
散歩は最初の一分から、混沌としていて楽しいものになった。
ブリナは落ち着きなくあちこちを走り回り、声の限りに叫んでいた。
「これ欲しい! あれも! あのりんご飴も! あのドラゴンのぬいぐるみも!」
ヴァレイラは気品たっぷりに彼女を無視し、本当に重要なことに集中していた。
絹の装飾品や水晶、そして自分の神々しい美しさにふさわしい贅沢品を探して、店先を鋭い目で見渡していたのだ。
(……ようやく私にふさわしい散歩ね……。
隣でちびっ子が叫んでいることを除けば。
まあ、必要な犠牲というやつね。)
---
[第四節:予期せぬ贈り物と赤面の王女]
手工芸品の露店を眺めていたとき、ある輝きがヴァレイラの目を引いた。
それは、市場に並ぶありふれた品々の中でひときわ目立つ、美しい純水晶のブレスレットだった。
上品な態度を保ち、城で受けた親切に感謝の気持ちを示そうと思い立ったヴァレイラは、迷うことなくそれを購入し、エララに直接手渡した。
「……はい。
その……いろいろと、お世話になったから。」
王女は完全に硬直した。
無垢で深い赤面が頬から耳まで一気に広がった。
「これ……私に?
こんなに純粋で、私個人のために選ばれた贈り物をもらうなんて……生まれて初めてです……。」
感動で声を震わせながら、エララは心を込めて約束した。
「このお気持ちは、決して忘れません……絶対に。」
その言葉を聞いた瞬間、ヴァレイラの脳もまたショートした。
(……なっ、何をしたの私!?
ど、どうして私まで赤くなってるの!?
くそっ、目をそらしなさい、この間抜けな女神!)
彼女は傷ついた誇りを守るように顔を背け、頬を真っ赤にした。
---
[第五節:近隣諸国の伝承と禁忌の帝国]
ロマンチックな出来事への恥ずかしさを隠そうと、ヴァレイラはブリナが別の露店を見に離れた隙に、エララへ世界の地政学について尋ねた。
「……他の国々について教えて。
ソラリアの向こうに何があるのか知りたいの。」
エララは落ち着いた真剣な姿勢を取った。
「この大陸は広大です……けれど、すべての統治者が平和的というわけではありません。」
まず、彼女はギルデッド・ヴァン王国について語った。
そこは、肥満体で極めて強欲な王が支配する国であり、富と黄金こそがすべてとされていた。
エララは王の子供たちにも触れた。王子のミダスと、月のクラウンアームに関わる王女のセレスティア・フォン・オーリヴェルである。
次に、彼女はエルドリアン王国について説明した。
そこは、フォン・ドラケンハルト家が統治する、鉄鋼と厳格な軍規を誇る強国だった。
その国では、王子のカエレンが破滅のクラウンアームを所持しており、双子の姉妹であるリラとヴァーニャもいた。
しかし、ヴァレイラが帝国について尋ねると、エララの表情は完全に曇った。
「……帝国については話してはいけません。
決して。
それは禁忌なのです。」
彼女はそれ以上の詳細を断固として拒み、ヴァレイラの中に強い疑念と好奇心を呼び起こした。
(……口にすることさえ許されない帝国……?
それは……興味深いわ。そして危険ね。)
---
[第六節:果実の大混乱とコメディの幕切れ]
ヴァレイラが謎めいた帝国についてさらに情報を引き出そうとする前に、数メートル先で大騒ぎが起こった。
「ヴァレイラさまぁぁぁぁ!! 助けてぇぇぇ!!」
ブリナが顔に絶対的な恐怖を浮かべ、全速力で二人のもとへ走ってきた。
おもちゃの露店に気を取られていた彼女は、うっかり足を滑らせ、地元の商人が積み上げていたりんごの山をすべて倒してしまったのだ。
怒り狂った商人は、通りじゅうに響く声で叫びながら、彼女を追いかけていた。
「俺のりんごを返せ、このガキィィィ!!」
ヴァレイラは完全に諦めた様子で、額に手を当てた。
(……でしょうね。
せっかくの美しい散歩に、ロマンチックな贈り物に、地政学的な謎まであったというのに……。
全部、私のドジで騒がしいちびっ子助手のせいで台無しよ。
最高ね。本当に最高。)
章は、ヴァレイラが深いため息をつく一方で、エララが小さく笑い、ブリナが女神の後ろに隠れる場面で幕を閉じる。
地面には、今もりんごが転がり続けていた。




