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異世界に探偵は必要ですか?  作者: アイザック・ゴーマ
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17-2:嘘つきⅡ

   17-2:嘘つきⅡ




 凹太郎の示したリリンの魔紋に、皆が食いつくように視線を寄せた。

 ミゴが訊く。




「テージ。

 本物ですか?」




「ああ、いやぁ!

 それっぽいです、紋としては!

 ですがぁ、今、この場では確定できません!

 きちんと検査してみないと!!」




「ですよね。

 検査したところで限りもありますが……。

 オータロの言うように、リリン本人が出てこない限りはここまででしょう。

 ですが、先ほどの【ノロイ】のこと、このリリンの魔紋のこと、オータロには何かを掴んだのだと推察されます」




 凹太郎は頷く。

 凹太郎の視線は何処となく全体を見ていた。

 同じ字の中に1つだけ違う字がある間違い探しでもしているかのような。

 メパが楽しそうに口を開いた。




「待て!

 待て待て!

 ちょっと推理させてくれ!

 ここに来て、情報が増えすぎだ!!

 ええ、オータロの話をそのまま鵜吞みにするならだぞ!

 伝説の魔女リリンは生きていて、なおかつ、今回の事件にはルラ以外に犯人が存在できる余地があるということだろ?!

 ちょっと仕事どころじゃないぞ!!」




 ポワポも続いて言葉を吐き出す。




「そうだよ!!!!!!!

 大事件だよ!!!!!

 この話をここで中断されるなんて生殺しだよ!!!

 オータロ!!!!」




 ガムニ、テージ、ヂィギィらもポワポに同意の様子を見せる。

 凹太郎はその様子を眺めながら応えた。




「いえ、申し訳ありませんが今はここまでです。

 後は、みんな揃ってからにしましょう。

 ルラさんのほうはどうなっていますか、ミゴさん?」




「……ルラは12時を過ぎたあたりにこちらに受け渡しが行われます。

 その前までは王権一時授与、一時恩赦の発布、裁判所での恩赦措置等いろいろな処理事項が省略の形でスピーディに行われます。

 およそ13時、遅くなって15時くらいになるでしょうね。

 こちらも、それらの処置に対応して迅速に書類制作を行うので皆さんには少し忙しく働いてもらうことになります。

 『くれぐれも』。

 リリンの話が気になるからと言って、手を抜いた仕事をしないように」




 ポワポとガムニが「は~い」とつまらなそうに返事をする。

 メパ、テージ、ヂィギィもあきらめたように頷いた。

 ミゴは凹太郎に向かって訊いた。




「さて、そういうわけでオータロ。

 私も各所との対応で忙しくなります。

 オータロはその間、どうしますか?

 といっても、このラボから出られませんが」




「そうですね、ミゴさん。

 私はココか、貸して頂いている部屋のどちらかにいると思います。

 邪魔にならないように。

 ……そうだ、銀の本を預けてもらってもよろしいでしょうか?」




「うーん、オータロ。

 アレはアレで預かりものなので、私の目の届かないところには」




「ですよね、すみません。

 もう一度リリンに会えるか試そうと思って」




「……オータロ、それは……」




 ミゴは二の句を告げられなかった。

 オータロの不用意な言葉に思考する間が生まれてしまったからだ。

 研究所の者たちの目がギラリと光っているのは気のせいではない。

 今、この場においてはルラの事件以上に伝説の魔女は比重の重い話であった。

 表情には見えないが、明らかにミゴは非難の雰囲気を漂わせている。

 凹太郎はそれを受け止めている様子だ。

 ならば、ミゴもそれが意味するところを察しようとする。

 しかし、それでもミゴには凹太郎の描いているところが見えない様子だ。

 仮に凹太郎が、犯人がこの研究室の誰かだと想定しているなら、あまりにも作戦としては稚拙。

 しかし、そうでなければ、今この場で凹太郎がそのようなセリフを出す理屈がなりたたない。

 キーとなるのは、リリンの魔紋だ。

 あれが任命にあたるものか、それとも何かしらの契約が結ばれてる結果なのか。

 凹太郎には何かしらカードがあるのだとしか……。

 ミゴはそんな風に考えている様子だ。

 凹太郎はそんなミゴに言葉をかける。




「では、こうするのはどうでしょう。

 ここのテーブルに銀の本を置いておいて、私が時間が来るまで監視する。

 触りもしないし、触らせもしない。

 どうせ、ミゴさんも忙しいのならばこの研究室のどこにあっても同じでしょう」




 もちろん、そんなことはない。

 いや、なかった。

 凹太郎が銀の本がリリンに接触できる媒体である可能性をちらつかせなければ。

 ミゴは研究室のメンバーを信じてはいるだろうが、いかなる可能性も考慮できないほど愚かでもない。

 そうであれば確かに、現状においてはこのラボのど真ん中、この会議室において凹太郎の監視状態においておくことで、もしもの事態に対応できる範囲は広がる。

 これは、逆に凹太郎を信じてもらうしかないということでもある。

 凹太郎が銀の本を損傷させることはないだろうが、何かの思惑がありそうなのがミゴに不信感を抱かせているはずだ。

 ミゴはうなずいた。




「……しかたありませんね。

 その代わり、私の権限でその間はこのラボのカメラを証拠に有効なものとさせていただきます。

 それでも良いですね?」




「ええ、ミゴさん。

 文句のつけようがありません」




 そうして、散るように皆はそれぞれの仕事についた。

 皆、何か言いたげな表情は隠せなかったが、そこは仕事と割り切った様子だった。

 会議室には凹太郎と、ミゴが運んできた銀の本を入れたケースがテーブルの上に置いてあるだけだった。

 ケースは側面と上面が厚いガラスのような面でできており、その面を支える柱が文様の入った金属(鉄っぽい)ものでできていた。

 底板は5センチはあるだろう黒い金属。

 ミゴはことなげに持ってきたが、置いたときの音の感じでは重そうである。

 底板の側面に何か入力できるパネルのようなものがあるのでソレで開けるらしい。

 開け方はそのパネルに指で特定の図を書き記すこと。

 ミゴはその説明をして、パスの図もメモにして凹太郎に渡した。

 凹太郎はソレを受け取りはしたが、開けるつもりはないことを告げた。

 それ以外に特別な会話はなされなかった。

 ミゴは「健闘を」と言って、自分のブースに去っていった。

 凹太郎はソファに腰を下ろし、銀の本を見据えた。

 

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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