↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/31

12.神のご加護がありますように

 天使の私は、発展した国でお役目を任されることが多かった。けれど、今いるのは道が舗装されておらず、電気も少ない場所だった。


「良かったね、市場があるようだ。こんな辺境でも手に入りそうだよ」


「意外と人が多いのです」


「迷子にならないように、手をつなごうね」


「もう子どもじゃないのですー!」


 そう言いつつも、賑わいを見ているとシュトリさまの手を掴んでいた。

 大きいと思っていた手は、今でもまだ大きかった。


「まずは顔を隠せるものを買おうか。人間に擬態しても、僕らの容姿は少々目立ちすぎるから」


「シュトリさまは黒くなっても美しいのです」


「ふふ。悪魔に対して無邪気な子だね」


 買い物をするにはお金が必要だ。

 シュトリさまは「まずはあそこかな」と言って、身につけていた指輪を店主に渡した。


「この土地の者じゃない。お金がないんだ。これを換金できるかい?」


「できるよ。これはまた……高価なものだね」


 店主のおじさんの目が泳いだ。

 少し戸惑っている?


「うちにある紙幣じゃ、足りないくらいかもしれない」


「いいよ、あるだけで。困っているんだ」


「じゃあ、妻がこの先で服を売っているから……そこで良ければ好きなのを何枚か持っていくといい」


 シュトリさまが私に耳打ちをした。


「良かったね。服も手に入ったよ」


 すごい! シュトリさまは簡単に手に入れてしまった。


「おじさん、ありがとうなのです! 何か困っていることはありませんか? 親切にしてもらったらお礼をするのです!」


「いや……。それくらいしないと対価にならないだけなんだよ」


「いいえ、誠実なお人柄で素敵なのです!」


 前のめりになっておじさんに近づいていると、シュトリさまの手が私の口を塞いだ。


「ツムギ。長居はしない約束でしょう? 忘れたの?」


「……」


「もう君は天使じゃないんだよ?」


 ……そうでした。


 私が関わることで、おじさんに迷惑をかけてしまうかもしれない。


「おじさん、ありがとうございます。……あなたに神のご加護がありますように」


 それくらいは願っても許されるのかな。

 神様に怒られるのかな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。