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【連載版】娘に何したああああああああああああああ!?  作者: あいあメル


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第三話 いつもの朝

 レオナールが王宮に殴り込みに行った翌朝。公爵家の朝食の席。


 エリナリーゼはいつも通り、静かにスコーンを食べていた。


 ブルーベリーのジャム。紅茶はミルク多め。砂糖はたっぷり。


 その向かいの席で、レオナールは険しい顔をしていた。


「エリナリーゼ」

「はい、お父様」

「昨日、最後なぜ止めた。まだ息をしていたぞ」


 エリナリーゼは天を仰いだ。

 そんなに殴りたかったのだろうか。

 ため息をつくと、ポツポツと答えた。


「もちろんそうなさったらスッキリしたと思います。でも……お父様まで失いたくなかったのです」


 レオナールは一瞬固まった。そして、顔をくしゃくしゃにした。


「エリナリーゼ……お前は……お前は本当に……」


 レオナールの両目から涙がボロボロとこぼれ落ちる。


「お父様、泣かないでください」

「泣いてない! 目から汗が出ているだけだ!」


 そう言ってレオナールはゴシゴシと腕で顔を拭う。


 エリナリーゼは困った顔をしてハンカチを差し出した。


「……ありがとう」


 レオナールはそれで盛大に鼻をかんだ。


「……お父様、それ私のお気に入りなのですが」


 気温が冬のように低くなった。


「……すまん」


 レオナールがひとしきり泣き終わった後。


「いくつか決めたことがある」


 レオナールの真剣な様子に、エリナリーゼはスコーンを置いた。


「まず、今後お前に近づく男は全て、私が事前に審査する」

「……はい?」

「審査項目は三十七ある。家柄、魔力、剣の腕、思想信条、食の好み、読書傾向、就寝時間、歯の磨き方——」

「お父様、歯の磨き方が関係あるのですか?」

「歯を雑に磨く男に、娘の幸せを任せられない」


 エリナリーゼは口を開きかけて、閉じた。そして開いた。


「審査ですが、絶対にやめてくださいね、お父様」

「では、審査項目を二十七に減らす」

「数の問題ではありません」

「それなら、こうしよう」

「お父様」

「……まだ何も言っていない」


 エリナリーゼは呆れたように笑った。


 いつもの日常が戻ってきた。


 エリナリーゼがそう思った時、侍女が慌てて走ってきた。


「旦那様、大変です! 王宮から手紙が来ました!」


 レオナールは顔を顰める。


「後にしろ」

「しかし……」

「くどい。今は世界一重要な時間だ」


 そう言ってニヤニヤした表情をするレオナール。


「……お父様。王宮からの連絡くらい、ちゃんと確認してください」

「もちろん見るとも! すまない、手紙を見せてもらえるか?」


 レオナールは姿勢を正して侍女から手紙を受けとる。


 手紙を読み進めるにつれて、レオナールの顔がだんだんと険しくなる。


「……やっぱりみなかったことにしていいかな」

「お父様」

「燃やせば、証拠も残らないし」

「ダメです」


 エリナリーゼが水も凍るような目でレオナールを見つめる。


 ぐぬぬ。

 レオナールが、そんな声を漏らす。


「……しょうがない。すまない、王宮に呼び出されたから行ってくる」


 そう言ってレオナールは立ち上がった。


「お父様」


 レオナールに声をかけるエリナリーゼ。


「なんだい?」


 レオナールは背筋を伸ばして、キメ顔をした。

 期待のこもった目でエリナリーゼのことを見る。


「問題だけは起こさないようにしてくださいね」

「エリナリーゼのお父様への評価はどうなっているんだい……」

「お父様のことは、もちろん大好きですわよ」

「答えになっていないんだが」


 エリナリーゼは、にっこり笑った。


「では、行ってらっしゃいませ」


 ガックリとしてトボトボと部屋から出ていくレオナール。


 その背中はどこか寂しそうだった。


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代表作

『「俺の告白を信じたお前の顔、最高だったよ」』

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