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カラミティ・シークレット  作者: 雪村蓮
第4章:生徒会役員編
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4-2 生徒会役員

 ルミナス王立学園の生徒会役員。華やかな社交場に相応しい風貌の者ばかりを揃えているが、能力は勿論の事最優先として選出される。

 筆記テストや実技テスト、生徒会役員や教師陣の面談を行う。おいそれとなれるものでは無いがため、役員の称号を得れば将来目をかけられる事は間違いない。

 王立学園とはそういうものだ。縦も横も繋がりが強い関係を結ぶ傾向がある。信頼第一なのは否定しないが、腐敗する原因にもなりうる構図だ。


「それでアスターちゃんは瞳孔ガン開きで観察してるんだ〜。怖いよぉ」

「キディア、静かにして」


 食堂の一角。

 昼食を取りながら周囲の音を拾うアスターは黙々と食事を続ける。普段食べている時も静かだが、目を開きながら物音立てずに食事をする様は異様であった。


「おや、カルテットは一緒にお食事かい?」


 変な呼び方をされ、シレーヌとシンは振り返る。

 久しぶりに見た甘いマスクの男、ジョリーは見惚れる様な笑みを浮かべて挨拶を述べた。


「ジョリー様」

「立たなくていいよ、シン。それより禍々しいオーラを出している彼女は一体何をしているんだい?」

「人間観察ですよ〜クロウせんぱい」


 胡散臭い笑みを浮かべながら返答するゼロスに、ジョリーも胡散臭い笑みで返した。詐欺師同士の対面のようで、シレーヌはそわそわとする。


「あ」

「ん?どうかしたのアスターさん」


 体躯に似合わず首を傾げる動作と共に尋ねるジョリーに、アスターは顔を上げる。


「見つけた」

「えっと、見つけたって何を」

「あ〜あ、可哀想にせんぱい。見つかっちゃったね〜」


 ゼロスが揶揄する様に憐れむ。

 アメジストの瞳が弧を描く様に、ジョリーは眉を下げた。


「確かに、ジョリー様なら選択として悪くないな。目の付け所は良いと褒めてやろう」

「そうかな。そうならいいな」


 ジョリー・クロウ。

 以前落し物を拾った件で、顔見知り程度の間柄である。シレーヌはそういう認識だが、シンにとっては違った。


「ちょうどいいですジョリー様。少し生徒会の件で話をお伺いしてもよろしいでしょうか」

「生徒会の件……ああ、募集に関してか。いいよ。それじゃあ相席失礼するね」


 近場の席を一つ持ってきたジョリーは、シンとゼロスの間に腰をかける。

 身長は高いはずだが、シンと対して変わらぬ座高にシレーヌが少しだけ引いたのは内緒だ。


「そもそも、生徒会役員は何人いるの、ですか」

「敬語はいいよ。僕は上級生ではあるけれど、身分でいえば君の方が上だ」

「でも、年長者は、敬うべきと言われた、から。それに」

「それに?」

「弱くない人、だから、使うよ敬語。使います」


 アスターの言葉に、ジョリーは目を丸くする。

 仄暗い瞳が瞬き、驚いた様子で神聖な少女へ声をかけた。


「弱くない人か。ふふ、強いひととは言わないんだね」

「うん。強いかどうかは、知らない、から断言しません」


 アスターにとって、ジョリーは【弱くない人】だ。

 アスターは物事は誤魔化さずストレートに告げる。それは彼女にとっての美点であり、欠点でもあった。猪突猛進といえばいいのか、思考がストッパーをかける前に言動するアスターは、良くも悪くも子供らしい。


「生徒会役員の話だったね。生徒会役員は、通常六人。生徒会長、副会長、書記と会計が二名ずつで構成されるよ」

「クロウ先輩は、何処を務めているの、ですか?」

「僕は会計だよ。片割れが居なくなってしまった一人さ」


 残念そうに眉を下げるジョリーであったが、声色は至って平坦だ。

 急な生徒会役員の離脱とそれによる募集。なにか合ったと考えるのが妥当だ。妥当だが、それはシレーヌが深入りする領分ではないと黙って耳を傾ける。


「書記も居なくなったからね。セドもぼやいていたよ」


 生徒会役員書記、セドリック・ケラヴノース。

 騎士団では名の知れた一族の姓のケラヴノース。騎士団総本部団長の甥にあたる男子生徒だ。


「アルテミス様は何も仰られ無かったけどね」


 生徒会役員副会長、アルテミス・ベイリー。

 ベイリー公爵家の末の娘であり、第一王子の婚約者でもある令嬢である。貴族令嬢の鏡と謳われながらも、氷結の公爵令嬢と呼ばれる、つまるところ良い噂ばかりではない女子生徒だ。


「殿下の采配は、流石としか言いようがない」


 生徒会役員会長、リオン・バーミリオン。

 現在留学中のため学園を不在にしている、アリーオン王国の第一王子だ。噂では十歳の頃から大人顔負けの才覚を露わにし、神の寵児とも呼ばれる才人である。


「色々な、個性豊かな人達ばかり、ですね」

「そうだね。まぁ性格が凡庸だとあそこだと結構辛いよ。貴族と王族がいるから、多少なりとも潰されない程度に強くないとね」


 温厚な笑みであるが、重みのある発言だ。ジョリーはアスターに視線を戻し、提案をする。


「僕が推薦をしよっか?」

「推薦?」


 アスターが首を傾げると、ジョリーは頷く。


 推薦をすれば、ある程度高い倍率の中でも審査員に目を向けられやすくなる。いわば信用に当たる人間ですよとバックボーンが着くのだ。当選率も高くなる。


「うん。多少なりとも受かりやすくなると思うよ」

「……推薦」

「あくまで一つの手段だよ。ただ、アスターさんが本気で役員になりたいのであれば僕は支援しよう」

 

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