22 告白
大変申し訳ございません。この話を挿入していませんでした。
いきなり23話に飛んでしまうと、話がつながらないので、???という方もいらっしゃると思います。
改めてアップしたので、よろしくお願い申し上げます。
事故から約半月が経過した。
光雄の怪我の経過は良好であった。
相変わらず右肩はアメフト選手のプロテクターの様なギプスで固められ、右足は痛みがなかなか引かなかった。
しかし、気持ちは大分落ち着き、現実を受け入れつつあった。
右足の膝から下は既に無いとはいえ、車椅子での移動も器用に手首を使ってボチボチ出来る様になってきていた。
とはいえ、引き続き家族や関係者の面会は拒絶していた。
その気持ちも氷解しつつあったが、完全に和解のタイミングを逸しているような気がして、踏ん切りがつけられないでいた。
この2週間のうちに、この病室に自分宛の見舞いは入れていなかったが、3人部屋の残りの2つのベッドも埋まり、それらの主への訪問客は来ていた。
寂しい気持ちは大きく募り、意地を張る馬鹿馬鹿しさとも決別すべく、意を決して看護師にお願いをした。
家族を呼んで下さいと。
逆に智花は、光雄の不安定な感情の起伏をよく考えていた。
是は是、非は非。光雄にしてあげられる事は、気持ちを落ち着かせること。何かしようとするならば、安定してからでも遅くはない。そういった気持ちで日々を過ごしていた。
光雄の会社からは、まず体を治すこと。本人から連絡が取れるようになったら、電話が欲しいとの事であった。
心配していた長女の翼へのイジメもなく、却って保護者から、『お見舞にいってらっしゃい、翼ちゃんは面倒見るわよ』との申し出も多々もらった。
智花はありがたく思い、翼と碧葉を預けて病院へと出かけていた。
病室には入れなくとも、少しでも近くにいたい。その思い一つであった。
そんな中、病室から出て来た看護師が智花を呼んだ。
松谷警察署では、考えられていた想定と全く別の事態が起きていた。
意識を取り戻した和気井瑞穂からの証言で、轢き逃げと麻薬取締法違反の犯人が特定されたのだが、その容疑者は、松谷警察署の副署長の親戚であった。
もちろん容疑者の関係者ということで、松井副署長も任意の事情聴取に応じたが、容疑者が泣きついて電話をかけてきたことについては、瑞穂が覚えておらず、触れられなかった。
瑞穂の証言からおよそ2日後、薬物の過剰摂取で廃人と化した容疑者の身柄が確保された。
然し乍ら廃人状態となっているにも拘らず、容疑者をそのような状態にしたのは松谷警察署の生活安全課課長の矢嶋であると、容疑者自身の怯えながらの証言があったため、令状を得たうえで矢嶋の自宅を捜索したところ、押収物である向精神薬、麻薬、覚せい剤等が発見された。
いわゆる横流しである。
署長、副署長共に管理不行き届きで減給処分、矢嶋は当然ながら懲戒免職処分となった。
矢嶋は当初、容疑を否認していたが、智花が健三に送っていた事情聴取時の取り調べ内容の音声ファイルで、過剰かつ不自然な対応が仇となり、光雄に罪を被せようとした点まで追求される事となった。
ひとえに健三の機転による事態の好転であった。
しかし、この事を大きく報じたマスコミは皆無、というよりマスコミ好みのこのネタを報道管制されたが如く、静まり返っていた。
唯一経産新聞の竹内記者の書いた小さな記事以外は。
再び病室。
光雄がバツの悪そうな表情で智花を見た。
「元気にしていたか?子供達も含めて。」
「ええ、周りのママさん達が、良くしてくれてる。」
二人の間に微妙な空気が流れる。
「あなたこそ体調は?」
「時間と共に、現実を受け入れているよ。どうなるんだろな。俺たち……」
俺たち、という言葉に智花が反応する。
「それは、私も含め……っていうことでいいのよね。」
「ああ。心の中に、まだわだかまりはある。この状況だと、本当に君たちを養っていけない……どうしよう……」
「まだ体が治ってないんだから、ゆっくり考えよう。私も働きに出るし……」
「治りようが無いけどな。無いんだもんな、足が……」
智花は自分の失言に、光雄の一言で気付いた。
「ごめんなさい……」
心の底から謝る気持ちと共に、ある決断をした。
松井をここに連れてこよう。
そして、その上で光雄に判断してもらおうと。
それから数時間後、光雄の目の前に松井と妻の麻紀、智花の3人がいた。




