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70話 想定外の乱入者

 自然公園の異空間にて。炎により植物が殆ど焼き払われ、殺風景になった空間でマモルとルキは衝突。


 怒りからマモルの力が覚醒し、ルキを圧倒した後。

 ルキは突如として咳き込み、大量の血を吐き出した。


「ルキ!」


 マモルは大急ぎでルキに駆け寄り、息も絶え絶えのルキを抱える。


「その血……まさか、薬の副作用か!?」


「……違う。薬は、関係ない……」


 ルキは荒い呼吸のまま説明をする。


「少しはしゃぎすぎただけ、かな……」


「はしゃいだだけでこんな血を吐くわけが……ん?」


 と、マモルが何か言いかけたその時。マモル達の頭上で何かが割れるような音が響いた。


「くそっ……!」


「うわっ!?」


 マモルが頭上を見上げるより前に、ルキはマモルを力一杯突き飛ばした。


「うぐっ……!」


 異常なほどに強化されたルキの腕力によりマモルは遠くまで吹き飛んだ。

 全身を地面に激しくぶつけながら転がっていき、カイが寝そべる付近で停止した。


「くっ……! お前、何を……っ!」


 マモルはすぐに起き上がりルキのいる方角を睨みつけるが、マモルの視界には想像を絶する光景が広がっていた。



 マモルが先程まで立っていた場所、その上空に大きな穴が空いており、その大穴から謎の巨大な手が姿を現していた。



「ルキ!!」


 街灯よりも遥かに巨大な手は真下へと急降下し、地面にいたルキを大きな掌で押し潰してしまった。


「ぐっ……!」


「ルキ! 今助け……!」


「カイを連れてここから立ち去れ!!」


 即座にルキを助けに向かおうとしていたマモルを、ルキは大声で叫んで突き返した。


 ルキが叫んだところで、ルキの上着ポケットから大きなツタが伸び、巨大な掌を覆って上へと持ち上げた。


「マモル、お前はオレに対して力を使い過ぎた……!」


 ルキは何とか巨大な手から逃れて立ち上がり、ポケットから取り出したタネを辺りに撒いてツタを増やす。


「あんな大掛かりな技を連発したんだ……お前に戦える力はもう残ってないだろ……! 出入り口から外に出られるから……早く……!」


「だからと言って放っておけるか!」


 マモルは大声で反論するも、ルキの指摘した通り、今のマモルに戦える力は殆ど残っていなかった。


「オレを……オレを助けたいなら助けを呼びに行けっ!!」


「!」


 ルキはマモルに顔を向け、再び大声で叫ぶ。


「オレの仲間に、計画は前倒しになったと伝えろ……!」


「……分かった」


 切羽詰まったルキの言動にマモルはようやく観念したようだ。

 マモルは側に倒れているカイを持ち上げ、少し遠くに放り投げられていたホウキを拾い上げて跨った。


「絶対に助けに戻る!」


 マモルの言葉にルキは返事をせず、代わりに片手を上へと向けた。


 すると、周りに生えていた幾つものツタはあっという間に周囲に伸びて成長し、マモルの前に大きな壁を生み出した。


(ルキ、俺達が安全に逃げられるようにここまで……!)


 ルキの思いを受け取ったマモルは、残る魔力を使用してホウキを浮かべ、出口に向かって全力で飛び始めた。


 余力を振り絞りながら飛ぶマモルの後方で、更に何かが割れる音が響く。音に反応したマモルはそっと背後を確認する。


「……!?」


 巨大な手が伸びる大穴が更に割れて大きく広がり、大穴から人の形をした何かが大勢降りてきた。


 妙な髪型に特徴的な髭を生やした、見るからに普通ではない謎の生き物の群れ。


「あれは……!?」


 謎の生き物が次々と穴から現れていく。マモルが驚く間にも、周囲に新たなヒビ割れが発生。


『ギヒヒ……!』


 周りから奇妙な人型の生き物が姿を現していく。


 ホウキで飛ぶマモルをギロリと睨みつけながら追いかけて来ており、少しでも隙を見せれば飛び掛かって来そうだ。


(少しでも速度を落としたらやられる……!)


 カイを抱えながらもマモルは、残る魔力を振り絞って全力で飛び続けた。


 程なくして。後方から何かが瓦解する音が聞こえた頃には、マモルは自然公園の外へと飛び出していた。


「くっ……!」


 残る魔力をほぼ使い切ったのか、マモルはカイを上にしてホウキごと地面に倒れる。


「で、出られた……!」


 異空間に無かった太陽が再び現れ、空気が完全に変わるのを感じた。どうやら異空間から脱出できたようだ。



「早く連絡を……」


「マモル!」


 なんとか地面から起き上がったマモルは、携帯を求めてポケットを探る。そんなマモルの前に、見慣れたメイド姿の妖精フィオが現れる。


「フィオさん……」


「ここ周辺に妙な気配がしたから来てみれば……いや、話は後だな。急いで手当てを……」


「待ってください」


 手を取ろうとしてきたフィオをマモルは急いで止める。


「自然公園の異空間が突如として裂け、そこから現れた妙な相手にルキが……俺達を助け、そのまま取り残されて……」


「分かった、お前達を屋敷に置いたら瞬間移動ですぐに探しに向かおう」


「……頼みます。あと、計画は前倒しとなったと……ルキの仲間に……」


「……伝えておく」


 フィオはマモルとカイの手を掴むと、瞬間移動能力を発動させ、自然公園の出口から姿を消した。

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